114 キャンプギアの状態は?
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「ミミちゃんも女の子なんだよ!」
「それは知ってるけど」
「撫でられるのはいいかもしれないけど、顔をお腹に押し付けようとするのは、さすがにダメだと思うな!」
「いや、楓だってミミのこと猫吸いするじゃん」
「私は、いいの! 女の子だし、私とミミちゃんの仲だからね!」
楓は当然のように言い切った。
「でも、お兄ちゃんは男でしょ!」
「まあ、そうだけど」
「女の子のお腹に顔を埋めるなんて、デリカシーがないよ! ミミちゃんも女の子なんだよ!」
「……」
理不尽なことを言われている気がする。
ただ、もしミミが人間の女の子だったら……寝ているところに乗ってこられて、そのまま腹に顔を押し付けようとしたら……普通に思いっきり殴られるシチュエーションだな。
セクハラで訴えられたら、100%負けるわ。
「……まあ、ミミが嫌がってるなら、やらないけど」
「最初からそうしてよ」
「にゃ」
ミミにも同意された。
そんな感じで、朝から妙な話で盛り上がっていると、父親も起きてきた。
「おはよう」
「おはよう、父さん」
朝食を食べながら、今日の予定や仕事の話をする。しばらくすると、母親も食器を片付け始めた。やがて楓も出かける時間になり、父親も仕事へ向かう。
「じゃあ、行ってくる」
「いってらっしゃい」
「お兄ちゃんも、無理しないでね」
「分かってる」
「ミミちゃん、一緒に行こうね」
「にゃ」
最後にミミが返事をすると、みんなが出ていって静かになった。
家に俺1人、ミミは今日も楓と一緒に仕事へ行っている。つまり、昼間は完全に自由だ。
「さて……」
俺はリビングを見回す。夜のバイトまで何の予定もない。スキルの実験もしたし、キャンプの予定も立てたいが、その前に……
「天気もいいし、キャンプギアの手入れでもするか」
5日間も何もできなかった反動なのか、妙にキャンプギアを触りたくなっていた。
庭へ運び出す。まずは、何から手入れするか。
「手入れに時間がかかるのはテントだけど……干すことを考えると、シュラフからがいいか?」
そう考えながら、普段使っているキャンプギアを次々と庭へ運んでいく。
時々、ご近所さんが通りかかる。
「おはようございます」
挨拶を交わしながら作業を続ける。
まずはシュラフ、広げて、裏返す。
そして、臭いを確認する。
……別に湿気ってもいないし、カビ臭くもないな。鼻を近付けて確認してみるが、特に問題はない。
「使ったら、しっかり手入れしてるから大丈夫っぽいな」
キャンプ用品は、使った後の手入れを怠ると、湿気や汚れが原因で臭いやカビが発生することがある。特にシュラフは、寝ている間の汗なんかも吸っているから、適当に扱うと結構大変なことになる。
うちの場合は、保管場所にも多少気を遣っている。
キャンプギアを入れている倉庫の壁には、漆喰だか珪藻土だか……湿気対策になる素材が使われている。
どっちだったかは、今となってはよく覚えていない。ただ、少なくとも今までカビで困ったことはない。
「よし、問題なし」
広げて裏返したシュラフを干す。
次はテント……庭に広げて、状態を確認する。
「多少すり減って見えるところはあるけど……問題があるレベルじゃないな」
テントを立てる時には、地面に直接接しないようにシートも敷いている。そのおかげもあって、そう簡単に傷むものでもない。
破れがないか、細かに確認する。ファスナーも動かし、ポールも確認。
「問題なし」
軽く濡れタオルで表面を拭いて、シュラフと一緒に干しておく。
次は調理器具。
「スキレットは……」
持ち上げて表面を見る。
「ちょっと乾燥してる感じだな」
使っていなかったから、これは仕方ない。普段から手入れはしているものの、長期間使わなければ油分が落ち着いてしまう。
軽く洗って、水分をしっかり拭き取って、その後、薄く油を塗る。
「これでシーズニングして……」
火にかけ、じっくりと熱を入れていく。ついでなので、カセットコンロも確認する。
汚れを見て、異常がないか確認。
「スキレットはこれで問題なしっと……カセットコンロも問題ないな」
まあ、そう簡単に壊れるものでもない。錆とか劣化で使えなくなる心配の方が高いか。
調理器具を片付け、次はクーラーボックス。
特に汚れてはいないが、ホースで軽く水をかけて洗う。内部も確認して、乾かしておく。
そしてキャンプチェア、これは家族全員分一応確認しておく。
座面の生地を1つずつ確認しながら、しっかりと拭いていく。
「……やっぱり、ミミのが一番きれいだな」
ミミのキャンプチェアだけ、ほとんど汚れていない。理由は簡単だ。ミミは自分のキャンプチェアに座る時、絶対にクッションを置く。
だから、座面に直接座ることがない。それなのに、俺や父親の椅子には普通に乗るんだよな……
しかも、遊んだ後なんかは、足が多少汚れていても気にせず乗ってくる。自分のには、足を拭いてから乗るのにな。
「……まあ、可愛いから許すけど」
ミミのことが好きなので、そんな行動すら可愛いと思ってしまう。とはいえ、そのまま家の中に入れるわけにはいかない。
家の中に入る時には、足をしっかり拭く。キャンプ道具も同じだ……汚れたまま入れたら、母親が怖いからな!
これは重要だ。絶対に守らなければならない。そんな感じで、一つずつキャンプギアを確認していく。
昼飯を挟み、さらに作業を続ける。
シュラフやテントが十分に乾いたのを確認してから、畳んで収納。
最後に倉庫の中も軽く掃除して、終わった頃に時計を見ると、
「もう、おやつ前か」
気付けば、かなり時間が経っていた。5日間も何もできなかった分、かなり丁寧に手入れをした気がする。
「これで、いつでもキャンプに行けるな」
道具を眺めながら、自然と口元が緩む。
いい気分になっていると、縁側に置いておいたスマホが鳴った。
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