⑩ アドバイス
「ところで、キミの今の状態について、キミ自身はどう考えているのかな?」
天使は質問に対して、質問で返して来た。
「この、時が止まった世界について?」
「そうだね」
「どうせアンタたちみたいな、四次元人の仕業じゃないの?」
「いや、酷い言いがかりだなぁ。コレは、キミ自身がヤッている事なのに……」
「……?どういう意味かしら?」
「キミの体内の物理的な活動が余りにも速いために、周りの現象が相対的に、全て止まって見えているのさ」
「なっ……!?」
「仮に普通のニンゲンが、このチカラを使えば、その肉体は、たちまち老化の一途を辿るだろうねぇ」
「そうか……」
「だがキミは、幸か不幸か、不老不死の肉体を持っている。だからたまたま、無事でいるのさ。しかし、所詮は物理的なボディ。そんな酷使を続ければ、遅かれ早かれ、何かしらの不具合が……」
「……解ったわ。どうすればイイの?」
「まず僕の眼を見て」
「見たわよ」
「次はゆっくりと深呼吸して」
「すぅ~はぁ~……」
「眼を閉じて」
「閉じたわよ」
それきり天使は沈黙した……そして突然アタシは、パン!と背中を叩かれた。アタシは目を開けた。世界は動き出していた。半信半疑だったが、天使の言った事は真実のようだった。アタシはどっと疲れて、その場にへたり込んでしまった。
要するに心を落ち着けて、"今"に集中しろと言う事だったらしい。
このチカラは、今後利用できそうだ。
早くコントロール出来るようにならなければ……。
アタシは直ぐにそう思った。
少し歩くと、川が見えて来た。
コレは例の、雪村が溺れていた場所だ。(第7巻 参照)
今は晴れているから、別の日なのだろう。
アタシは無意識に、自分にとっての聖地巡礼を、していたと言う事か。
アタシは一人で苦笑してしまった。
「もういいわ。別の場所に行こうっと……」
アタシはまた、あてどもない時空転移を始めた。
次に出た場所は、少し蒸し暑いところだった。
アタシは空中に浮いていた。
多分、本能的にその方がイイと判断したのだろう。
眼下に海が見える。
それに多数の戦艦が何隻か停泊している。
湾の岸辺の形から見ると、どうもそこは、ハワイのオアフ島らしい。
と言う事はつまり……?
案の定、北方から100機以上は有ろうかと言う、戦闘機がやって来たのだ!




