006 ペルメル・エデン
どうやら、身体能力も強化されているらしい。普通なら死ぬ銃弾を喰らっても、BB弾と同じくらいの痛みしか走らない。
「さぁ、反撃の時間だ」
シオンはそう呟き、羽を伸ばした。
そうすれば、
アスファルトがえぐれ、ガードレールが吹き飛ぶ。被害は大きいが、無法者がそんなことを気にするわけもない。
「うぉッ!!」
そして、連中は魔術を使えないようだ。なんら反撃をしてこず、さながらのれんを押しているような感覚であった。
「クソッ……ガキの皮を被った化け物め……」
かろうじて会話できる者は、うめきながらそう言った。
(……張り合い、ねェなぁ)
別に鉄火場のごとく殺し合いがしたいわけではないが、張り合いがなさすぎるのも事実。シオンは溜め息をつき、現れた連中が全員瀕死になったところで、ホテルへと戻ろうとした。
すると、
ヒュー……と、シオンの肩に銃弾らしきものが直撃した。
「なんだ……?」
シオンは、地面を一瞥する。そこには、高身長の男がいた。髪は黒色のオールバック。後ろ髪は長く、耳にはピアスをしている。彼は、シオンに向けて発砲するかのように指を向けている。どうやら、闘えそうなヤツが出てきたようだった。
「ペルメルさん……!!」
連中のひとりが、待っていましたと言わんばかりに声を出す。
「オメェら、ガキひとりに苦戦し過ぎ。〝魔術師〟だと分かってるのなら、端からおれを呼べよ」
ペルメル、という男は、不敵に笑う。
「さーてと、この街の暗部は、オメェごときじゃ破れねェことを教えてやるよ」
空を舞うシオンに、ペルメルは指をくるくると動かす。
そして、
シオンの内臓に、激痛が走る。
「ぐぉッ!?」
たまらずシオンは地面に落下する。身体能力が向上しているからか、落下自体に痛みはないが、それでも肝臓辺りの痛みは消えない。
「ペルメル・エデン。パープルズのナンバー2。更に、汚れ仕事はおれの専売特許だ」
ペルメルはそう言い放ち、地面に落ちて悶えるシオンの頭を踏む。
「ぐッ……!!」
シオンは情けない声を漏らすも、いかんせん肝臓付近が痛いので、動くことができない。
「さて、ガキの頭を踏み潰すのは気が引けるが……仕方ないよな。オメェの所為で、同胞がたくさんボコられたんだから」
ペルメルは、一旦シオンの頭から足を離し、ついに彼女の頭をカチ砕くべく足を上げた。
これは死んだのか? 異世界に来て、まだ1日も経っていないのに……。
クソッ……!!
「──シオンさん!! なにやっているのですか!?」
不愉快な声が聞こえてきた。ペルメルは、「あァ……?」と足を止める。
その隙に、シオンは身体を転がせて一旦ペルメルから逃げた。
「見れば、分かるだろ。殺され、かけているんだよ……」
「2回死んだら、もう輪廻転生できませんよ!?」
「うる、せェなァ……」
ただ、ヘーラーが役立つとは思えない。
さぁ、どうしようか。シオン・タカハシ。
(待てよ……、〝おれ〟の翼は爆発を起こす。なら、それを内臓にぶっ刺せば、なにかが怒るんじゃないか……!?)
確証なんてどこにもない。ただ、それでも賭けてみるしかないのも事実。シオンは、翼を生やして、それを肝臓部分にぶっ刺した。
そうすれば、
シオンの臓器は、爆発どころか復活を遂げるのだった。
「へェ……」
ペルメルは、またもや不敵に笑う。
「面白れェ使い方だ。爆発を起こすだけでなく、再生能力も持っていると」
シオンは起き上がり、ホコリをパンパンとはらう。
「ここからが本番だ……!! さぁ、かかってこい。ペルメル・エデン!!」




