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超大陸パンゲアへ渡った神代家の異世界奮戦記  作者: 久遠 遙人


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第二十一話 決戦前夜

日が昇ると、慌ただしく野営地の撤収が行われ、工作部隊を先頭に出発していった。


ブルートリトン号は地球で言うところの飛行船なので、工作部隊の数キロメートル前方を低空で進んでいた。


工作部隊が先行していたものの、魔鋼虫の移動によって地面がならされていたおかげで、後続の部隊も思ったより早く前進できていた。


工作部隊の後ろには、騎士団、冒険者、魔道士、救護隊、騎獣隊、輜重隊が隊列を組んで行進していた。


魔鋼虫との戦闘が始まる前に、ブルートリトン号に乗る隆志司令の号令のもと、陣形を変更して戦闘に臨む手はずとなっていた。


        ◇


その頃、西方都市連合も進軍を続けていたが、大地溝帯に手こずっていた。


アストレア方面ほど魔鋼虫の大規模な移動がなかったため、地ならしに時間を要していたのである。


「さすがにこれだけ広い谷だと厳しいな。だが、なるべく早くここを抜けねば⋯⋯」


ドワーフの工作部隊の長が思案していた。


そこへ、冒険者の斥候から魔鋼虫の動きが活発化しているとの知らせが入った。


このままでは、魔鋼虫との遭遇戦に突入する恐れが出てきていた。


        ◇


それから一週間ほどが経った。


ブルートリトン号の隆志司令から、全軍に知らせが入った。


明日の早朝、ブルートリトン号が先行し、《トーラス》の尖塔に攻撃を加える。同時に蒼姫、暁の八咫烏二体で前方の魔鋼虫に対し火炎法術によって攻撃を加える。ブルートリトン号が尖塔に攻撃を加えた後、取って返しアワアワの散布を行う。散布終了と同時に地上部隊による攻撃を始めるようにとの指示だった。


知らせは瞬く間に全軍へ行き渡り、各部隊は明日に備え、手はずどおりに予定地点へ向かって陣形を変えながら進軍した。


こうして、いよいよ決戦前夜を迎えた。


「いよいよか。魔鋼虫の群れに炎が上がって、ブルートリトン号からの薬剤の大量散布が終わったら、俺らの出番だな」


「ガルド、今回はじいさんに負けねえようにな」


「当たり前だ。そのために騎獣も装備も一新したんだからな。ライガもじいさんに後れを取るなよ」


「ああ!」


「じいさん、じいさんって、そんなにすごいのか?」


「まあ、明日になったら見てみろよ。側に近づけもしねえから」


豪快に笑いながら、酒を酌み交わしていた。


その宗玄はというと、白の上で豪快にいびきを立てて眠っていた。


        ◇


「リネット、明日の手はずはわかっていますよね?」


「フェリス姉さん、姉さんの方こそ大丈夫ですか?」


「私は大丈夫ですよ。明日のために、連日移動しながら魔法を発動させる訓練をしてきたのですから」


「フェリス、リネット、いいですか。相手は生き物です。こちらの想定外の動きをすることもあります。騎士たちの前へ決して出てはいけませんよ。あれに体当たりされたら、ただでは済みませんから」


「師匠、そんな怖いこと言わないでくださいよ」


「大丈夫、姉さんは私が守るから」


「そうですね。二人で行動しなさい。二つの目より四つの目の方が、安全を確保しやすいですから」


「セシリア様、今一度、魔法士たちにお話をしてください。不安がっている者たちがたくさんいますので」


「わかりました。少し昔語りでもしましょうか。あなたたちも行きますよ」


「「はい!」」


明日の戦いを前に、多くの者たちが不安な夜を迎えていた。


        ◇

不安な夜のはずなのだが⋯⋯⋯⋯。


ここ、ブルートリトン号の船内では、いつもと変わらぬ日常が繰り返されていた。


「明日は、結衣と真白は父さんのところへ行くのか?」


「うん、おじいちゃんと約束したから」


「真白もじゃ!」


「では、発進する前に降りて父さんのところへ行きなさい。決して無理をせずお父さんの言うことを聞いて⋯⋯⋯⋯気をつけるんだぞ」宗玄の側が一番危険な気がするのだが、隆志は口にはしなかった。フラグが立つのを恐れたのである。


「大丈夫! 護符と真白の結界があるし、おじいちゃんと白もいるから。ただ、また虫の体液で汚れるの、やだなあ。あっ、アワアワのついた奴なら石鹸つきだから汚れないかも!」


「そんなことあるわけないだろ」


「おにぃみたいに斬撃を飛ばせる人には、あたしの苦しみがわからないんだよ」


「苦しみって、そこかよ。結衣、でかいのが出てきたら無理するなよ。呼べば必ず行くからな」


「はい!」


こう見えても、結衣と明日華はお兄ちゃん大好きっ子なのである。


幼い頃から二人を大事にしてくれ、普段は自由にさせてくれるが、いざとなれば必ず助けてくれる。そんな透が大好きなのだ。


「では、明日は日の出とともに、透とルカさん、蒼姫と明日華、暁さんとリーファちゃんは、飛行型の魔鋼虫の対処をしてほしい。尖塔の攻撃を確認したら魔鋼虫の前に出て蒼姫ちゃんと暁さんは火炎法術で先頭の群れを焼き払ってください。」


「僕たちはこの船で《トーラス》に突撃する。パルムちゃんと技師の方には降りて貰い、美琴さんとノアちゃん三人で行くよ。この三人は魔核が無いからブルートリトン号はステルス状態になるから飛行型の攻撃も受けずに済むからね。」


「散布が終わり次第、全軍による掃討作戦が開始される。我々はアワアワ散布後、上空に待機し戦況を見守り指示を出す。後でモモちゃんに合流して貰い、ピクシー達に連絡して貰うから」


「明日からは厳しい戦いになります。命大事にですからね。皆さん分かりましたか」


「「「はい!」」」


説明を聞き終えると、皆はそれぞれ、いつもどおりにくつろいでいた。




    







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