【36】友情イベント、成立。〜悪魔は聞いた、ラッキーマンの消える覚悟〜
そして、ルチアーノは完全に信仰の賜物となってしまった遥斗のネックレスから身を守る為に、
イレイナに追加で5万ドル支払い、
あの十字架の威力から自分を護るまじないをかけて貰った。
ルチアーノが前の席の遥斗の背中を睨み付ける。
――ハル……!!
お前が、俺様の友達の翔太との合同プレゼントで納得していれば良いものを……!!
しかーも!
俺様が何でお前の為に、また動かなきゃならんのだ!?
そう。
ルチアーノには、
ロクシーから厳命された、次なる任務があったのだ。
アンジュの誕生日から二日経って、
アンジュとルチアーノが図書委員の当番の日、
アンジュはルチアーノに向かって誇らしげに、あの白い箱を見せた。
冷や汗がツーッとルチアーノの額を伝う。
アンジュは真っ白な頬を薔薇色に染めて、
箱を開けると、ルチアーノに告げる。
「ルチアーノよ!見よ!
『ラッキーマン』からの“凜花”への誕生日プレゼントである!」
ルチアーノが必死に作り笑顔を浮かべて答える。
「綺麗なネックレスだネ☆
素晴らしい信仰心のある人だネ☆
『ラッキーマン』ってネ☆」
ルチアーノが、
何とかロクシーの脚本通りにカクカク喋る。
そして、確信する。
(――良し!
この十字架で俺様は溶けない……!!
イレイナのまじないは効いてる……!!)
ホッと一息つき、
ルチアーノがまた脚本通りに話し出す。
「あ、俺様、部活に顔出さなきゃいけなかったんだ!
ちょっと行って来ても良いですか?お姫様☆」
アンジュがにこりと微笑む。
「“神谷伊織”としての役目であるな?
うむ!
よかろう!」
「では、直ぐに戻りまーす!」
ルチアーノはそう言って、
そそくさと図書室を出て行った。
それからルチアーノは、
美術部に向かうことなく、
図書室から真っ直ぐ自分の教室に向かった。
音を立てないようにドアを開けると、
誰もいない教室で、
アンジュの机の前に一人の生徒が立っていた。
ルチアーノがすすっと教室に入り、声を掛ける。
「よう、『ラッキーマン』。今日の差し入れは何だ?」
遥斗は振り向かない。
「アンジュちゃんが見せてくれたぞ!
誕生日のネックレス☆
ものすっごく感動してたぞ!!」
「……」
ルチアーノはアンジュの机の上に、
小さなハンドクリームを置いた。
(ロクシー先生……!見ていて下さい!
俺様はやり遂げます……!!)
と心の中で叫びながら。
「これは俺様から『ラッキーマン』に差し入れだ。
わざわざ朝コンビニで買っておいたんだから使えよ☆
お前、手がガサガサで傷まであるじゃねーか!
一体どんなバイトしてたんだか……」
そこで、ふわっふわっふわっと三回髪の毛をかき上げるルチアーノ。
「アンジュちゃんはお前のかわいい手も好きなんだよ☆(設定上な!!)
そんなんじゃ『ラッキーマン』だってバレるぞ☆」
遥斗はハッとしたように両手を握った。
そして、ルチアーノが天を仰ぎ、
ロクシーの脚本を必死に思い出しながら、続ける。
「なあ、ハル。
このままあと、アンジュちゃんは……
『ラッキーマン』が、自分のことが好きかも知れないと誤解するかもよ?(絶対に無いけどな!!)
お前はそれでいいのか?
アンジュちゃんは、お前じゃなくて、
『ラッキーマン』の存在を好きになるかも知れないぞ?(ハイッ!心配御無用!)」
「……それでいいんです」
遥斗は微笑んで言った。
その瞬間、
勝利のガッツポーズしてしまうルチアーノ。
(出ましたーーー!!
ロクシー先生!!
ハルのヤツめに……この俺様は言わせましたーーー!!)
遥斗は背後でそんなことが起こっているとも知らず、続ける。
「アンジュちゃんの興味が『ラッキーマン』に向かえば、
俺のことを考える時間が減っていく。
俺のことを少しずつ忘れて……いつかただの友達になる……」
「ハル……」
悲しげなルチアーノの声。
心では――
(今も、ただの友達だろ!?てか信者だろ!?)
と毒づきながら。
遥斗の独白は続く。
「それにアンジュちゃんは、
正体も分からない『ラッキーマン』なんて、好きになりませんよ。
俺もそのあたりは気をつけてるんで」
「その割りには、努力の詰まったプレゼントしたな~☆(俺様に災厄が降りかかってるけどな!!)」
ルチアーノはロクシーの脚本通り笑って、
遥斗の顔を覗き込んだ。
遥斗の瞳に薄っすらと涙が浮かんでいて、
ルチアーノがまたも心の中で勝利の雄叫びを上げる。
(ロクシー先生……!!
友情イベント成立確定ですッ!!)
そして、妙にしおらしいルチアーノの声がする。
「ハル……お前………」
「未練、ですかね」
遥斗はそっとアンジュの机に触れた。
「俺のことを忘れても、
『ラッキーマン』を忘れないでいて欲しい。
なぜなら『ラッキーマン』は俺だから。
アンジュちゃんがあのネックレスを見て、
『ラッキーマン』のことを思い出してくれれば、
俺のことを思い出してくれるのと同じだから。
……女々しいですよね」
遥斗の瞳が涙でキラキラ光る。
「でもアンジュちゃんが幸せになる邪魔だけは、
『ラッキーマン』はしませんよ。
アンジュちゃんが『ラッキーマン』を好きになりそうなら、
『ラッキーマン』は消えます」
ルチアーノがわざとらしく深紅のシルクのハンカチを噛み締めながら言う。
「ハル……お前本当にそれでいいのか?
そうなれば、アンジュちゃんは、お前の全部を忘れることになるんだぞ」
「ネックレスがあります」
「でも……それだってただの……思い出の一部だろ?
こんなことしてくれた人がいたな、で終わってまうかも知れないぞ?」
「それで十分です」
(良し!今だ……!!)
ルチアーノがその思い通り、
「ハル!」
と大声を上げ、遥斗の両肩を揺さぶる。
「ねえ、ルチアーノさん」
「何だ?(おっと……一回転するところだったぜ☆)」
「俺達は親に金を出して貰って、
学校に行かせて貰って何不自由無く生活して……。
世間の苦労なんて何も知らないクソガキで……」
ルチアーノが、ウンウン、ウンウンと忙しなく頷く。
「それでいいだろ。
俺様たち、まだ高校生なんだからさ☆」
「そんなクソガキでも……
本当に人を好きになって……
愛してるって言ったら笑われますかね?」
ルチアーノがよよよ……と歌舞伎役者のように机に倒れ込む。
「ハル……お前そんなにアンジュちゃんのことが……」
遥斗はふふっと笑うと通学バッグを持った。
「なんてね、冗談ですよ。じゃあ」
すると、ルチアーノが遥斗の背中に向かって言った。
「俺様は……笑わなーい☆
それに、お前はアンジュちゃんを見くびってるぞ!」
遥斗が顔だけ、振り返る。
「ルチアーノさん……?」
ルチアーノが我慢出来ずに、
机から起き上がると、一回転して、指をパチンと鳴らす。
「今に分かる日が必ず来る……!
これぞ……ロマン☆」
遥斗は何も言わず、
また前を向くと、教室を出て行った。
そして、
ロクシーのパソコンの画面に虹色のキラキラのエフェクトが飛び交う中、
文字が現れた。
《友情イベント成立》と。
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