準備完了(2)
しばらく二人で喜び合った後、B級以下のガチャ結果を回収し結果の確認を管理室のリビングで行うため足を運ぶ。
「色々と手に入ったな」
「C級の結果もかなり良いものでしたよね!とりあえずスキルの確認をしませんか?」
「そうだな、ステータスオープン」
直人が声を上げるといつものステータス画面が目の前に現れる。そこから変化したスキル欄を確認する。
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スキル:「精力増強」 「魅惑の瞳」 「感情鑑定」 「異種交配」 「剣客抜刀術」 「亜空間倉庫Lv2」 「格闘術Lv5」 「万能武器種」 「号令」 「覇気」 「身体能力強化Lv2」 「ステータスアップLv3」 「素早さ上昇Lv3」 「存在変化Lv1」 「蒼穹探知LvMAX」 「体力上昇Lv3」 「攻撃力上昇Lv1」 「魔力操作Lv1」 「空中足場」 「黒鉄化」 「聴力強化〈パッシブ〉」 「重力穴」 「影縫い」 「魔力自動回復」 「すべてか無か」 「超再生」 「脚力上昇LvMAX」 「健康促進」 「麻痺耐性Lv2」 「毒耐性Lv3」 「魔力耐性Lv2」 「斬撃耐性Lv1」 「暗視」 「遠見Lv5」 「耐えるLv8」 「胃袋強化」 「気配遮断」
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「相当なスキル数ですね……」
「ああ、それにレベルの上がっているスキルもあるがこれはいったい……」
「これは多分獲得した同じスキルが合成されてレベルが上がったのではないでしょうか?」
「ああ、なるほど」
ガチャ産なのだからダブることはあるだろうとは考えていた。他はまだしもスキルに関してはどうなるのかと疑問だったがどうやらレベルが上がるシステムだったらしい、実に便利なものだ。
「気になるスキルを上げるとここら辺になるか」
【号令:自身の配下に指示を飛ばす。支持を聞いた配下のステータスを1.5倍まで引き上げる】
【覇気:自身の気を相手へとぶつける。相手との強さに差があるほど効果量が変化する】
【空中足場:空中に空気の足場を三秒間、二回生成する】
【黒鉄化:自身がもつ武器を黒鉄と呼ばれる金属で覆い強化するスキル】
【影縫い:相手の影を踏むことで発動、相手の影を術者と相手の強さに応じて縫い留める。縫い留められた相手は影縫いが切れるまで動けなくなる】
【すべてか無か:自身と相手すべての能力、財産、スキルそしてその存在を賭けて勝負する。勝った相手は負けた相手のすべてを勝ち取れる】
「さ、さすがS級というべきですか」
すべてか無か、自身のすべてを賭け相手のすべてを奪うスキル……か。
「このスキルに関しては正直使ってみなければわからないがまあ切り札の一つとでも思えばいいだろう。それよりもレイシス、レーナと一緒に魔法について教えてくれ」
「かしこまりました!とりあえずレーナさんを呼んできますね」
そう言い残すとレイシスはレーナを呼びに彼女の部屋に飛んでいく。
数分後、ソファーで待っているといくつかの本を抱えたレーナとレイシスが帰ってきた。
「お待たせしました、直人様!」
「随分と持っているがそれはなんだ?」
「あっ!それは私からお答えしますね。これは魔導書、私が初めて魔法を習ったときに使っていた教科書です!」
いつの間にかメガネをかけたレーナが答えてくれる。
「へえ~教科書」
何んとなしに机の上に置かれた魔導書を手に取って開いてみる。
ただ中に書いている内容はどれも見たこともない字で書かれており解読は疎か、載っている絵ですら何を意味しているのか分からない。
「えっと子供でも分かる簡単な魔導書を持って来てみたのですがいかがでしょうか?」
「……まったくわからん」
これは字から学ばなければいけないのかと諦めかけていた時、隣にレイシスが助け舟を出してくれる。
「あ~直人様、これでしたら私が直人様でもわかるように翻訳の魔法をかけられますよ?」
「本当か?じゃあ頼むわ」
「了解です!ちょっと待ってください!」
レイシスは魔導書の上にちょこんと乗ると彼女の体全体から光りだし、次に光が本に移ったかのように本が光りだす。
「終わりました!読んでみてください!」
そう言われて直人は先ほど見た本を手に取って開いてみる、すると先ほどまではわからなかった言語で書かれていたはずなのに日本語に代わっている。
そのまま本の内容に目を向けると子供でも分かりやすいようにというレーナの話は本当らしい。魔導書というからもっと文学書や論文のようなものと想像していたが違ったようでどちらかと言えば絵本や漫画調に書かれている。
「あ~確かに読めればこれは子供でも分かりやすいな」
「よかったです、私もこれで学んだので何かわからないことがあれば言ってください!それとレイシス様もありがとうございました!」
「いえいえお気になさらないでください!」
女子二人で仲良くキャッキャッと騒いでいるのを横目に直人は魔導書を読み進めてみる。
内容としては子供でも分かりやすいように脚色されており要約すると、魔法とは肉体の中を流れる魔力を使って発動するもので、外部にある魔素と呼ばれるものを使用したものを魔術と呼び、その二つを括ったものを魔導と呼ぶらしい。
「魔法と魔術か、今から俺が学ぶものは魔法で構わないんだよな?」
「あっ!そうです!」
赤い髪をなびかせて振り向く彼女、レーナは直人が開く魔導書を上からのぞき込む形で指導し始める。
「まずですね、魔法を発動するには内側にある魔力を使わないとなのですがこの内側にある魔力をどう認識するのか、ここが魔術師になる者にとって初めに躓く敷居なんです」
そこからレーナは自分がどう魔力を感知したのかを事細かく説明し始める。
「魔力なんですが直人様は魔力ってどういうものだと思いますか?」
「魔力か、う~ん……血液とかか?」
「血液……ちょっと違いますね。魔力はへその少し下、丹田のこの場所に魔力は溜まっています。この丹田から魔力を抽出して具現化することを魔法といいます。丹田を触って暖かいという印象を感じればまず魔力を認識できていると思います」
直人はレーナの言う丹田に手をあててみるとほんのりと、例えるならカイロを触っているような温かさが丹田から感じ取れる。
「これが、魔力か」
「―――!!さすがです、直人様!それじゃあ次のステップ、その魔力を手の平に移動させることはできますか?」
レーナに言われた通りに丹田から手の平に魔力が移っていくイメージを思い浮かべてみるが一向に丹田から魔力は動かない。
「う~ん……わからんな」
「誰だって最初はわからないのは当たり前です。えっとアドバイスですが魔法とは想像を具現化することで発動します。それは魔力も同じことなので魔力がこう昇るイメージといいますか、移動するイメージを具体化するのがコツですね!」
移動、移動か……。体の何かを別の場所に移動させる。体の中で唯一全身を動き回っているもの。―――それは血液、それを送るものといえば……心臓だ。
直人は今まで曖昧に想像していた考えを捨て、今思いついた考えを実践する。
丹田から手の平に、直人は丹田をもう一つの心臓に見立て、そこから血液を送り出すかのように魔力を送り出すイメージを浮かべると徐々に手の平が熱くなる。
「痛ッ――!」
想像を辞めると手の平の熱さは瞬時に引く。
「す、すごいです、直人様!私はその魔力を手の平まで移動させるのに一年はかかりました。それをただ聞いただけでできちゃうなんて……どういった想像の仕方をされたのですか!?」
レーナが目を見開いて驚いている。
「丹田を心臓に見立てただけだが……何か変か?」
「丹田を心臓に、ですか?変わった考え方ですね……」
この世界では魔法の発展で医療の発展が遅れている、あのレーナの話を聞き元居た世界の住民であれば直人と似たような発想も出るだろうがこの世界の住人にとっては直人の考え方は変わっているらしい。
「それでレーナ、ここまではなんとなく理解できたがここから魔法にするにはどうすればいいんだ?」
「あっ、すみません……そうですねここからは直人様にとっては簡単なことだと思いますよ。魔力操作のスキルを使ってください」
そう言われた直人は魔力操作のスキルを使用すると手の平から先ほどレイシスが出していたような黒い霧が出始める。
それは自分の手足のように動き、その霧を犬のように変えたり小さなマスコットぬいぐるみのように変えたりと変幻自在にころころと姿を変化させる。
「それが魔力操作です。本当はそのスキルがなければそれができるまでに途方もない時間を費やすか、もしくはここで躓いて魔法を諦める魔術師が多くいるんです」
確かにこの魔力操作に関しては原理がわからない。
魔力の移動は丹田を心臓に見立てることで何とかなったが手から魔力を出す、まったく想像ができない。これはレーナの言う通り一番躓いてしまうポイントなのだろう。
「ここまでくれば後は簡単でこの手から出る魔力を魔法に変える作業ですね。魔力を魔法にする、方法は簡単で魔力の形を簡単に変えられているんでそこから具現化する方法ですね」
そこからはレーナが持ってきた魔導書を用いて熱心に教えてくれた。
どうやら魔力の形を変える要領と同じで魔力が炎に代わる想像をするとパチッ!と火花を散らしながら右手から真っ赤な炎が火柱を上げる。
「さすがですね!じゃあここからは応用編で――――……」
そこからはレーナとレイシスの二人に様々な魔法を教えてもらいながらクエストの時間まで最後の調整を進めていく。
そして――……
「よし、十分準備は整った。それじゃあ特別クエスト、始めようか」
「はい!」
レフィーの目の前に立ち最後の確認をするとカウントが0になる。0になると次の瞬間、この世界に来た時と同じように視界が暗転し、そしてどこまでも落ちていくような感覚になる。
気がつくと目の前にはどこまでも続く草原が広がっていた。
ここまで読んでくださりありがとうございます。評価の方はお任せいたしますので、よければもう一話見ていただければ幸いです。




