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「彷徨うタイムトラベラー雪子」(セーラー服と雪女 第ニ部 新世紀編⑧)  作者: サナダムシオ


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㉑ 阿修羅

 少年のお手並みは鮮やかだった。かなり戦闘慣れしている。もしかしたら、見た目は少年でも、中身は……。


 アタシがそこまで考えた時、「誰だ!?そこに隠れているのは?」と、当のその少年に見つかってしまった。


 アタシは両手を上げて、素直に物陰から出て行った。

「何だ、非戦闘員のオンナか……だが見かけない服装だな?ひょっとして敵のスパイか?」

 少年はアタシに、まくし立てた。


「……いやあ、アタシは、ただの通りすがりの旅の者です」

 ウソでは無い。"ただの"と言う部分には、些か語弊が有るが……。


「偶然こんな戦場のど真ん中に、迷い込んだとでも言うのか?」

「ええ、まあ、そう言う事になりますかねえ……」


「そんな話が信じられるとでも?」

「まあ……無理でしょうねえ。でも、どうせ嘘なら、もう少しマシなモノを考えますよ?」

「ふん、まあ、いい。見逃してやるから、何処へでも去ればイイさ」


「あのう……差しつかなければ、教えて頂きたいのですが?」

「何だ?道案内ならしないぞ。こう見えてもオレは忙しいんだ」

「ええ、ええ。ソレはもう、今見ただけでお察しします……あの、アナタのお名前は?」


 アタシは相手の機嫌を損ねないように、出来るだけへり下った態度でそう尋ねた。

 と言うのも、近づいただけで、その強者としてのオーラが半端無いのだ。

 その少年が只者では無い事だけは、確かだった。


「他人に尋ねるなら、まず、自分から名乗るのが、礼儀だろう?」

(あら、意外と紳士的な、論理の思考なのねえ)

 アタシは思った。

「コレは失礼しました。アタシはサン・ジェルマン伯爵の仲間で、真田雪子と申します。日本人です」


「何!?サン・ジェルマンだと?」

(あ~あ、伯爵。試しに名前を出してみたけど、アナタこんな、古代インドにまで来て、ナニやってんのよ)

 アタシはつい、そう思ってしまった。


「ソレを早く言え!ではオマエも、時を旅する一団の、メンバーと言う訳なのだな?」

「そうなんです……信じて下さるんですか?」


「信じるも何も、伯爵には、以前、色々と世話になったからな!」

(おお、ファインプレーだぞ伯爵!アタシは心の中で拍手した)


「申し遅れたが、俺の名はアシュラ。神の戦士だ。帰ったら伯爵に、よろしく言っておいてくれ!」

 彼はそう言うと、また増援された追手に向かって切り込んで行った。


 まあ、多勢に無勢にも見えるが、彼が負ける事は無いだろう。

 そう言う、頼もしい後ろ姿だった。

 

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