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準備完了(1)

 祭壇のある通路に向かうためリビングに向かうとそこには着替え終えたレーナがソファーにちょこんと座って待っていた。


「あっ!直人様!」

「着替えたんだなレーナ」

「はい!あっ!脱いでいた方がよろしかったでしょうか?それでしたら今から脱ぎますが!?」

「あ、いや……大丈夫だ……」


 敵対していたことが嘘のように大人しい彼女を見て直人は、横にいるレイシスに念話を飛ばして話かける。


「なあレイシス、こいつは本当に大丈夫なのか?正直いつ寝首を搔かれても仕方がないと思えるんだが……」

「大丈夫です!どうも魅惑の瞳の効果のようで彼女にとっては直人様が一番でありそれ以外は気にすべきことではないって感じの状態になっているみたいではっきり言って直人様しか見えていません!」


 魅惑の瞳の効果には洗脳的な効果はあったがレイシスが言っていることはまるで……


「それってまじでどういう状況なんだ?」

「う~んとですね、もともとのレーナさんの人格が薄くなって新しく今のレーナさんの人格が上書きされた?みたいな感じです!」

「そう考えるとやばいスキルではあるな……」


 ようは人格を書き換えたということ、使い方によっては一国を滅ぼすことも可能だろう。


「まあ安全だということはわかったよ。っとレーナ、待たせて悪かったな―――って何してんだよ!?」


 レイシスとの念話を切り上げレーナの方へ顔を向けると彼女は上半身を脱ぎ、下着姿をさらけ出している。


「え?だって直人様、私とエッチしてくれるんじゃないんですか!?」

「んなこと一言も言っていないだろ……」


 自然とため息が漏れてしまう直人、そんな直人の横ではうざったらしくにやにやと笑いながらレイシスが飛んでいる。


「はあ~……まず服を着てくれ、目のやり場に困る……。あとそれとこれは別に受けなくてもいいんだがレーナ、悪いが後で魔法を教えてほしい」


 目線を彼女から逸らしつつダメもとで聞いてみる直人、断られること前提のお願いではあったがその話を聞いたレーナの目はとてもキラキラと輝いていた。


「え!?ぜひぜひお任せください!!私、誰かに魔法を教えたいって思っていたんです!!」


 こちらの気もお構いなしに詰め寄って体を揺さぶってくるレーナ、とりあえずレーナを引き離して話を続ける。


「お、おう。そうかじゃあ後でよろしく頼むわ、それと服は着てくれ」

「了解です!!」


 そうして直人はレーナに約束を取り付けるとレイシスと二人で祭壇へと向かった。

 たどり着いた祭壇にはレフィー・アドラスが立ち尽くしており、こちらが近づいても反応を示さない。


「ふぅ……いきなり攻撃されるかと思ったが大丈夫そうだな」

「ですね、この世界での時間的にはとっくに予定の時間は過ぎているわけですしね……」


 とりあえずレフィーを無視して奥にある祭壇に亜空間倉庫の死体を捧げる。


「おおっ!来ました来ました、大量です!」


 うおおおおっ!っと両手を天に掲げて祭壇からエネルギーを供給しだすレイシス、数分するとげぷっーと可愛らしいげっぷを見せながらお腹を膨らませる。


「ふぅ……ごちそうさまでした~!いや~満足満足です!」

「よかったよ、それで?どのくらい引けるんだ、ガチャ?」

「ふっふっふっ聞いて驚かないでください!なんと!―――七百連です!」

「おお~結構引けるな」


 レイシスは満足したのか直人の頭の上に移動してルンルンと大変ご機嫌だ。


「どうされますか、直人様?」

「そうだな……なら五百連分引こうか、残りの二百連分の神聖力はお前が使え、レイシス」

「え?いいのですか?」

「ああ」


 七百連分もあるのだ、少しくらいレイシスに回しても問題はないはずだ。


「ありがとうございます!ではガチャ五百連、一気に行っちゃいましょう!!!それ!!」


 そう言ってレイシスは直人の頭から祭壇のテーブルに移動するとそこから大量の光を放出しだす。


「今回は数が多いので私の方で仕分けしますね!」


 そこからは直人はただ見守っていた。

 レイシスは出てくる光をこれはこっち、これはあっちっとテキパキと仕分けしながら光ごとに分ける作業を進め、待つこと数分――――……


「終わりました~~」

「お疲れ様、レイシス」

「いえいえ~最近私は直人様のお役に立てていませんでしたからね!ここらで私の存在価値を証明しておかなければと思っていたんですよ!」


 むふっー!と満足気に胸を張るレイシス。


「ん?お前はいつも役に立っているよ」

「え。そうですか!?そう思っていただけるだけたいへんありがたいです!ふへへ、褒められちゃった!」


 嬉しそうにしているレイシスを横目にそう言えばと直人はさっきまでの自分自身の現状を思い出す。


(そういえば俺って半月間も寝たっきりだったのか。もしかしてこいつ、ここ最近ってここ半月のことを言っていたのか?)


 そう思うとなんだか申し訳なく感じレイシスの頭を軽く撫でまわす。


「え?え?な、なんですか、直人様!え!?」


 困惑するレイシスを他所にしばらく撫でる直人、ただこれが何となく撫でやすい頭というか何回も撫でているはずなのに今回だけはなぜか大変撫で心地がよかった。

 レイシスのことを考えずついつい自分が満足するまで撫でまわす直人、終わるころには髪の毛はぼさぼさになっておりレイシスはといえばぷっくりと頬を膨らませて顔をしかめて見せている。


「も、もう!なんなんですか、直人様!あまりそう女性の髪の毛を弄るものではないですよ!もし弄るにしても事前に説明をですね―――……」

「わ、悪い!つい撫で心地が良かったものでついつい……」

「本当に悪いと思っているのですか!?私今回はちょっと怒ってますよ!」

「わ、悪かったって!それよりも早くガチャの結果を確認しよう」

「次からは事前に教えてくださいね、まったくもう……」


 髪を直しながら不満そうにしているレイシス、それでも言われたことを投げ出すことはなく、B級の光が入った箱を直人の目の前に持ってくる。


「とりあえずB級から見ましょうか、B級より下位は数が多く優先して見るものは厳選すべきだと思いますので」

「そうだな、よろしく頼む」

「はいです、ではこちらが結果になります!」


 箱を触ると二十六の獲得通知が頭の中に響く。


【目黒直人は装備:愚苦蛇のナイフ、二頭犬ツインヘットドッグの盾、名もなき英雄のブーツ、錆びた剣、グロスマンヘルム、明帝の杖、鳥馬バードホースの剣を手に入れた】


【目黒直人はB級スキル:空中足場スカイウォーク、黒鉄化、聴力強化〈パッシブ〉を手に入れた】


【目黒直人は素材:シーサーペントの鱗×5、シーサーペントの心臓×1、ベヒーモスの牙、魔獣核、シルフの羽、人食い梟の羽×2、ウェアウルフの牙×3、ウロコスの麻痺袋×1を手に入れた】


【目黒直人はアイテム:ハイポーション×2、脱出縄×1、解毒薬×1、フロストウルフの召喚石×1、ゴブリンパラディンの召喚石×1を獲得しました】


 出てきたスキル以外の素材やアイテムを亜空間倉庫にしまい込み、中身を確認する前にA級の箱を開封する。

 箱に触れると今度もまた同じように獲得通知が頭の中に流れてくる、今度は十七個だ。


【目黒直人は装備:ウェザードラゴンの首飾り、ゼブラ・カリギュラの王冠を手に入れた】


【目黒直人は素材:エルダー・ミストの鱗粉×2、堕落せし海賊(フォールンパイレーツ)の頭蓋骨×1、"妖氷獣"ヴォラシィの牙×1、"妖氷獣"ヴォラシィの角×3、禁毒蛇の毒牙×1を手に入れた】


【目黒直人はA級スキル:重力穴グラビティ・ホール、影縫い、魔力自動回復マジックエッセンスを手に入れた】


【目黒直人はアイテム:エリクサー×2、服従の首輪、帰還石×1を手に入れた】


「えげつないな、これでまだS級が控えてるんだろ!?」

「ですね!ささ、早くS級開封結果を見せてください!!」


 子供のようにはしゃぐレイシス、直人もまた子供のようにワクワクが止まらず口元が緩んでしまっている。


「よしっ!じゃあお待ちかねのS級、見てみますか!」

「はい!」


 S級の箱に手を伸ばす、すると六回の獲得通知が頭の中に響き渡る。


【目黒直人はS級スキル:すべてか無か(オールオアナッシング)、超再生を手に入れた】


【目黒直人は装備:賢者のピアスを手に入れた】


【目黒直人はアイテム:大結界ポータブル×1、帰還チケット×1、賢者の書を手に入れた】


「「……」」


 とある獲得したアイテムを手に取り、二人は顔を見合わせる。

 それは直人にとって喉から手が出るほど欲しかったアイテム、こんなすぐに手に入るとは思わず二人して見つめ合いながら固まってしまう。


「こ、これって……」

「は、はい……直人様が考えている通りだと思います」


 どちらか、あるいは二人の唾を飲み込むような音が聞こえた後、洞窟内に二人の声が木霊する。


「うおおおおっ!うおっしゃあ!!手に入れたぞ!地球への帰還チケット!!」

「おめでとうございます!直人様!!」

「これでやっと!綾香あやかに会える!」


 地球での時間が経っていないとはいえ、やはり気になるものは気になるもの。それにしばらく、この世界で言えば約一か月以上綾香と会えていないため綾香成分が補欠してやばかったため一目だけでも会えるのはすごく楽しみだ。


 こちらの世界に来てからの目標の一つである地球への帰還のためのチケットを獲得できたことに喜びを隠せない直人、そんな直人を見てレイシスもまた自分のことのように喜びはしゃぐ。

 そんな二人で喜び合う姿をただ一人レフィーは何食わぬ顔でぼーと眺めていた。

ここまで読んでくださりありがとうございます。評価の方はお任せいたしますので、よければもう一話見ていただければ幸いです。

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