⑲ ポタラ宮にて
もうこれで、何度目の時空ジャンプだろうか?
次にアタシが出た場所は、またまた寒い所だった。
どうやら季節云々と言うより、標高が高いらしい。
それは、周りに見える山々の頂きが、雪を被っている様子からも、明らかだった。
それに、ここなら、今までに資料を何度も見たから知っている。
ここは歴代ダライ・ラマの居場所。
チベットのラサにある宮殿。ポタラ宮だ。
そしてここは、あのウアジェト女王の統治する、地下世界への入り口を、守るための関所なのだ。
「ようこそ。時の旅人よ……」
アタシがキョロキョロしていると、そんな風に声を掛けて来る者が居た。振り返ると、そこにはダライ・ラマ……何世かは分からない……が居た。
「……そろそろ来る頃だと、思っていたよ」
「アナタのような教祖様は、みんなそんな事を言うのね?」とアタシ。
「予感が有り、分かってしまうのだから、仕方が無い」と教祖様。
「お弟子さんたちは、一体どうやって、貴方のお誕生日のサプライズを、仕掛けるのかしら?気苦労をお察しするわ」
「キミには、前々から興味が有ったのだよ。それに、お礼も言っておきたかった……」
「あら、何の事かしら?」
「キミを始めとする、チーム・サン・ジェルマンの面々は、度々地下世界の危機を救ってくれたからね」
「ああ……あの件ね」(第24巻 参照)
「我々の務めは、その地下世界に入る、ゲートの守護だ。それ故、この持ち場を離れる訳には行かない」
「……存じておりますとも」
「だから、実際に地下世界の現場で、闘ってくれたキミたちに、申し訳無い気持ちで、一杯なのだよ」
「良いのよ。アタシたちは、ボランティアの正義の味方なんだから……気にしないで」
「サン・ジェルマン君と、他のメンバーにも、宜しく伝えておいてくれたまえ」
「……分かったわ。ところで、ちょっとお願いが有るんだけど?」
「何かな?私に出来る事なら、何なりと……」
「そのゲートとやらを、アタシに見せて下さるかしら?」
「それは……」
「ああ、やっぱダメかあ、残念だなあ。アナタにしか出来ない事かなって、思ったんだけど?」
「分かった、良いでしょう。ちょっとだけですよ?」
「何だか加藤茶みたいなセリフ……」
「……えっ?」
「何でもないの。気にしないで」
その後、アタシは宮殿の地下3階まで案内された。
そこには確かに立派な門……つまりゲートが存在していた。
それは真っ黒い、鋼鉄製の、でも何処かで見たような……ああ、オーギュスト・ロダン作の"地獄門"だ。あれに良く似ていた。
そこでは、鍛え上げられた筋肉の、屈強そうなダライ・ラマの弟子が2名、長い槍を片手に、門番として頑張って居た。もちろんそれ以外にも、目に見えない強力な結界が張られている事は、間違い無い。
門外漢のアタシにも、ビンビン感じるナニかが、そこに確実に存在していた。




