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そうだ、異世界でも強盗しよう-35歳TS少女の成り上がり -  作者: 東山統星
シーズン1 天使の顔を持つ怪物──シオン・タカハシ

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003 天空の死神

「……まぁ、オマエなんか殺しても、ハクが落ちるだけだしな」


 確かに、強盗する際にヒトを殺めたこともある。しかし、殺すにしても格というものがあるのも事実。それにこんな馬鹿を殺めたところで、意味がない。


「といっても、こんな姿じゃ強盗してもギャグにしかならないな。警備員に笑われちまうよ」

「また強盗をするつもりですかッ!?」

「当たり前だろ。それ以外の稼ぎ方を知らねェんだ、おれは」

「……〝おれ〟とか言わないでくださいよ。それに、もっと女の子らしい言い回しをすべきです」

「なるほど。よほど痛い目に遭いたいわけだ」

「そ、そんなつもりは毛頭ございませんッ!! ただ、そういう言い方をしなければ、周りのヒトに訝られますよ?」

「まぁ、一理あるか……」


 こんな姿にされてしまったので、相応の口調にならなくてはならないのも事実であろう。それでも、今まで男性的な口調だったのに、いきなり女性風に言い直すのは、なかなか苦労しそうだ。


「で? おれ、あぁいや、私に与えられた能力ってなに?」

「〝天空の死神〟というものですッ!!」

「声を潜めろ。オマエの声、耳障りなんだよ」

「あ、ごめんなさい……。で、ですが、とても強力なものですよ?」

「どういうものなんだい?」

「まず、飛行能力が付与されます。更に、翼を生やすことができ、それらは敵に触れさせることで爆発を付与するのです」

「へェ。面白い能力だ」

「ただ、使うには相応の集中力が必要になります。いわば、超強力に近い力といえるでしょう」

「じゃあなにか? 魔術もあるのか?」

「この〝アンゲルス連邦共和国〟は、通称〝魔術と技術の国〟と言われていて、魔術師は人口の6割を占めます」

「そりゃあ、結構。とりあえず使ってみたいものだね」

「しかし、これはあくまでも自衛の力。決して、悪事に使ってはなりません」

「それをおれにいうのか? オマエ、強盗犯と組んでいる自覚あンの?」

「それでも、私は貴方に更生してもらいたいので」

「あぁ、そう……」


 ここまで言っておいてなんだが、今のシオンは少女だ。そもそも、強盗なんてできないと思ったほうが良い。味方集め然り、銃火器の扱い然り、見知らぬ街で強盗計画を立てるという危険性然り……現状、すぐに強盗へ取り組むのは不可能であろう。


「ま、与えられたカードで勝負するしかない、って言うもんな」

「そうです。貴方は、自分の少ない手札で生き残るしかない。だからこそ、まずは子役を目指して──」


 シオンは、意味の分からないことを言い出したヘーラーを無視して、ダラダラと夜の街を歩き始める。


「ちょ、無視しないでくださいッ!!」

「ガン・ショップはどこにあるかねェ……」


 先ほど、チンピラから奪った財布にはカネがある。安いハンドガンなら買えるだろう。とりあえず、銃がなければ落ち着かないのがシオンの悪癖だ。

 と、歩みを進めていれば、


「おい、あのガキだッ!! おれらのホーミーに金的しやがったのは!!」


 紫色のバンダナと短パンを履いた、いかにもチンピラのような連中が、シオンを指差してきた。


「はぁ」


 シオンは溜め息をつき、指を曲げる。


「テメェ、良くもおれらのホーミーをひでェ目に遭わせやがったな!? ぶち殺してやるよ!!」


 不良は3人。すでに拳銃を取り出している。こちらにも銃があれば勝てるだろうが、いかんせんそんな代物は持っていない。

 だからシオンは、息をスゥーと吐く。

 そうすれば、

 背中がバチバチッ、と光り始める。


「なるほど」


 鉄のごとく落ち着けば、〝天空の死神〟とやらが発動するらしい。あとは、どの程度動かせるかだろう。


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