③ 金髪少女
「……仕方無いわね」
その金髪少女は呟くと、剣を右手一本に持ち替え、掌を広げた左腕を、前に突き出した。
途端に、まるで目に見えないモノに、突き跳ばされるように、バイクに跨ったレディースのメンバーが、次々に倒れて行った。さてはテレキネシスを使ったわね。アタシはそう思った。
すると、四次元の悪魔に憑依されたヨーコが、バイクを降りた。そして彼女は、金髪少女の方へ歩きながら、背中に隠し持っていた、シルバーの金属バットを取り出したのである。
アタシは、その金髪少女の、お手並みを拝見する事にした。彼女の剣の材質は、見たところ、オリハルコンだ。既存の合金の金属バットくらい、容易く斬り裂いてしまうだろう。
ところが、そんなアタシの予想は、呆気なく覆された。「ガキン!」という音とともに、何と、剣とバットの鍔迫り合いが始まったのだ。
恐らく四次元人が、自らのエネルギーの一部で、バットの表面をコーティングして、強化しているモノと思われる。まったく、器用な事をする。
そこからは、剣とバットの、あり得ないチャンバラ劇の始まりだった。どちらの技術・能力・体力も拮抗している。ソレは見ていて面白い、イイ勝負だった。だがコレは試合では無い。命の遣り取りなのだ。
アタシは傍観するのをやめた。
「ねえ、貴女。少し手伝ってあげようか?」
多分アタシが、そんな風に声をかけるまで、その金髪少女は、アタシの事など眼中に無かったようだ。
彼女はアタシの方を振り返ると、少し驚いた顔になった。
「雪子さん……どうして、ここに?」
彼女は何故か、アタシの名前を知っていた。
伯爵め。また何か仕掛けているんだな。
アタシは直ぐにそう思った。
「貴女、何時の何処から来たの?」
アタシは彼女に尋ねた。
「2013年の4月。名護屋市のテレビ塔から来ました。
私はチーム・サン・ジェルマンの一員、ジャンヌ・ダルクです」
器用に相手の攻撃を受け流しながら、彼女はそう答えた。まだ少し、余裕が有りそうだった。
いや、そんな事より、今、彼女は何て言った?
ジャンヌ・ダルクだって?
一体、どこのどいつが、そんなフザケた歴史改変をしたんだ?あんまりじゃないか!
「実は私、他ならぬ、貴女に命を助けて頂いたんですが(第20巻 参照)……その様子だと、今目の前に居る貴女は、過去の貴女か、別の時間軸の貴女なんですね?」
ジャンヌは続けて、そんな事を言った。
特大ブーメランが、アタシに帰って来て刺さった。




