グリーンベレー入隊、そして。
――湾岸戦争の際、グリーンベレーの第5特殊部隊群が展開され、エジプト軍などの多国籍軍への訓練・連携支援など特殊偵察任務で活躍した。戦闘の先鋒はデルタフォースが担い、グリーンベレーがその支援に回った。
後のアメリカ=イラン戦争時に於いて、提示した四項目をイランが拒否したため、それらを遂行するため米国地上特殊作戦部隊が派遣されることとなった。
それら数多の実戦経験のノウハウが山のようにあるのが、これらグリーンベレーの強みだ。
そもそも、1942年に編成された「第1特殊任務部隊(FSSF)」ドイツ支配下のノルウェー破壊工作のために結成された部隊であり、後の米陸軍特殊部隊の原型となった歴史ある部隊。
尊敬されるべき特殊部隊であるのだが、アランは特に"それ"に興味は無かった。
デルタフォース。彼はその組織にしか熱い感情は動かなかった。
その理由は――
グリーンベレー部隊の編入訓練には過酷さが付きまとう。おおよそ八割ほどが脱落するほど。
例えば、重い背嚢を背負っての長距離行軍や睡眠不足、食事制限などで徹底的に追い込まれる。
それら訓練の目的は極限状況での判断能力を鍛えるためだ。
三週間の訓練期間中、アランは必死に食らいついた。
理由は、グリーンベレーに配属され実績を積めば、夢のデルタフォース入隊が近付くから。
そして、グリーンベレーに無事、配属されることとなった。
だが、ここで運命が変わった。
ロシア、中国とその属国。そしてインド。これらがノヴァヤゼムリャ水爆実験やLAWSからのデータを用いて、『AI』が人間を大規模効率的に『削除』するための作戦に乗り出したのだ。
どこから潜伏したのか、ワシントンの都市中心部で爆発事故があった。死者負傷者は二千人を有に超える。
対空レーダーの反応は無い。
なら、地上からの攻撃――そう推察を立て、半壊した瓦礫を捜索していると機械破片が見つかった。
その機械をペンタゴンに回すと、それはスイスからのLAWSだと判った。
スイスはNATO非加盟国で中立国だ。アメリカの面子を潰した代償は支払ってもらわないといけない。
NATO加盟国の根回しは終わった。
それからスイスに報復宣言を出す。
所詮、中立国だ。すぐに潰せる。
だが、全てがフェイクだった。
世界ネットワークにスイスからのテロ行為が実はロシアと中国が噛んでいたという情報が流れた。
それらが表に出たとき、スイスの領土は壊滅状態だった。
アメリカは世界中から非難を浴びた。
それでも、覇権を保つために国連常任理事国でのアメリカ擁護の意思表明を出そうとしたが、その採決は却下された。
中国とロシアが否決したのだ。
そんなこと、餓鬼でも分かる話。
そもそも中国やロシアのせいでもあるが、常任理事国という性質上、鉄槌が下ることはない。その国の背後にはBRICSもいる。
今回の一件で、アメリカの面目は丸潰れだがこれで引き下がるわけにはいかない。
国というのは便利なようで使えない。なら、AIが統治し、代理戦争を起こせばいい。
空っぽな戦争――




