ep.2 可笑しいよ、小夜ちゃん
「そのせいでさ、寝れなかったんだよね〜……」
ねぇ、聞いてる?
そういうと、星は眠たげな瞳をこちらに向けてから、言った。
「聞いてたよ、災難だったね」
「そっか、良かった〜」
ほとんど同じことを言っていたような気もする。
けれどさっき言ったことすら、もう覚えていない。
「ねぇ、今日は何時までいてくれる?」
しかし、星は答えない。
それどころか、赤信号に突き進もうとしている。
それを見かねて、彼の手を掴んで話しかける。
「星?いくら遅刻しそうだからって、流石にそれはやばいよ」
「……ごめん、小夜。ありがと」
掴んだ手を、恋人つなぎに変えてぎゅっと掴む。
その手は生暖かくて、生きていることを強く感じさせる温度だった。
「ほら、遅刻するから急ぐぞ」
「はぁい」
私は星に手を引かれて、少し速歩きで登校していた。
そうして登校した、学校。
そこで授業を受けている間でさえ、星に何を話すかを考えてしまう。
『可笑しいよ』と友達に言われるし、もちろん自覚もしている。
それでもそれが私で、それを受け入れてくれるのが星だ。
だから私は、変わる気なんてない。
最も、視力をこれ以上悪くしたくないので、インターネットから離れたい、という思いはあるけれど。
「可笑しいよ、小夜ちゃん」
今日もいつもと同じ言葉。
いい加減、飽きてしまった。
そんなことを思っていると、唐突に隣の席の子が声をかけてくる。
「いきなり笑って、どうしたの?三日月さん、大丈夫?」
そう声をかけられて、始めて自分が笑っていることに気がついた。
自分でも理由はわからない。
いつもなら、嫌だと思うはずの言葉をかけられて、笑うだなんて。
「んーん、なんでもないよ」
そう言ってる間も私は、理由もわからず笑っていた。
深夜ハイで作成しております。
by作者




