007 少女シオンVS無法者ペルメル
シオンは自分を鼓舞するように叫ぶ。
「随分とやる気のようだが……、オメェにおれは倒せねェよ!!」
それに呼応するかのごとく、ペルメルはシオンに詰め寄る。
(……見えないッ!!)
「遅せェなぁ……!!」
そして、ペルメルはシオンの胴体に触れる。ビリビリ……と電流のような現象を走らせて、それはシオンの身体に直撃した。
「ぐォ!?」
「おれの〝魔術〟は、身体に医学的な攻撃をくわえるんだよ……!!」
シオンは再び転げるように倒れる。呼吸がまばらになりながら、またもや翼で身体を修復しようとそれを動かすが、
ペルメルがそれを許すわけがない。
彼は、羽が触れる直前に追撃を仕掛ける。今度はシオンの身体を踏み、〝彼女〟の胃にダメージを与えた。
「ぐぁああッ!?」
「二度も同じ手をくらうほど、馬鹿じゃないんでね……!!」
胃に穴が空くような感覚に陥り、シオンはのたうち回る。はぁ、はぁ……と息を切らし、もう瀕死だった。
「シオンさんッ!!」
役立たずの天使が声を張り上げるも、どうせなにかをしてくれるわけでもない。こうなれば、自分でなんとかするしかない。
(攻撃は最大の防御、か……!)
シオンは、激痛に悶えながら、近くに飛び散っている羽に着目する。これでなにかできないか、と。
「さて、どんな死に方が良いんだ? それくらいは選ばせてやるよ……!!」
シオンは、フッと笑う。
「今の〝私〟に、死に方は選べねェよ。だから……そのままそっくり返してやるさ!!」
シオンは、羽を脳波で動かし、ペルメルの背中に当てる。
それでも最初は、訝るような表情だったペルメルだったが、
やがて、その羽は発火した。
「うぉッ!?」
背中が燃え、ペルメルはあられもなくのたうち回った。
「ここからが本番だ!! クソ野郎ォ!!」
シオンはアドレナリン全開で起き上がり、ペルメルの四方八方に羽を展開する。
それらは、発火・氷・単なる鈍器などに代わり、ペルメルを痛めつけていく。
「クソガキがァ!!」
ペルメルは叫ぶも、これだけの攻撃を喰らって無事で済むわけがない。シオンは動き回る羽を、脳内麻薬のみで動かす。
もう立っているのが精一杯だが、歴戦の強盗犯であるシオンは、こういう危機的状態を何十回も経験してきた。だからシオンは、攻撃の手を緩めない。
「はぁ、はぁ……!!」
肩で息をして、目も霞んでいるが、なおも負けるわけにはいかない。無法者にとって、負けるということは死を意味する。
ヘーラーの言ったことが正しければ、シオンはもう輪廻転生もできない身分だ。ならば、ここで勝つしかないのだ。
「クソ……ッ」
そんな中、断末魔とともにペルメルは倒れ込む。シオンは安っぽい拳銃を取り出し、ペルメルにトドメを刺そうとする。
が、
ヘーラーが、ペルメルとシオンの間に入り込む。
「いけません! シオンさん!! 人殺しなど!!」
シオンは舌打ちする。
「この世界は、殺るか殺られるか、なんだよ。殺らなければ殺られる。それでもオマエは、夢物語みてェなことを言ってやがる。ムカつくな……!!」
「ヒトは助け合うべきです!! 隣人を愛し、罪人を許すのです!!」
これでは押し問答だ。シオンは深い溜め息をつき、拳銃をベルトの間にしまう。
「あぁ、そうかよ……」
「分かってくれたのですね!! やはり貴方も、根は善人なのでしょう!!」
「声を潜めろ、と言っているだろうが。女のキーキーする声は大嫌いなんだよ……」
「あ、ごめんなさい……」
「まぁ良いや……」
シオンは、力なくその場に倒れ込むのだった。アドレナリンが完全に切れて、当分立ち上がることはできないだろう。




