⑳ ダライ・ラマ
「どうもありがとう。満足したわ。コレが地下世界で、アタシたちが守った門なのね?」
「その通りです。本当にその節は、お世話になりました」
ダライ・ラマは頭を下げた。
アタシは流石に恐縮した。
「もう、いいですから。頭を上げて下さい」
「……その上、キミたちは、地上の悪魔やアラハバキまで、退治して廻っていると聞きました。まったく、頭が下りますよ」
「いやいや、大した事は有りませんよ」
アタシは褒められ慣れていないから、どんな顔をしたらイイのか、本当に困惑してしまった。
従って、早々にその場をお暇する事にした。もしかしたら、ソレがダライ・ラマの狙いだったのかも知れないが……。
「何時かまた、必ず何かの形で、皆さんには、ご恩返し致しますよ」
ダライ・ラマはまだ、そんな事を言っていた。
アタシは、もうお気持ちだけで充分ですから、とか何とか、ゴニョゴニョ言いながら、別れの挨拶もそこそこに、その場を去ったのである。
無意識に時空ジャンプしたら、次に出たところは、とんでもない場所だった。雷が落ちたような爆音が、何度も繰り返され、花火のような光が、あちらこちらに見える。
空は赤く燃え、遠くで煙が上がっている。結構派手なキノコ雲だ。かなりヤバイ感じだ。辺りは瓦礫だらけ。それに火薬の臭い……間違いない。ここは戦場だ。
ここは……何処だ?いや、それより何時だ?
人類は、ついに第三次世界大戦を、やっちまったのか?アタシはマジで焦った。
その時、空を戦艦が通り過ぎた。間違いでは無い。戦闘機では無く、戦艦だ。"そうとしか表現出来ない物体"と言ってもいい。
巨大な釣り鐘状の、その形には見覚えが有った。アレは確か……ヴィマーナだ!
つまりここは、古代インドの核戦争の現場なのだ!アタシは愕然とした。
そんな途方に暮れるアタシの目の前に、突然一人の半裸の少年が、転がり出て来たのだ。
瓦礫と瓦礫の間からやって来たその少年は、直ぐに立ち上がると、右手に持った金剛鈴を、水平に構えた。
するとその両端から金色の光刃が現れた。つまり、映画スターウォーズで、"ダース・モール"が使っていた、アレと同じ武器である。
瓦礫の間から、次々に機械人形の追手たちがやって来る。
ただしその通れる幅は狭いから、自然に一列になる。
良い戦法だ。
アタシは感心して見ていた。
彼は先頭の敵から、順番に始末して行った。




