表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
U.E(アンリアルエンジン)  作者: 彼方夢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/5

LAWS

 その日ロシアで核実験を行われていることが世界ネットワークで拡散された。

 ロシア北極圏、ノヴァヤゼムリャ。1950年代から水爆実験場として活用されていた。

 それから時代が変わり、NPT(核不拡散条約)によって実験場としての仕事は終わりを迎えた。

 だが、2024年頃からウクライナ侵略作戦により、ノヴァヤゼムリャ水爆実験場は再開発が行われた。


 その際に軍務部が注目したのが核実験のデータをAIに記憶させることだった。なぜなら機械学習の一つであるガウス過程を用いて、核データを生成・評価する手法が開発されているため、その試験運用も兼ねていたからだ。

 そして水爆実験は成功。ロシアは新たな軍事革命のための狼煙を上げた。

 NATOはそのようなロシアの行動を危険視し、マクロン大統領がアメリカ大統領にホットラインを繋げた。大統領は厳しい声音で、「アメリカ側は動かない。軍事費は出すが、基本黙秘しろ」と命じられ、マクロンは表情が引き攣ってしまう。

「大統領! ロシアはいま、ウクライナ侵略をしている最中ですよ」

 マクロンの声に、アメリカ大統領は嘲笑を零す。

「そんなこと分かっている。だが、肝心なことをあなたは見えていない。NATOがウクライナに関与している限り、奴は核兵器を用いない。そもそも、地理的にもウクライナから偏西風で核汚染がヨーロッパに流れるからな。奴もそこまで馬鹿じゃないだろう」

「万が一があれば、袋叩きに合う。あの……」

「なんだ?」

「国連常任理事国に中国とロシアがいますが、どうにかすることは?」

「――どうにか、とは?」

「……すみません。では」


□■□


 それから十年後。米国陸軍に新人隊員が組織入りした。2034年の事だ。

 名はアラン・ジョンソン。端正な顔立ちに精気が迸る眼。屈強で。――女が追い求めるダンディズムを実像させたような男だ。

 

 フォート・カバゾス陸軍基地。ロサンゼルス。

 陸軍に入りたての新米に、上官がここで兵士とは何たるかを徹底的に指導する。



 そのカバゾス基地にアランは所属していた。

 朝目覚め、舌打ちする。その数十秒後、起床ラッパが兵舎に鳴り響く。

 いつもこれだ。起床ラッパが耳障りで。身体を起こし、素早く兵装に着替えてグラウンドへ向かう。

 ランニングを数キロこなしたあと、次は食堂に往く。

 席に座り、DFACに則った、高カロリーだが栄養価など計算されたものを口に運ぶ。

 いつもの不味い味だ。これで疲れなど取れるものか。


 すると横に、見かけたことが無い兵士が座った。

「どうだ? 新人訓練は?」

 アランはその藪から棒な男を睨む。

「そんな眼をするな。……というか、お前は訓練が終わったら、どこか配属希望を出すつもりはあるのか?」

 アランが溜め息を零したあと、

「俺は、将来デルタフォースに入りたいと思っている」

 そいつは失笑する。その態度にアランは苛立ちを覚える。

「おい、お前が聞いてきたんだろ」

「いやいや、すまねえ。今どきデルタフォースかって思ってな」

「は?」

「時代遅れって言ってんだよ」

「…………」

「LAWSって知っているよな?」

「――自立型致死兵器システム……」

 答えを聞けて満足な気分になったのか、その男は笑みをこぼす。


「これからは戦場や、それを統治するのもAIの時代だ――」

 男は最後にアランの肩を叩き、この場から去る。


「あいつとは関わらない方が良い。頭がイカれている」

 先ほどまで男がいた席に蔑視の視線を投げる金髪の女性兵士。

「それは俺の好きにする」

「そう。じゃあ」


 食事終了のラッパが鳴る。トレイの上にはまだ八割ほど食事が残っている。

 我慢できず、舌打ちした。

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ