アンタは数合わせ
「で、なんで私まで呼ばれたの?」
「仕方ないじゃない人数少ないんだもん」
放課後、私たちは学校近くのグラウンドで練習を行っていた。
なんの? 言わずもがなリレーの練習である。
『リレー? ほ、ホントにっ!? 出る!! 出るわよもちろんあたり前じゃない!!』
何とはなし、気まぐれに近い感じで出した案に香蓮はノリノリだったのである。
そうなったら行動は早い。
私たちは体育祭実行委員へ出場依頼書の提出し早速練習に励んでいるのである。
「だからよ! 何で私まで呼ばれたのかって聞いてんの!?」
「あのねえ…あなた自己紹介しないと特徴がないから誰か分かりづらいのよ。分かってるの未来?」
それこそ何の話しと疑問符が見える。
爽やかなショートカットが風になびく。未来は私が呼んだのだ。
「だから何で呼んだのかって聞いてんの!」
「しょうがないでしょ…みんな部活で呼べる人も限られるしそれに人がいないんだって。」
「それはさっき聞いたって。五人一チームなんでしょ? だったらリレーなんてやめればいいじゃない」
「いやいや…誘ったのは悪かったけどもう無理よ。あれ見て」
指さす方では楽しそうにきゃっきゃっ言いながらバトン練習が繰り広げられている。
香蓮と涼。
仲悪いはずなのに実に楽しそうである。あ、涼はそうでもないわね。
「楽しいわけないだろ。なんで俺まででにゃならんのだ」
不貞腐れ顔でこっちまでやってくるのは我らが部長、土屋涼である。なによ文句でもあるわけ。あるなら受けて立つわよ。
「ヤンキーか君は。いや、それはキミの隣か」
「アンタ喧嘩売ってんの?」
「やめなさいって。それに涼、何で俺までってそれ本気で言ってるわけ? あの雰囲気をどうにかしろって言ったのは涼だったじゃない」
「それはそうだが…俺は関わりたくないからそう言ったんだぞ。キミはバカじゃないんだから上手くやってくれよ」
「お生憎様ね。上手くやった結果がこれなのよ。大人しく観念なさい」
「はあ…わかったよ」
「わかればよし。ご褒美に香蓮を差し上げるわ」
「いらんわ」
遠くから『私は凛のものよ!!』と聞こえる。幻聴だろう。
「あ、そういえば五人で出るのよねえ。あと一人って誰なの?」
「やっと気づいたか。実はね、ただ出るだけっていうのもつまんないから優勝目指そうと思ってとっておきを用意してあるのよ」
「へえ…そ…そのとっておきってもしかして私のこと?」
「アンタは数合わせよ」
「言い方っ!」
「うるっさいわねえもう。あ、きたきた! おーいこっちこっち」
人影の見える方に大きく手を振る。
その人物は小走りに近づいてくる。
「もう急に呼び出してなんなの、お姉ちゃん」
見慣れた制服にポニーテール。
とっておきとは我が妹、如月楓であった。
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