⑭ 万里の長城
次にアタシが出現したのは、一目でソレと分かる場所だった。ここは、万里の長城だ。それにしても、時代は何時だろうか?どうやら、辺りに観光客が見当たらないようだ。つまり、現代ではない。
それに、少しだけ寒い気がする。
北京よりも、モンゴル付近に近い場所だろうか?
確か嘉峪関……だっけ?
よく見ると、駐在している兵士が数名居る。
ただ明らかに、見た目が素人っぽい。
恐らく、農民から徴用された者たちなのだろう。
「你好」
アタシは出来るだけ友好的に見えるように、中国の標準語で挨拶した。
こんな事もあろうかと、勉強しておいて良かった。
兵士たちは身構えた。まあ無理も無い。
目の前に突然、セーラー服姿の少女が降って湧いたのだ。
「調子はどう?怪しいヤツとか居た?」
アタシは尚も喋りながら、ゆっくりと彼等に近づく。
「怪しいのは、オマエだろう。何処から来た!?」
勇敢にも、兵士の一人がそう言った。
可愛そうに、少し震えている。
「あー、アタシ?ちょっと遠くから来たのよ」
(ウソではない)
「詳しく説明しろ!敵対民族の娘か?間諜なのか?」
「私はただの小娘よ?匈奴とかではないわ」
(仮にスパイでも、自白する訳無いけどね)
そんな問答を続けていると、何やら城壁の外で動きが有った。とたんにアタシの事は捨て置き、そちらに警戒モードに入る兵士たち。
「奴らが来たぞ!迎撃準備!」誰かが怒鳴った。
兵士たちは手に手に弓矢を持ち、構える。
それを聞いたアタシも、城壁の北側を覗き込む。
下から這い上って来るのは、匈奴などではない。
何故か見覚えの有る、バケモノたちだった。
「あれは爬虫類族……アラハバキね?」アタシは呟いた。
こんなところでも、暗躍していたなんて……。
奴らは、上から撃たれる鉄矢の攻撃など、ものともせず、這い上がる。
一個中隊100名程居るか?仕方が無い。
少しだけ加勢してやるとするか。
アタシは近場の兵士の腰から、剣をひと振り頂くと、それを上段に振りかぶりながら、城壁の外へ跳び出した。
突然の伏兵に驚く、アラハバキたち。
中には「おい、コイツ、真田雪子だぞ?」と、アタシの正体に気づく者も居た。
構うものか。どうせ皆、あの世行きだ。
奴らの背後に回り、チカラを乗せた剣で、次々に首を斬り落としては、ソレを燃やすの繰り返し。途中で飽きて来たが、何とか最後までやり遂げた。




