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「ルシアンよ!」と呼んだら乙女ゲームが崩壊しました。〜メリバ転生した大天使は最強騎士で全ルート救済する〜  作者: 久茉莉himari


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【29】代理は必ず二人来る。〜悪魔の評価は『執念深い頑張り屋』だった件〜

その数日後、

アンジュは科学の発表会が開かれる手伝いをすることになった。


メインは、生徒や来賓が座る椅子の設置。


マイクやスクリーン関係などは、

放送部がやることになっていた。


講堂は改装中で使えなくなっていたのだ。


ルチアーノがシルクの深紅のハンカチを噛む。


「アンジュちゃんに……そのような雑用を!?

だが、俺様は美術部の先生に準備室の件で呼び出されているし、中野は部活……!!無念!」


アンジュはにこりと微笑む。


「学生ならば、

学問に関して先生の手伝いをするのは当然のこと!


椅子の設置はしたことが無いが、

これも神の試練と思い、私はやり遂げる!


ルチアーノは安心して、美術部に行くが良い!」


ルチアーノは何度も、

「無理しないでね〜!!お姫様〜!!」

と繰り返していた。




だが、アンジュは科学の教師の手伝いもすることになって、

会場に行くのが遅れた。


急いで講堂に向かうと、椅子の設置は終わっていた。


講堂の隅で休憩していた1年生たちに、

アンジュが

「全部やらせて、済まない!礼を言うぞ!」

と高らかに告げ、遅れた事情を話した。


すると、1年の生徒の一人がキョトンとして言った。


「他の2年の先輩も3年の先輩も一緒にやってくれましたし……

それにアンジュ先輩の代理だっていう人も来てましたよ?」


なあ、と皆で頷き合っている。


アンジュは『ラッキーマン』だな?と思い、訊いてみた。


「その人間は、どのような人間だ?」


「それが~」


1年生の女子生徒が、瞳をキラキラさせて話し出す。


「あの……『白鳥学園の騎士』ルシアン先輩が全部やってくれたんです!!

もう……カッコいい❤️❤️❤️」


男子生徒も尊敬の眼差しで言う。


「本当に凄かったです!

最適な設置場所から、

素早く正確に椅子を置く置き方を、

先生たちにレクチャーして!

先生もルシアン先輩に感動しちゃって、

ルシアン先輩の言う通りに設置しました!」


他の男子生徒も

「ルシアン先輩マジ凄いです!!」

と言った時だった――


一人の女子生徒がポツリと言った。


「でも……ルシアン先輩が帰った後に、変な男子が来たよね?

髪の毛なんてあり得ないくらいボサボサで、

黒ぶちの大きな眼鏡に、マスクしてた人。

確かにうちの学校のブレザーの制服着てたけど……」


アンジュが金色の髪をなびかせ、

天に向かって宣告する。


「なるほど!

白鳥学園の生徒は、立派な人間が多いのだな!」




一方、『ラッキーマン』は学校から帰宅すると、

通学バッグをこれでもかと握りしめていた。


(俺が、あと一歩で会場ってところで、

ルシアンくんが突然会場の中に現れた……!!

何で!?どうやって!?

ていうか……本当にルシアンくんって誰!?)


だが、『ラッキーマン』は次なる作戦を思い出し、

心を奮い立たせる。


(今度こそ!

今度こそ、ルシアンくんより早くやるぞ……!!)




翌日。


今度は、

アンジュの学校の机の引き出しに、

『バチカン市国。究極のドキュメンタリー!』

という番組のDVDが入っていた。


『良かったら、観て下さい。』

という妙に角張った文字のメモと共に。


昼休みになって、そのことをアンジュが話題に出すと、翔太が言った。


「何でそんなドキュメンタリー番組のDVDを引き出しに入れたか分かんないけど、

『ちょっとストーカーっぽくない?『ラッキーマン』って!」


『ラッキーマン』の胸に、翔太の言葉が直撃。


(違ーう!!

俺はアンジュちゃんの好きなお笑い番組の限定DVDを入れようとしたら……現れたんだよ!!ルシアンくんが!!

そして、アンジュさまに相応しくないって言われて取り上げられて……

『これならば許容範囲だ!』

って言われたの!!

あと、ストーカーって言うなよ、翔太!!)


アンジュが

「ストーカーとは何だ?」

と翔太に訊くと、

なぜかルチアーノが意味ありげに言った。


「アンジュちゃん❤️

『ラッキーマン』をどう思う?

気味が悪い?

もう、やめて欲しいと思ってる?」


ギクリ、と『ラッキーマン』の箸が止まる。


アンジュはナイフとフォークを優雅に使い、一言答える。


「特には!」


ずこっと椅子から落ちそうになる『ラッキーマン』


でも、嫌われていないと思ってホッとしていると――

ルチアーノの目がギラリと光った。


だが、ルチアーノはそんな様子を周囲に気づかせることも無く、

舞台役者のような流し目をし、

腕をふわりと胸の前に寄せると言った。


「そうですか……!お姫様☆」と。





そして、放課後。


ルチアーノは理事長室でロクシーと共にパソコンの前にいた。


ロクシーがニヤリと笑う。


「ルチアーノ……!

あんたの、あの質問のタイミング……良かった!

それは認める!」


ルチアーノが嬉しそうに笑って、自分の額をパチンと叩く。


「いえいえ!

それはロクシー先生のお陰であります!


『ラッキーマン』がハルだと教えて貰って、

ロクシー先生の脚本に従い、作戦を実行したまで!


しかも、ルシアンがアンジュちゃんの好みにグレードアップさせている……!!

流石、俺様のズッ友ルシアン!カッコいい☆☆☆

あの無礼者のハルにまで、協力するとは……!!」


ロクシーがルチアーノをジロッと睨む。


それは盤面を見据えた軍師の目。


「良い?

あんたは『神谷伊織』として、

ハルを支えないと、ゲームのルートが進まない!


ハルを無礼者扱いするのは構わないけど、

脚本通りに動くこと!


次にハルが『ラッキーマン』として動く時が鍵だからね……!」


ルチアーノが、即座に敬礼して応える。


「この不肖俺様ルチアーノ……!!

ロクシー先生の脚本通りに、

じゃんけんをやり遂げる覚悟でありますッ!!」




そして、二学期も終わりに近づき、

各部活や委員会は大掃除をすることになった。


アンジュとルチアーノは、

ルチアーノが代表してじゃんけんをし、

図書委員同士のじゃんけんに負けて、

本棚の上を拭き掃除することになってしまった。


アンジュは好奇心に満ちた青い瞳を輝かせる。


「拭き掃除とは何だ!?

脚立というのはどうやって登るのだ!?」


ルチアーノはふわっと髪の毛をかき上げると、言った。


「実は〜!!

俺様もやったことが無いから、

楽しみでありますよ♪お姫様☆」




そうして、

アンジュとルチアーノが図書室を掃除する前日、

ルチアーノは1時間程部活に顔を出すと図書室に向かった。


カウンターの中にいた同学年の図書委員の二人の女子生徒が、

ルチアーノを見て感嘆の声を上げる。


「ルチアーノくんとアンジュちゃんの掃除って明日だよね!?

そ・れ・な・の・に!

ルシアンくんが颯爽と現れて、

5分で図書室をピカピカに掃除してくれたの!!


きっと、アンジュちゃんには掃除をさせられないんだよね……本当に騎士❤️❤️❤️

見られて良かったー!!」


男子生徒もウンウンと頷いているが、

怪訝な顔をして付け加えた。


「それなのにさあ……。

なんか代理だって言う人が来て、

また掃除してるんだよね……」


ルチアーノがその場でバク転すると、

パチンと指を鳴らす。


「分かってる☆

俺様に任せろ!!」


ルチアーノはそう告げると、

ポカンとしている二人を残し、図書室の中を進んだ。


ボサボサ頭で黒ぶち眼鏡にマスク姿の『ラッキーマン』は、いた。


図書室の中央付近で脚立に乗って、

本棚の上を熱心に雑巾がけしていた。


「よう、『ラッキーマン』お疲れ様!」


ルチアーノの呼び掛けに

『ラッキーマン』は何も言わず手を動かす。


ルチアーノが妙に神妙な声音で話し出す。


「俺様のズッ友ルシアンが、掃除を完璧に済ませても、まだ掃除をする!!

お前は執念深い頑張り屋で、間違いなーーーい!!


アンジュちゃんのぶんも俺様から礼を言うぞ!

ありがとな☆」


『ラッキーマン』のこめかみがピクピクと震える。


(ルチアーノさん……!!

執念深い頑張り屋って……!

それって、俺を褒めてるようでディスってます!)


『ラッキーマン』は無言で脚立を降りて、

バケツで雑巾をすすぐとぎゅっと絞り、

また拭き掃除を始める。


ルチアーノが、またも妙に神妙な声を出す。


「だけどな、

アンジュちゃんが本当にして貰いたいことは、

陰で助けてもらうことじゃないんだよ☆」


『ラッキーマン』の手が止まる。


そして、『ラッキーマン』はキッパリと言った。


「これでいいんです」


ルチアーノがシルクの深紅のハンカチを噛み、

しおらしく続ける。


「ハル……アンジュちゃんの本当の望みを叶えてやれよ」


『ラッキーマン』は絞った雑巾を見つめて言った。


「俺はアンジュちゃんに相応しく無いんです。

ルチアーノさんも知ってるでしょ?

俺がアンジュちゃんにしたこと。


だから、アンジュちゃんが俺を忘れて、

幸せになるまでは、

俺は『ラッキーマン』でいいんです。

『ラッキーマン』でいたいんです」


(……でもな!!

それってルシアンのお陰だろ!?)

と言いかけて、

ルチアーノは慌てて、脚本通り

「……ハル……」

と寂しげに呟く。


遥斗はフッと笑うと続けた。


「ルチアーノさん、掃除の邪魔ですよ。

今日中に、

ルシアンくんがやった掃除を全部、

俺が上書きするんですから」


ルチアーノは――

(ロクシー先生!俺様はやり遂げました……!!)

と心の中で叫ぶと、

またも神妙に告げる。


「邪魔して悪かったな……。

頑張れよ、『ラッキーマン』」


ルチアーノはそれだけ言うと、

ダッシュで理事長室へと向かった。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

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