↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天界物語~天使たちの舞踏会  作者: 髙橋涼羽


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
48/59

第47話

 クイーンの名曲流れる部屋の中アスタロトは上半身裸になり、スタンドミラーの前に座っていた。

 よく鍛えられた美しい腹筋が、鏡に映されている。

 彼は鏡に左腕を映し、丁寧に手彫り針で翼を描いていく。すると、徐々に鮮やかな見事な翼が浮かび上がってきた。

 手彫り針は、アスモデから紹介された彫り師から借りた物であり、それは人間達の使う物とはあきらかに異質な物であった。

 その針は地獄の奥底に棲む地獄獣の爪を加工された物で、罪人達の魂を引き裂いてきた物だ。


 息を詰め、最後の仕上がりへ。そして――。


(完成だ……)


 アスタロトはゆっくりと息を吐き、鏡の中のタトゥーをじっくり確認する。


 カ・ン・ペ・キ……。


 タトゥーの翼は片翼だったが、羽根の細部まで表現されており、今にも羽ばたきそうである。

 ウリエルの翼――。

 頬に残った彼女の唇の感触が蘇り、胸が締め付けられた。


「さすがだな、俺は……」

(副業に刺青師もありかな?)

「ウリエル、君は何て言ってくれるかな?」

 早くウリエルに見せたくて、ウズウズしていた彼であった。切ない思いに駆られ、もう一度鏡の中の翼を眺める。鏡の中の翼は、彼の思いに反響するかのように躍動していた。


「そうだ、あいつに自慢してやろう!」

 アスタロトはウリエルに見せる前に、さっそくアスモデを呼びつけ、”力作”のタトゥーを披露した。

「お前すげーな! この翼本物みたいじゃんか!」

「だろ? 自分でも驚いてる。ああ……自分の才能が恐ろしい!」

「うるせーよ! 道具のおかげでもあるんだぜ。何といっても地獄獣の爪で出来た針だからな」

「わかってるよ! ああ、早くウリエルに見せたいよ」

 アスモデは、そんな友人に呆れながらも笑っていたが「ああ、お前に言い忘れた事あるんだけど」と、急に真顔になった。

「なんだよ?」

「一晩はかなり苦しむからな。俺も経験したし」

「なんだよ、それを早く言えよ」

「言ったら止めたか? 止めないだろ?」

「まあ、そうだけど」

「ま、覚悟しておくんだな。それより、何で片翼なんだ?」

「両翼なんて、あまりに図々しいだろ? 片翼で十分さ」


 な、ウリエル……。これで、いつでも一緒だ。


 その晩、アスタロトはアスモデの言った通り、痛みと熱に苦しんだ。その苦しみの中、彼は夢を見たのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。