② ヨーコ
「ああ、大丈夫。ココでちょっと頭を冷やしたら、直ぐウチに帰るから……心配しないで」
アタシはできるだけ、穏便に済ませたかった。
「……そう」
そのリーダーは、少し残念そうだった。
「ヨーコさん、こんなヤツ放っといて、早く行きましょうよ?」
隣に居た、ナンバー2らしき少女が、そんな事を言った。
ヨーコは、バイクのイグニッションキーを捻り、エンジンをかける。周りのメンバーもソレに習う。
そして、彼女が右手を挙げて合図を出すと、皆で隊列を組んで、爆音を響かせながら、また集団で、その場を去って行った。
アタシは、街道に出たバイクの行方を、何となく眼で追っていた。すると……隊列の先頭で、突然、異変が起こったのだ。
ヨーコのバイクが照らす、ヘッドライトの光の中に、何やら黒いモヤモヤした、ヒトガタのようなモノが現れた。
彼女は、慌てて急ブレーキをかける。
他のメンバーも、皆、それに習った。
いけない!アレには見覚えが有る。彼女が危ない!
アタシは瞬時にそう判断し、ヨーコの前にテレポートした……が、一足遅かったようだ。
ヨーコの様子が変化していた。
その目はもう、世話好きなリーダーのソレでは無かった。彼女に四次元人が、憑依してしまったのだ。
さて、どうするか?彼女の前で、アタシが少し迷っていると、さらにその場に、異変が起こった。
何と空から、金髪碧眼の少女が、降って来たのだ!
彼女は、アタシとヨーコの間に下りると、腰に差していた剣を抜き、ヨーコに向かって青眼に構えた。
「見つけたわよ、今度は逃さない!」
グレーの修道服を着たその少女は、日本語でそう言った。
「ヨーコさんに、何しやがる!」
バイクチームの他のメンバーが、次々にヨーコの前に出て来た。危ないな。アタシは思った。もちろん、レディースのメンバーの方を、心配したのだ。
「退きなさい!貴女たちには、用は無いの!」
金髪の少女が言う。
明らかに、彼女には、四次元人が見えているのだ。
「そっちに無くても、コッチには有るんだよ!」
「アンタ、最近、千葉のバイクチームを、次々に潰しているヤツだろう?見た目が噂で、聞いた姿に似てる」チームのメンバーが、次々にそんな事を言い始めた。
そうか。むしろ彼女たちは、コイツを探して、深夜の街道を走っていたのか?アタシは今更ながらに、そう思ったのである。




