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地味な《聴力強化》で、今日も飯を食う  作者: 話半分


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第73話:道を外れた先

林から離れるにつれて、ようやく少し落ち着いてきた。


さっきまで棒を握りしめていた右手も、今は普通に動かせる。左腕にはまだ鈍い痛みが残っているが、歩く分には問題なさそうだった。


それにしても、今日は随分と魔物に出会ったな。


最初に一匹、その後に四匹。


全部で五匹も見かけたことになる。しかも、そのうち三匹は俺たちを無視して走り去っていった。


「ロルフさん、さっきの魔物、どうしてあんなに急いでたんでしょうね」


俺が尋ねると、ロルフは歩きながら振り返った。


「さあな。あの勢いで突っ込まれたらたまらん。見送れるやつは見送るに限る」


「それは、何となくわかります」


実際、最初の魔物が出てきた時は、戦わずに済んだ。あのまま全部通り過ぎてくれていれば、もっとよかったんだけど。


「そういえば、林の奥で聞こえた音はどうなった?」


ネイトが尋ねてきた。


「ああ、あれですか。今は聞こえないですね」


「近づいてきてる感じはなかったのか?」


「そこまでは……。遠かったですし、何の音かもわからなかったので」


「まあ、何かいたとしても、わざわざ会いに行く必要はないか」


ネイトは笑っていたが、俺も同じ意見だった。


ロルフも頷いた。


「今回は街道の安全確認だからな。あの場所に魔物が出たことと、妙な音がしたことを報告すればいい。あとの調査はギルドが判断するだろう」


「はい」


それなら、俺としてもありがたい。


あとは無事にアルネへ戻って、報酬を受け取れればいい。


……今日は何かうまいものでも食べようかな。


そんなことを考えていた時だった。


どこかから、短く硬い音が聞こえた。


金具を叩いたような音だったが、一度きりだったので、何かを落としただけかもしれない。俺は歩きながらもう一度そちらへ注意を向けてみた。


すると、少し間を置いて、同じような音が二回続いた。


カン、カン。


……誰かが叩いてるのか?


自然に鳴った音にしては、少し気になる。


「ロルフさん、ちょっと待ってもらっていいですか?」


俺が声をかけると、三人が足を止めた。


「どうした?」


「右の方から、何かを叩く音がするんです。たぶん金属だと思うんですけど」


「金属?」


「はい。何回か続けて聞こえたので、誰かが叩いてるんじゃないかと」


ネイトが林の方を見た。


「俺には何も聞こえんな」


「私も。どの辺り?」


リーザに尋ねられ、俺は街道の右側を指差した。


「あの辺りだと思います。ただ、少し離れてるみたいで、正確な場所までは……」


林の手前までは見えているが、地面が途中から低くなっていて、その先の様子はわからない。


今度は少し長い間が空いた。


もう鳴らないのかと思ったところで、再び硬い音が聞こえた。


カン。


「また聞こえました。さっきと同じ場所だと思います」


「誰かが作業でもしてるのか?」


ネイトが言った。


「そうかもしれません。でも、こんな林の中で何をしてるんでしょう?」


「さあな。木を切ってるとか?」


「木を切る音とは違うと思います。もっと小さな金具を叩いてるような……」


そこまで話して、ふと思った。


もし誰かが作業をしているなら、もう少し別の音も聞こえてきそうなものだ。


それに、同じような音を何度も鳴らしている。


「……もしかして、誰か呼んでるんですかね?」


ロルフがこちらを見た。


「助けを求めてるってことか?」


「わかりませんけど、何度も叩いてるので。何かあったのかもしれません」


ロルフは俺が指差した方をしばらく眺めていた。


「この辺りなら、街道から大きく離れずに確かめられそうだな」


「行ってみるのか?」


ネイトが尋ねる。


「ああ。ただし、奥までは入らん。何があるかわからんからな」


ロルフはそう言うと、俺たちを見回した。


「ライアスは音がする方を教えてくれ。ネイトは前を頼む。リーザは後ろに気をつけてくれ」


「了解」


「わかった」


俺も頷き、林の方へ向き直った。


もし誰かがいるなら、声をかけてみれば返事があるかもしれない。ただ、さっき魔物に出会ったばかりだし、むやみに大声を出すのも気が進まなかった。


まずは近づいて、様子を確かめよう。


「こっちです」


俺たちは街道の端へ移動し、木立の間から先を確かめることにした。


◇


街道から少し下がったところに、浅いくぼ地があった。


木々がまばらに生えていて、その間には背の高い草が茂っている。地面も少し傾斜しているらしく、街道から見た時には奥の様子が隠れていたようだ。


ロルフが先に進み、俺たちはその後ろをついていった。


「ライアス、まだ聞こえるか?」


「さっきから少し間が空いてます。でも、この先だと思います」


「わかった。もう少し進もう」


斜面を下りかけたところで、再び金属を叩く音がした。


今度はかなり近い。


「この先です。たぶん、あの茂みの向こうだと思います」


「……あれか?」


ネイトが声を上げた。


茂みの向こうに、何か大きなものが見えている。


木の枠のようなものが斜めに突き出していた。


近づいてみると、それは横倒しになった荷車だった。


馬が引くような大きなものではなく、人が押して運ぶ小型の荷車だ。片方の車輪が外れかけ、荷台の板も何枚か割れている。積んでいたらしい袋や小箱が周囲に散らばり、斜面には車輪が滑ったような跡が残っていた。


「荷車が落ちたのか……?」


俺が呟くと、ロルフが片手を上げた。


「待て。まず周りを確認するぞ」


ネイトとリーザが左右へ分かれ、周辺の様子を確かめる。


俺も少し離れたところから荷車を見ていた。


誰かが押していたなら、近くに人がいるかもしれない。


そう考えて荷車の向こう側へ注意を向けると、何かが動く音がした。


続けて、あの硬い音が一回。


「……おい!」


かすれた声が聞こえた。


「誰か……いるのか!」


「ロルフさん! 荷車の向こうに人がいます!」


俺が声を上げると、ロルフもすぐに荷車の方へ向かった。


「おい! 大丈夫か!」


「こっちだ……助けてくれ!」


荷車の反対側へ回ると、男が一人、地面に座り込んでいた。


年齢は三十代か四十代くらいだろうか。服のあちこちに泥がつき、片足を伸ばしたまま、荷車の枠にもたれかかっている。


右手には、小さな金属の道具を握っていた。


その手元には荷車から外れたらしい金具があり、どうやらそれを叩いていたようだ。


……やっぱり、人が叩いてたのか。


「大丈夫ですか?」


俺が近づくと、男はほっとしたような顔をした。


「よかった……人が来た……」


「怪我してるのか?」


ロルフがしゃがみ込み、男の様子を確かめる。


「ああ……足をやっちまった。立とうとしたんだが、痛くてな」


見ると、男の左足は膝から下が少し腫れているようだった。服も破れていて、血がにじんでいる。


「ほかに怪我は?」


「腕を少し擦ったくらいだ。それより、足が……」


「わかった。無理に動かすな」


ロルフがリーザを呼び、二人で怪我の状態を確かめ始めた。


ネイトは倒れた荷車を見ている。


「ずいぶん派手に転んだな。何があったんだ?」


「この先の畑へ道具やら何やらを届ける途中だったんだが、街道の端を通ってたら、片方の車輪が道から外れちまってな。引き戻そうとしたんだが、荷物が重くて支えきれず、そのまま下へ滑り落ちちまった」


男は苦しそうに顔をしかめた。


「途中で車輪も壊れたみたいだ。俺も一緒に転んじまって、荷台の下敷きになりかけた。何とか這い出したんだが、足が痛くてそれ以上動けなくなっちまった」


「それで、あれを叩いてたのか?」


ロルフが金具を指差すと、男は頷いた。


「ああ。声を出しても誰も来ないし、これなら誰かに聞こえるかと思ってな」


そう言ってから、男は俺たちを見回した。


「……あれが聞こえたのか?」


「はい。街道を歩いてたら、金属を叩いてるような音がしたので」


「街道から?」


「そうです」


男は少し驚いたようだった。


「よく聞こえたな……結構離れてただろ」


「俺、耳がいいんです」


「ああ……そうなのか」


それだけ言うと、男はまた大きく息を吐いた。


「助かった……もう誰も来ないかと思ってた」


「まだ町に戻ったわけじゃないですけどね」


つい、そんなことを言ってしまった。


男は一瞬きょとんとしてから、少し笑った。


「そりゃそうだな。すまん、まだ安心するには早いか」


「いえ、そういうつもりじゃ……」


何だか、余計なことを言ってしまった気がする。


ロルフが俺たちの会話を聞いて、小さく笑った。


「まあ、ここからは俺たちが何とかするさ。まずは足を見せてくれ」


◇


怪我の状態を確かめたところ、男は自分で立つことも難しそうだった。


骨が折れているかどうかはわからないが、無理に歩かせるのはよくないらしい。


リーザが手持ちの布を使って傷口を覆い、足がなるべく動かないようにしてくれた。


「少し痛むかもしれないけど、我慢してね」


「ああ……頼む」


男は歯を食いしばりながら頷いた。


その間、俺とネイトは荷車の周りを片づけていた。


散らばっている荷物を少し寄せ、男を動かす時に邪魔にならないようにする。


「これ、どうするんですかね?」


俺が倒れた荷車を見ながら尋ねると、ネイトは首を振った。


「この場じゃ直せそうにないな。車輪も傷んでるし、荷台まで壊れてる」


「じゃあ、置いていくしかないですか」


「そうなるだろうな。まずは本人を町まで連れて帰らんと」


確かに、荷車を直すより怪我人を運ぶ方が先だ。


ただ、荷車にはまだ荷物が残っている。


このまま置いていって大丈夫なんだろうか。


「あの、荷物は……」


男に尋ねると、少し困ったような顔をした。


「できれば持って帰りたいが、俺がこの足じゃな……」


「全部は無理だろうな」


ロルフが答える。


「大事なものがあれば持っていく。残りは場所を覚えておいて、あとで回収してもらうしかない」


「そうか……仕方ないな」


男は残念そうだったが、特に文句は言わなかった。


俺たちは必要な荷物だけを選んでもらい、持ち運べるようにまとめた。


それから、どうやって男を街道まで戻すかを相談する。


「肩を貸して歩けそうか?」


ロルフが尋ねると、男は一度立ち上がろうとしたが、左足を動かしたところですぐに顔をしかめた。


「……すまん。ちょっと無理そうだ」


「そうか。だったら運ぶしかないな」


「俺とロルフで運ぶか?」


ネイトが言った。


「そうだな。まずは道までだ。あの斜面を上がるのは少し厄介だが」


二人は男をどちらから支えれば足に負担をかけずに済むか、身体の位置を確かめ始めた。


俺も手伝おうとしたが、ロルフに止められた。


「ライアスは左腕を痛めてるだろ。無理して持たなくていい」


「あ、でも……」


「その代わり、周りを見ててくれ。ここは街道から少し離れてるからな」


「……わかりました」


さっきの戦いで盾をぶつけられた左腕は、まだ少し痛む。


怪我人を運んでいる途中で力が入らなくなったら、かえって迷惑をかけてしまうかもしれない。


俺は棒を持ち直し、周囲を確認することにした。


リーザも槍を構え、少し離れたところから様子を見ている。


「ライアス、何か気になることがあったら教えて」


「はい」


耳を澄ませてみると、近くでロルフたちが動く音のほかに、少し離れた草むらからも細かな音が聞こえていた。


小さな生き物でもいるんだろうか。


今のところ、さっきの魔物たちが走ってきた時のような激しい音はしない。ただ、林の奥には見えない場所も多いし、何かが動き出せばすぐに気づけるとも限らない。


俺はリーザが確認している方向を見てから、反対側の茂みへ目を向けた。


少なくとも、二人で同じ場所ばかり見ていても仕方ないだろう。


◇


ロルフとネイトが男を運び、少しずつ街道へ向かって移動を始めた。


男の上半身をロルフが抱え、ネイトは腰と膝の下を支えている。痛めた左足は地面につけず、なるべく揺らさないようにしているが、斜面を上がるのは簡単ではなさそうだった。


「悪いな……重いだろ」


「いいから、変に身体を動かすなよ」


ネイトが答えた。


二人は何度か足元を確かめながら、ゆっくりと進んでいく。


俺とリーザはその少し前後に分かれ、周囲を警戒していた。


「さっき、よくあの音に気づいたね」


リーザが声をかけてきた。


「ああ、金具を叩いてた音ですか?」


「うん。私には全然聞こえなかったから」


「最初は何かを落としたのかと思ったんです。でも、何回も同じような音がしたので、誰かが叩いてるのかなって」


「なるほどね」


「何かあったのかもしれないとは思いましたけど、あんなところに人がいるとは思いませんでした」


「それで、あの人が見つかったんだからよかったよ」


リーザはそう言うと、前へ目を向けた。


「さて、道まであと少しだね」


「そうですね」


俺も男の方を見た。


ロルフとネイトに抱えられながら、身体をなるべく動かさないようにしている。二人が斜面の小さな段差を越えるたび、男は時々顔をしかめた。


あの状態で、よく金具を叩き続けられたものだ。


「ライアス、そっちの道はどうだ?」


ロルフに呼ばれ、俺は前を確認した。


「大丈夫です。少し先まで見えます」


「よし。もう少しで街道だな」


木々の間から、見覚えのある道が見え始めた。


さっき戦った場所からは少し離れているし、今のところ魔物の姿もない。


ただ、街道へ上がる最後の斜面は少し急になっていた。ロルフたちは男を抱えているので、まっすぐ上がるのは大変そうだ。


「あっちから回った方がよさそうですね」


俺が少し左を指すと、リーザもそちらを確認した。


「うん。遠回りだけど、あの辺りなら緩やかになってる」


「そうか。じゃあ、そっちへ回ろう」


ロルフが答え、俺たちは進む方向を変えた。


その時、右手の林から、草を踏み分ける音が聞こえてきた。


俺はそちらへ顔を向けた。


さっきまで聞こえていた細かな音とは違う。もう少し大きなものが動いているようで、草が押し倒されるような音も混じっていた。


……また魔物か?


「リーザさん、右の林です。何か大きいものが動いてるかもしれません」


「右?」


リーザが槍を向けた。


「どの辺り?」


「まだ少し奥です。でも、こっちへ向かってるように聞こえます」


俺は林へ注意を向けたまま、ロルフたちにも声をかけた。


「ロルフさん! 右の林で何か動いてます!」


ロルフとネイトが足を止めた。


「魔物か?」


「まだわかりません。草を踏んでる音がするんですけど、結構大きくて……」


「近いのか?」


「さっきより音は大きくなってます」


答えたところで、別の場所からも枝が折れる音がした。


先に聞いていた音とは少し離れている。


……一匹じゃないのか?


いや、今は数を考えてもわからない。


それより、どちらから来るのかが気になった。


俺は少し身体を横へ向け、林と、街道へ続く斜面を交互に見た。


右手には木々が密集しているが、左へ回れば街道までの見通しが開けている。さっきリーザが確認した緩やかな斜面も、その先だ。


「ロルフさん、右の方から音がしてます。左へ回れば道に出られるので、そっちへ進んだ方がいいと思います」


ロルフは俺の指した方を見た。


「リーザ、行けるか?」


「うん。あっちなら足元も悪くないよ」


「よし。ライアスとリーザが先に行って、道を見てくれ。俺たちも続く」


「わかりました」


俺とリーザは林の右側を気にしながら、左へ移動した。


ロルフとネイトは男を抱え直し、少し遅れてついてくる。


林の奥では、まだ草が揺れる音が続いていた。


けれど、俺たちの進む方へまっすぐ近づいてきているのか、それとも別の方向へ動いているのかはわからない。


……頼むから、こっちには来ないでくれよ。


「ライアス、前は?」


後ろからロルフに声をかけられた。


俺は街道へ続く斜面を見た。


「こっちは大丈夫です。もう少しで上がれます」


「そうか。じゃあそのまま進んでくれ」


リーザが少し先へ出て、草の少ないところを選びながら歩いていく。俺もその後ろについて、足元に穴や大きな石がないかを確かめた。


やがて、街道へ上がる場所が見えてきた。


「ここなら上がれそう!」


リーザが振り返って声をかけた。


ロルフとネイトが男を運んでくる。


斜面の途中で一度止まり、持ち上げる位置を調整してから、二人はゆっくりと上がり始めた。


俺は先に街道へ出て、周りを確かめた。


道の先まで見通せる。


今のところ、人も魔物も見えない。


「大丈夫です! 道には何もいません!」


声をかけると、ロルフたちも最後の斜面を上がってきた。


ネイトが大きく息を吐いた。


「ふう……ようやく戻れたな」


「まだ町までは遠いぞ」


ロルフがそう言いながら、街道の端にある平らな場所を確かめた。


二人は男をゆっくり下ろし、傷めた足に負担がかからないように座らせた。


男は額の汗を拭い、何度か深く息をしていた。


「……すまん。本当に世話をかける」


「気にするな。ここまで来れば、林の中よりは周りを見やすい」


ロルフはそう答え、俺たちを見回した。


「少しだけ休もう。ネイト、腕は大丈夫か?」


「ああ。重かったけど、まだ運べる」


「リーザとライアスは、周りを頼む」


「了解」


「はい」


俺は街道の端に立ち、さっき通ってきた林を見た。


木々の間からは、もうあの草を踏み分けるような音は聞こえてこない。


離れたから聞こえなくなったのか、向こうが別の場所へ行ったのかはわからなかった。


ただ、今いる場所なら、何かが出てきても林の中より早く姿を確かめられそうだ。


……さっきよりは、少し安心かな。


「なあ、兄ちゃん」


座っていた男に声をかけられた。


「はい?」


「この辺りって、そんなに魔物が出る場所だったか?」


「ああ……今日は何匹か見かけましたね」


「そうなのか。畑まで荷物を運ぶのも、気をつけなきゃならんなあ」


「そうですね」


男は壊れた荷車を置いてきた方を見て、ため息をついた。


「まったく、車輪が壊れるだけでも厄介なのに、足までやっちまうとはな」


「荷物、あとで取りに行けるといいですね」


「そうだな。まあ、まずはこの足をどうにかしないといかんか」


男は伸ばした左足を見て、苦笑いした。


ロルフが立ち上がった。


「よし、そろそろ行こう。町まで運ぶとなると時間もかかるしな。途中で誰か通れば、手を借りられるかもしれん」


ネイトも頷き、もう一度男を運ぶ準備を始めた。


俺は持ってきた荷物を確かめ、棒を握り直した。


街道はアルネの方へ続いている。


林の中では、遠くの音ばかり気にしていた。


けれど、今は道の先が見える。少し歩いてから振り返れば、後ろの様子も確かめられる。


俺はロルフたちが男を持ち上げるのを見届けてから、少し先へ歩いた。


「こっちは通れそうです」


「ああ。頼むぞ、ライアス」


「はい」


今度は、足元にも気をつけながら進むことにした。

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