【28】ラッキーマン、勝率0%〜全てを最適化する学ラン〜
そう――
『ラッキーマン』からの、初めてのアンジュへのささやかな贈り物。
アンジュが午後に一度教室を出て行ってから、
なかなか戻って来なくて、
『ラッキーマン』がやきもきしていると、
アンジュはホームルームが終わった頃、
堂々と教室に戻って来た。
ルチアーノは笑顔で、
「今日のお昼寝は長かったね!お姫様☆」
などと言っているし、
翔太も「良く眠れたー?」と気にしている風は無い。
そこで、『ラッキーマン』は、
午後の授業の内容を図書室でタブレットを使って書き起こし、
さあ印刷しようと立ち上がったその時、
現れた――
190センチの学ラン。
ルシアンだ。
ルシアンはジロリとタブレットに目をやると言った。
「見出し構造を整理、参照番号を振る。
そして因果関係を明確化し、余白の均等化をお勧めする!
アンジュさまへの報告書には必要不可欠!
よろしければ、お教えするが?」
『ラッキーマン』は頷くことしか出来ず、
結局、ルシアンに手伝って貰って
午後の授業のノートの写しを作り終え、
印刷機に向かうと、
ルシアンは「ではこれにて。失礼!」と言って消えて行った。
そして、100均の傘も。
『ラッキーマン』は駅でアンジュを見掛けた時に、ふと思った。
(……もしかして、傘、持って来てない?)
アンジュは以前から良く折り畳み傘を忘れていて、
ルチアーノと一緒に帰っていた。
そこで、『ラッキーマン』は駅前のコンビニで、
ちょっぴり奮発して650円のビニール傘を買おうとした。
(強風にも耐えられるし!)
そう思いながら、レジに向かおうとすると――
またもや現れた190センチ学ランのルシアン。
ルシアンは『ラッキーマン』のビニール傘を見ると、
無表情で言った。
「その金額の傘は、
今、高校生であるアンジュさまの心理的負担になりかねない。
駅を東に300メートル行った、
商業施設一階の100円ショップはどうかな?
もう開いているし、登校にも間に合う!失礼!」
そして、さっと消え去るルシアン。
『ラッキーマン』はそれもそうかと思い直し、
100円ショップに向かって傘を買ったのだ。
そして、アンジュの靴箱に傘を入れようとすると――
またも現れたルシアン。
ルシアンは無表情で言った。
「書状を付け加えるのが礼儀では?
君は供物として、
ひっそりとアンジュさまにお渡ししたいようだから、
君が望むならば、アドバイスでも?」
『ラッキーマン』がその圧に震えながら頷くと、
ルシアンは透明な定規のような物を
『ラッキーマン』に渡して続けた。
「この隙間を縫うように書けば、
文字は自然と角張って書ける!
筆跡を隠すのには便利だ!失礼!」
そうして目の前から物凄いスピードで消え去るルシアン。
『ラッキーマン』はそれを利用してメモを書き、
傘に添えるとアンジュの靴箱に入れた。
そして、次は難問だった。
以前から、
アンジュをしつこく追い掛け回している先輩の説得だ。
どうせメッセージを送っても無視されると思い、
『ラッキーマン』は先輩を待ち伏せしたのだ。
先輩はいつも5人グループで行動している。
その行く手を阻む『ラッキーマン』に、
先輩がせせら笑う。
「何だよ?」
『ラッキーマン』は勇気を振り絞って言った。
「もう……アンジュちゃんを追いかけ回すのは、辞めて下さい!
アンジュちゃん、嫌がってるし、怖がってます!」
「あ?」
と、先輩が一歩前に出た瞬間だった。
もう、見慣れ過ぎた190センチの学ラン姿のルシアンが現れた。
ルシアンはいつもと変わらず無表情だ。
だが、その存在感に、空気がビリビリと震え出す。
「アンジュさまに嫌がらせをし、怖がらせているとは……!!
大罪である……!!
この私が裁こう!」
その言葉が終わった瞬間、落ちる無数の雷。
先輩たちはダッシュで逃げて行った。
そして、ルシアンは何も無かったように、
『ラッキーマン』に向かって、
「失礼!」と言うと、また消え去った。
そして、先輩はアンジュを追いかけるのを辞めた。
というか――
アンジュの姿が見えると、逃げ出す始末だ。
そうして次に、
美術の課題で困っているアンジュに、
お手本になりそうな絵を図書館で探し、
コピー機に向かおうとすると、
本棚の隙間から現れる190センチ学ランを着たルシアン。
もう、『ラッキーマン』は自分から話しかけてしまった。
「俺の選んだ絵はアンジュちゃんに合いませんか?」
ルシアンが重々しく頷く。
「君のセンスの良し悪しでは無い。
アンジュさまは、絵を描くなどと言う作業は初めてなのだ……!
つまり!
君のそのお手本は高度過ぎる!
アンジュさまには、小学高学年生向きの絵がベストである!失礼!」
またもや、消え去るルシアン。
そして、図書委員の会議があった日の差し入れも。
『ラッキーマン』がアンジュの机の上に
コンビニの袋を置いた瞬間――
現れる190センチ学ラン姿のルシアン。
ルシアンは無表情で淡々と告げる。
「その甘味はアンジュさまのお好みではない。
図書委員の会議の終了に間に合わせるのならば、
正門を出て突き当たりを右に、
600メートル行ったところにあるコンビニエンスストアオリジナルの、
苺シュークリームなら許容範囲だ!
その苺シュークリームに合う飲み物は、
〇〇メーカーのホワイトクリームドリンクがお勧めだ。
くれぐれも書状を忘れずに!失礼!」
そうして風のように消え去るルシアン。
だが、『ラッキーマン』には秘策があった。
(次こそ、ルシアンくんを出し抜いてアンジュちゃんの役に立つんだ……!!)
そうして、その日がやって来た。
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