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「ルシアンよ!」と呼んだら乙女ゲームが崩壊しました。〜メリバ転生した大天使は最強騎士で全ルート救済する〜  作者: 久茉莉himari


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35/43

【35】ありがとう、ルシアンくん。〜ラッキーマン、ついに報われる(?)〜

翌朝。


アンジュがルチアーノと一緒に登校し、

普段と変わらず教材を机の中に入れようとして、

何かがコツンと当たった。


アンジュが机の中に手を入れると、

手付きの小振りな紙袋が入っていた。


模様も何もない白い紙袋。


アンジュは何であろう?と思い、

袋の中身を見た。


そこには小さな横長の白い箱に、

真っ白いリボンが結ばれている。


そして、やはり小さなカード。


アンジュが白い箱を取り出そうとすると――

ルチアーノが「……ヒィッ……!」と叫んだ!


「アンジュちゃん……!お願い!!

俺様……その箱には耐えられないッ!

屋上で見てくんなましーーー!!」


アンジュは真っ青になって冷や汗をダラダラ垂らし、

翔太に支えられているルチアーノを見て、

青い瞳を見開くと、

「うむ!よかろう!」

と答え、紙袋を握ると屋上に走った。


屋上は北風が吹いていて、寒かったが、

アンジュはそんなことも気にならない。


リボンをほどいて、白い箱を開けてみる。


中には木彫りの質素な十字架のネックレスが入っていた。


ネックレスのチェーンの部分は、合皮の紐だ。


アンジュがそっと十字架に触れる。


十字架がふわりと輝く。


アンジュの青い瞳が見開かれる。


アンジュは次に、カードを開いた。


今では見慣れた妙に角ばった文字。


『Happy Birthday!

素敵な1年が送れますように』


ラッキーマンであるな……!


アンジュはそう確信し、ネックレスを着けた。


ネックレスが伝えてくる――

神を信じる心を。


「ラッキーマンよ……!

お前の信仰心に神のご加護を!」


アンジュは一人、

北風が吹きすさぶ屋上で涙を止めることが出来なかった。


この学校に、

こんなにも信仰深い人間がいることに感動が止まらずに。


そして、『ラッキーマン』が

「お誕生日おめでとう」

と微笑みながら見守っていることも知らずに。




理事長室のパソコンの前で、

ロクシーがふーっと息を吐く。


「……やった……

ハルの恋心は全く伝わって無いけど、

アンジュちゃんが『ネックレスをして泣いている』ところを

『ラッキーマン』こと、ハルに見せることは出来た……!

これで『一ノ瀬遥斗ルート』は続く……!」


イレイナが一人掛けのソファに座り、

ロマネ・コンティを口元に運びながらホホホと笑う。


「そうね❤️

ルチアーノが支払った5万ドルの価値はあったでしょ?

木彫りの十字架で涙するアンジュの良い画も撮れたし❤️」


ロクシーがグビッと強炭酸水を飲み、

ウンウンと頷き、

「それな〜!」

としみじみと言う。


実際は――

遥斗はアルバイトで貯めたお金で、

有名なシルバーアクセサリーのハイブランドで

ネックレスを買う予定だったのだ。


価格は10万円。


だが、ショップの自動ドアを通り抜けようとして――

ぶつかる190センチ学ラン。


遥斗はルシアンを見上げて言った。


「どいてもらえますか?」


しかし、ルシアンは、

遥斗を米俵の様に担ぐと走り出した。


遥斗は恐怖の余り、

ルシアンの学ランにしっかりと掴まってしまった程だ。


ルシアンの走るスピードは一切落ちること無く、

遥斗を担いだまま、走り続ける。


何分……いや、何十分そうしていただろう。


ルシアンがピタリと立ち止まった。


そっと地面に下ろされる遥斗。


そこは――

遥斗の自宅の前だった。


「……えーと……どうしておれんちに?」


恐怖と混乱で思わず間抜けな声を出してしまう遥斗に、

ルシアンが重々しく言った。


「一ノ瀬くん!

労働は確かに尊い行為であるが、

君はまだ高校生という立場。


10万円もするアクセサリーを買うのは、

おこがましいのでは?」


遥斗がキッとルシアンを睨むと怒鳴る。


「おこがましい……!?

俺は自分で働いて、

アンジュちゃんに誕生日プレゼントを贈りたかっただけなの!!

それっておかしいですか!?」


「おかしい!」


全くブレること無く、ルシアンが答える。


そのルシアンのヘイゼルグリーンの瞳は、

大天使の戦士の眼になっており、

遥斗を断罪するように、厳しく告げる。


「そのような行為はアンジュさまに対して、

自分の能力や立場を超えた、差し出がましい行動である!


アンジュさまは、

供物が高価だからといって喜ぶような卑しい方では無い!


アンジュさまは正しく天界の光……!

野に咲く一輪の花にも、

神のご恩寵を見られる方なのだ……!!」


遥斗はルシアンの言っていることが、

何一つ分からなかったが……

突然、

「……そうだ……!」

と、なぜか心から思えた。


そう――

イレイナのまじないが発動したのである。

ルシアンにも気付かれぬように。


遥斗が目をキラキラ輝かせてルシアンに向かう。


「俺が間違っていました……!

アンジュちゃんには……

俺が手作りして、十字架のネックレスをプレゼントします!」


ルシアンの無表情にフッと小さな笑みが差す。


「一ノ瀬くん……!

素晴らしい決断だ!

私も出来ることは何でも手伝おう!」


そうして、ルシアンはあの『要塞テント』をまたも

遥斗の家の庭のデッドスペースに5分で完成させ、

二人の共同作業が始まった。


まず、ルシアンは

遥斗が彫刻刀で掘りやすい木を、

何処からか調達してくれた。


ネックレスの紐は100円ショップの合皮の黒い紐にした。


手つきの袋や箱、リボンも同じく。


そして、遥斗が十字架を掘っている間中、

ルシアンは遥斗を見守り、

時に助言し、

持久力を重点に栄養を完璧に整えられた食事の用意、

そして遥斗の部屋の隅で

立ったまま聖書を暗唱し続けた。


そうして、出来上がった、

手作りの木彫りの十字架。


それが出来上がった途端、

ルシアンの姿は無かった。


遥斗は、

ルシアンが立っていた部屋の隅に向かって言っていた。


「ありがとう、ルシアンくん」と。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

明日も17時更新です☆


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