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そうだ、異世界でも強盗しよう-35歳TS少女の成り上がり -  作者: 東山統星
シーズン1 天使の顔を持つ怪物──シオン・タカハシ

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007 少女シオンVS無法者ペルメル

 シオンは自分を鼓舞するように叫ぶ。


「随分とやる気のようだが……、オメェにおれは倒せねェよ!!」


 それに呼応するかのごとく、ペルメルはシオンに詰め寄る。


(……見えないッ!!)

「遅せェなぁ……!!」


 そして、ペルメルはシオンの胴体に触れる。ビリビリ……と電流のような現象を走らせて、それはシオンの身体に直撃した。


「ぐォ!?」

「おれの〝魔術〟は、身体に医学的な攻撃をくわえるんだよ……!!」


 シオンは再び転げるように倒れる。呼吸がまばらになりながら、またもや翼で身体を修復しようとそれを動かすが、

 ペルメルがそれを許すわけがない。

 彼は、羽が触れる直前に追撃を仕掛ける。今度はシオンの身体を踏み、〝彼女〟の胃にダメージを与えた。


「ぐぁああッ!?」

「二度も同じ手をくらうほど、馬鹿じゃないんでね……!!」


 胃に穴が空くような感覚に陥り、シオンはのたうち回る。はぁ、はぁ……と息を切らし、もう瀕死だった。


「シオンさんッ!!」


 役立たずの天使(ヘーラー)が声を張り上げるも、どうせなにかをしてくれるわけでもない。こうなれば、自分でなんとかするしかない。


(攻撃は最大の防御、か……!)


 シオンは、激痛に悶えながら、近くに飛び散っている羽に着目する。これでなにかできないか、と。


「さて、どんな死に方が良いんだ? それくらいは選ばせてやるよ……!!」


 シオンは、フッと笑う。


「今の〝私〟に、死に方は選べねェよ。だから……そのままそっくり返してやるさ!!」


 シオンは、羽を脳波で動かし、ペルメルの背中に当てる。

 それでも最初は、訝るような表情だったペルメルだったが、

 やがて、その羽は発火した。


「うぉッ!?」


 背中が燃え、ペルメルはあられもなくのたうち回った。


「ここからが本番だ!! クソ野郎(やろ)ォ!!」


 シオンはアドレナリン全開で起き上がり、ペルメルの四方八方に羽を展開する。

 それらは、発火・氷・単なる鈍器などに代わり、ペルメルを痛めつけていく。


「クソガキがァ!!」


 ペルメルは叫ぶも、これだけの攻撃を喰らって無事で済むわけがない。シオンは動き回る羽を、脳内麻薬のみで動かす。

 もう立っているのが精一杯だが、歴戦の強盗犯であるシオンは、こういう危機的状態を何十回も経験してきた。だからシオンは、攻撃の手を緩めない。


「はぁ、はぁ……!!」


 肩で息をして、目も霞んでいるが、なおも負けるわけにはいかない。無法者にとって、負けるということは死を意味する。

 ヘーラーの言ったことが正しければ、シオンはもう輪廻転生もできない身分だ。ならば、ここで勝つしかないのだ。


「クソ……ッ」


 そんな中、断末魔とともにペルメルは倒れ込む。シオンは安っぽい拳銃を取り出し、ペルメルにトドメを刺そうとする。

 が、

 ヘーラーが、ペルメルとシオンの間に入り込む。


「いけません! シオンさん!! 人殺しなど!!」


 シオンは舌打ちする。


「この世界は、殺るか殺られるか、なんだよ。殺らなければ殺られる。それでもオマエは、夢物語みてェなことを言ってやがる。ムカつくな……!!」

「ヒトは助け合うべきです!! 隣人を愛し、罪人を許すのです!!」


 これでは押し問答だ。シオンは深い溜め息をつき、拳銃をベルトの間にしまう。


「あぁ、そうかよ……」

「分かってくれたのですね!! やはり貴方も、根は善人なのでしょう!!」

「声を潜めろ、と言っているだろうが。女のキーキーする声は大嫌いなんだよ……」

「あ、ごめんなさい……」

「まぁ良いや……」


 シオンは、力なくその場に倒れ込むのだった。アドレナリンが完全に切れて、当分立ち上がることはできないだろう。


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