含み笑いとかしてる人間は性格悪いと思う
「かったる。かったるいわホントに」
「………」
放課後。
何だか嫌な予感と共に部活へと来てみれば予想通りというか何というか、私の第六感も大したもんだなとかそんなことを思う。
香蓮が椅子に腰かけ腕を組み足を机に乗せている。
パンツ丸見えなんじゃとか思っちゃうけどさにあらず。下にジャージを履いている。
涼が困惑気味に呟いた。
「おい、どういうことだ」
「…なんでアタシに聞くのよ」
「お前しかおらんだろ! 今度は何をやらかしたんだ?」
「何もしてないわよっ! 人聞き悪いわね」
「何もしてない? バカ言うな。キミが何かしない限り金髪がこんな態度とるか」
「あら香蓮のこと分かってきたのね」
「ほらやっぱりキミが原因じゃないか!?」
「しまった…。ってちょっと待ってよ! ホントに身に覚えがない――っ!」
突然、ドンッと大きな音がして言葉が遮られる。
香蓮が机を蹴ったのだ。態度悪すぎー!
「…いつまで仲間外れにする気かしら」
怒ったような拗ねたような声音。
そっぽを向いてるから顔色は窺い知れない。
涼が無視したので仕方なく私が答える。
「仲間外れってなによ。そんなことした覚えないわよ」
「いま二人で仲良さげに話していたじゃない! わたくしの事なんて見えないとでもいうように!!」
「見えてる見えてる。つーかアンタのことで話してたのよ」
何をいうかと思いきや…。
つーかいつもなら自分から話しに入って来るくせに何を騒いでるのかしら。これで無視とかいったら私たち年中無視してることになるんですけど?
「え…わたくしもしかして嫌われてる?」
「私たち以外にはもしかしなくても嫌われてるわよ」
「あっならいいや」
「いいんかい」
「そんなことより!」
またしても机を叩く。
とりあえずまだ怒りは継続のようだ。
「なんでアイツとペアなんか組むの!? 信じらんない!!」
「ペア? あー…そのことね」
まあ何となくは怒りの原因を自分でも分かってはいたけどさ。こうなるのが嫌だから自分の口で言うつもりだったんだけど…なんでコイツ知ってんだろ。CIAかよ。
「違うわ。わたしは凛のストーカーよ! 違う親友よ!」
「その二つでどうやったら言い間違いがおきるの? バカなの?」
「どうでもいい! とにかくアイツとペア組むのだけはやめて!」
「どうしてよ?」
「嫉妬で狂いそう!!!」
「泣かないでよもう…」
「ふえーん…」
私はハンカチを取り出すと涙を拭いてやる。
うざいうざいと言いつつもこう素直に感情をぶつけられるのは嫌いじゃない。むしろ好印象である。逆にこれを見て含み笑いとかしてる人間は性格悪いと思う。涼。アンタのことよ。
「いやいや笑うだろこんなの。いい歳した高校生がペア盗られたくらいで泣いてるんだぞ。意味わからんぞ。この際はっきり言おうか? 金髪ホントにヤバいぞ」
「大きなお世話よこのバカっ!」
「コンパスを投げるな! おい如月、早く慰めろ」
「はいはい…」
と言いつつも何と言ってやるのが正解なのか。
今さらペア解消なんてことはありえないし。クラスが違うから同じように香蓮とペアを組んでやることもできない。
頭を一頻り一回転させると私は香蓮に言った。
「じゃあ私たちで競技に参加するっていうのはどう? 部活動対抗リレーとかにさ」
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