④ 共同戦線
「いつも、ツーマンセルの闘いを、推奨している伯爵が、珍しく、一人で行ってもイイと、言ってくれたんですが……コレをご存知だったんですね?」
「あの永遠の35歳が、企みそうな事よ。大方、アタシのDNAデータでも保管して、ソレを元に、時空サーチを掛けたんでしょ?何処の時空に行こうが、伯爵の掌の上って訳だわ。まったく、何時もの事ながら、嫌に成る程、有能ね?」
そんな相槌を打ちながら、アタシは敵に向けて、火球を連続発射した。しかし、敵はソレを易々と躱してしまう。どうやら、ベースとなっている、ヨーコとやらの、肉体のポテンシャルそのモノが、相当高いようだ。
「ジャンヌさん、アタシのチカラを、その剣に上乗せするわ。ソレで攻撃してみて」
アタシはそう言うと、彼女の左肩に、自分の右手を乗せた。コレで、"充電完了"の筈だ。
ジャンヌは直ぐに、剣を上段に振りかぶると、少し距離を取った目の前の敵に向けて、一気に振り降ろした!
その剣撃は素早く飛んで行き、金属バットをすり抜けると、ヨーコのカラダを突き抜けた。この攻撃には、物理的なモノでは無く、魂を斬り裂く効果があった。
ヨーコのカラダから出たモヤモヤが、一瞬で燃え尽きるのが見て取れた。彼女は気を失い、その場に仰向けに倒れてしまった。
どうやらコレで、一件落着のようだった。
「お務め御苦労様。じゃあ、アタシ行くわね?」
「雪子さん、どちらへ?」
「……まあ、アレよ。自分探しの旅。アタシ、遅れて来た思春期なのよ、多分」
アタシは自嘲気味に笑いながら、そんな事を言うと、次の瞬間にはもう、その場から居なくなってしまった。
最後に見たジャンヌが、寂しそうな顔をしていたのが、印象的だった。ジャンヌ・ダルク……中々やるじゃないの。いつかレスキューしてあげても、イイのかもね?アタシはそう思った。
次にアタシが出現した時空は、妙に涼しい場所だった。いや、むしろもう寒いくらいだ。空はどんよりとした雲に覆われ、強めに吹く風の中に、雪もチラちいている。何処だ、ここは?
取り敢えず、アタシは急いで、自分の生体エネルギーを使ってバリアを張った。コレで当分の間、体温を奪われる心配は無いだろう。
よく見ると足元は雪原だ。いや、もう凍っているようにも見える。恐らく極地方付近か?下手をすると、南極なのか?
目の前は凍てついた岸壁。
その向こうは、見るからに寒そうな、波の荒い海が広がっていた。




