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「彷徨うタイムトラベラー雪子」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編⑧)  作者: サナダムシオ


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⑦ バステト

に…

「昔、あなたのDNAマップを分析したのよ」

 その黒い猫はそう言った。まるでこちらの心を読んだようだ。


「そうよ。アナタが何を考えて居るのか、全てお見通しなのよ?だって私、神なんだもの。それに、私はアナタの心のSOSを聞いて、ここまでやって来たの」


 その黒い猫はニッコリ笑ってそう言った。

「私はボランティアの正義の味方、黒猫神のバステトよ。今のアナタとは……初めまして、かしら?」


「……黒猫神」アタシは呟く。

「そうよ。だから遠慮なく言って。猫の手を借りる?それとも借りない?」

 多勢に無勢だ。今更アタシは、虚勢を張るつもりも無い。


「……もちろん借りるわ。是非貸してちょうだい!」

 アタシは決断した。

「合点、承知!」

 その黒い猫は、まるで江戸っ子のような返事をした。


 バステトは、顔の前に剣を縦にして構えると、何やら念じ始めた。

 すると、次第に、頭に響く超音波が聞こえなくなり、最後にはすっかり消えてしまった。


「こちらの精神波をぶつけて、効果を相殺したのよ」

 黒猫神はそう言った。

「さあ、存分に反撃なさい!」

 そしてアタシを、力強く鼓舞した。


 アタシは真っ直ぐ上に飛ぶと、両方の掌から、火球を次々に撃ち出し、白いバケモノたちを頭から燃やしていった。


 一匹燃やす度に、ヤツラの体内から出て来る、黒いモヤモヤ(つまり四次元人の本体)を、バステトが始末する。効率の良い、即席ツーマンセルの出来上がりだった。


 しばらくすると、そこに有るのは、10体の大きな黒焦げ死体のみとなった。そして辺りは、スッカリ静かになった。聞こえるのは、風の音だけだ。


「一丁上がりね?」

 バステトは、汗一つかいていない。

 多分、大した運動にはならなかったのだろう。


「ところでアナタ、少し嫌な思いをしたぐらいで、自暴自棄になっちゃダメよ?まあ、自分探しの旅も、程々にね?」

「ああ……うん、アドバイスありがとう」

 バステトの言葉は、何故かアタシの心に刺さった。


「じゃあね、また会いましょう……あ、次に私に会う時は、初めましての顔をしてね?そうしないと、後々面倒な事になるから」

「何となく……分かります」

 アタシはそう言った。


 黒猫神はアタシに手を振ると、来た時と同じように、何処へともなく消え去ってしまった。アタシは何となく、現場の様子を確かめたくて、チカラを使って、その場で上昇してみた。


 やがて、上空から眼下を眺めると、海岸線の形が見えて来た。

 間違いない。ココは南極だ。

 あそこに見えるのは、昭和基地だ。


 つまり、さっきのバケモノたちは、通称ニンゲンと呼ばれるUMAだったのだ。恐らく四次元人たちが、イルカか何かに憑依した時に、ベースにになった生物が、変質したのだろう。不憫な事である。


挿絵(By みてみん)

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