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天界物語~天使たちの舞踏会  作者: 髙橋涼羽


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8/9

第7話

「あのさ、服装なんてどうだっていいんじゃない?」


 アスタロトは姉の声で、現在に引き戻された。


「え~、なんでだよ?」

「意外と天使なんてオシャレには疎いのよ。どうせ、あんたの服装なんて気にしちゃいないわ」

「そ、そんなあ~……!」

 身も蓋もない事を言う姉に、たちまち萎えてしまったアスタロト。


「でも姉貴、少なくともウリエルはオシャレだと思うよ」

 彼は、姉の”天使はオシャレに疎い”という言葉に抵抗してみた。これは贔屓目ではなく、本当に天使の中で(ウリエルは)一番のお洒落だと彼は思ったのだ。

 錬金術に長けた彼女が、いつも自分が作成したアクセサリーを身に付けてるのを彼は知っている。


 するとアシュトレイトは「あんた、彼女の”後ろ”に誰が付いてるか知ってるでしょ?」と、意地悪そうにニヤリとした。


(……ん、たく。こういうところは昔から変わってねえな)


 アスタロトは、一人の女性の姿を思い出していた。


「リリス……だろ?」

 彼は顔をしかめた。


 リリス――――天使でも、アスタロト達のような地獄管理界の者でもない。人間界でいう悪魔で、美しい妖魔だ。今は、天界の花園の管理人を任されている。

 彼は、ウリエルが時々彼女と一緒にいるという噂を耳にしていた。そのせいか、勝手に彼はライバル視しているのだ。

 それが、ただ仲が良い友人ならばアスタロトも別に問題視してないだろう。

 しかし、彼はリリスに対して、ウリエルへの感情が友人以上のものを感じていたのだ。

 実は彼は一度、管理界で彼女に会った事がある。その時のリリスのアスタロトを見る勝ち誇った目が、今でも忘れられなかった。



『ねえねえ、見た? ウリエル様の右耳』

『うんうん、見た見た!』

『あれって人間達の間で流行ってるイヤーカフだよね』

『あれ、リリス様もしてたよ。おんなじの!』

『もしかして、お・そ・ろ・い?』

『キャーッ! それってー!』



 以前、廊下ですれ違った女子の会話。



『しっ! アスタロト様に聞こえる』


 ――――もう遅いよ!



「まあとにかく、セレブ連中のパーティーにでも潜入か覗いて見れば、良い見本があるんじゃない?」

「……そっか。そうだね」


 彼女(ウリエル)は何でリリスなんかと一緒にいるんだろ?

 アスタロトはそんな事を考えながら、姉に生返事をした。


 その後、アスタロトは姉であるアシュトレイトと惜しみつつも(おそらく永遠の別れとなるであろう)、その地を後にしたのだった。


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