第11話
――――天界にある大会議室の前。
一人の小柄な天使が扉を開けるのに悪戦苦闘している。天使といっても翼は消してあった。この忌々しい扉を開けるのに、邪魔だったからだろう。おそらく……。
「ん、もう! この扉ったらいつも重くて嫌い!」
――――ウリエルであった。
その背後で後から来たであろうベリアルが、おかしそうに眺めている。
ギギーーー……。
少し内側へ隙間が出来た、とその時――――。
いきなり、扉が勢いよく開けられたのだ。
犯人はベリアル。
わざとウリエルの後ろから思い切り扉を開けたものだから、彼女はその反動で顔から転んでしまった。
「きゃーっ!」
倒れている彼女の上を、ベリアルは当然のように跨いで部屋へと入って行った。
「ちょっと、なにするのよ!」
「ああ、すまんすまん。ちっこいから目に入らんかった」
「うるさいわよ! あなた達がデカ過ぎるんでしょ!」
ウリエルはすぐ起き上がり、ベリアルの背中を思い切り叩いてやった。
(あの二人、またやってるわ)
その後やって来たガブリエルが、半分呆れながら二人のやり取りを見ていた。
(仲が良いんだか、悪いんだか……)
やれやれというように、彼女は首を振った。
大会議室は中へ入ると壮大な宇宙が広がっていて、色とりどりの星雲があちこちで見られた。扉を閉めると、会議室自体が(宇宙に)浮かんでいるようだ。
正面には巨大な鏡が鎮座しており、人間界の過去や未来、あらゆる全てを映し出す事が出来る。
すでに座天使長ラジエルと、主天使の一人であるザドキエルが来ていた。
ラジエルは大長老のように、慈愛と威厳に満ちた大天使だ。青い髪の毛と豊かな髭は床まで届き、マントを纏った体は透けて、向こうの星雲達が見えていた。
ザドキエルはスラリとした長身で、キラキラ光る紫色のジェラバのような服を着ている。
二人とも翼は消してあった。
その後、同じく翼を消したミカエルとラファエルが入って来た。
遅れてルシフェルがやっと来たのだが、これはいつもの事。
「重役出勤……」と、ボソリとウリエルが呟いた。隣でベリアルが咳払いし、彼女を睨む。
ウリエルはちょっと肩をすくめただけで、平然としている。
やがて、会議が始まった。




