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35歳バツイチオッサン、アーティファクト(美少女)と共に宇宙(ソラ)を放浪する   作者: エルリア


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308/314

308.大きな獲物を釣り上げて

何かとっかかりが欲しいのか、話が途切れてもそこから離れないオッサン。


うーむ、急いできたせいでノープランなのは分かるけどもう少しアクションをして欲しいんだが。


「まだ何かあるのか?」


「いえ、次は是非あちらの女性に賭けさせてもらいますね」


「そりゃありがたい話だが、あまり大金をかけられるとオッズが下がるからなぁ」


「つまり勝つつもりでいると?」


「さっきも言ったようにできる限り頑張るつもりだ。相手は優勝候補ではなくても実力者であることに変わりはない、今の試合で相手もこっちの動きを研究してくるだろうから・・・まぁ期待半分でよろしく頼む」


これ以上は話が進まない感じなのでさっさと切り上げて次の戦いに備えるべく席を立った。


なによりさっきの選手へのブーイングがすごくて聞いているだけで耳痛くなってくるので、この場から離れたかったってのもある。


オッサンに背を向けて歩き出したその時だった。


「また連絡させていただきますよ。つぎはもっとお金になる話をね」


「・・・金?」


「リディアを気前よく買ってくださるのですからお金はあるようですが、残念ながら使えばなくなってしまうもの。今の戦いと同じぐらいあればもっと長く遊べるのではありませんか?」


「何が言いたい?」


「訳あって彼女を売るわけにはいきませんが、オーナー権限で安く紹介することはできます。もちろんこちらの条件を飲んでくださるのなら・・・。では、また後程」


勿体ぶった言い方をしてオッサンの方から離れていった。


少し遅れて俺達もイブさんを迎えるために席を移動、参加者向けに用意された控室に移動すると一足先に戻っていたイブさんが涼しい顔で待機していた。


「イブさんお疲れ様、そしておめでとう」


「ありがとうございます。あんな感じでよかったでしょうか」


「最高の勝利でした。会場のボルテージも最高潮で、ミニマさんが大喜びしていましたよ」


「うるさいぐらいにね」


「仕方ないやんか、あんなかっこいい勝ち方すると思わへんかったんやもん。見えないぐらい速い相手を一撃やで?」


「イブさん的には見えていたのか?」


「完全にというわけではありませんでしたが後ろから来るのは分かっていました」


流石イブさん、初見の相手でも余裕を持って対処できていたらしい。


このままいけば優勝は間違いなし、もちろんそれをさせないっていうか他にも優勝したい相手が連絡をしてくるはずなんだが・・・。


「マスター、ドンブル様より連絡が入りましたがどうしますか?」


「繋いでくれ、どうせ八百長の相談だろ?」


「十中八九そうでしょう。思ったよりも早くエサに喰いつきましたね」


「それだけイブさんの事を危惧しているんだろう。事前に連絡を入れて八百長の算段を付けていたはずなのに、俺達みたいなのがでてきたせいですべて狂ってしまったわけだしな。早く安心したいのかもしれない」


「ではマスター、手筈通りにお願いします」


「了解」


さて、どうやって釣り上げてやろうか。


アリスの合図で通信が開き、控室の壁にあの男の顔が投影される。


「先程はどうも。流石にあの場所で話す内容ではありませんので場所をかえさせていただきました。そちらも場所を移動されたようですね」


「そりゃ金になる話ってきいたからな」


「ご理解いただき何よりです。ではお互いに次の試合もありますから、簡単にご説明させていただきます」


というわけでオッサンのプレゼン・・・と言う名の八百長の相談が始まった。


内容はまぁ予想通り、向こうは何も知らないと思っているだろうけどこっちはオッサンのお財布事情をすべて把握している。


なにより融資先から貸し剥がしに合いそうで今すぐにでも金が欲しい状況になっているらしい。


まぁこれに関してはアリスがやったことだけど、結果としてこんな感じで動いてくれたので良しとしよう。


「ふむ、つまり八百長をしろと?」


「こっちにも色々と事情があってね、どうしても今回の大会は優勝しなければならないんだよ」


「そしてこのままいけば準決勝で当たるから、そこで負ければ1000万ヴェイル貰えると」


「しかもこっちに全額ベットしておけばさらに掛け金が増えるのは間違いない。順々決勝からは掛け金の上限が撤廃される、それこそ一晩で億万長者も夢じゃないというわけだ」


「なるほどね、勝負に負けて懐具合で大勝ちするわけか」


「そうすればうちのリディアを二週間どころか一カ月でも二カ月でも使うことが出来る、悪い話じゃないと思うが?」


確かに勝つか負けるかわからない中ベットするぐらいなら確実に勝つ方に賭けた方が間違いはない。


向こうは理由があって大会で優勝したい、俺達はリティアを長期間借りれるだけの金が欲しい。


表面的な部分では利害が一致しているように見えるけれども生憎と受けるつもりはないわけで。


「確かに面白い話だ。なら俺達とやるときはそっちも自分に賭けるんだよな?」


「どういうことだ?」


「どうせ勝つとわかってる勝負なんだ、俺達に渡す報酬分も一緒に稼げばそっちも大儲けできるだろ?その金でリディアをもっと安く買わせてくれれば文句はない。それこそ、あの娼舘を抵当に入れて金を借りても負けないんだ、やらない理由はないだろう」


「ふむ、確かにその考えはなかった。しかし抵当か・・・いや、そうすればあの借金も・・・」


「手始めに俺達の試合に全額ベットすればいい、確実に勝たせる自信はあるぞ」


「確かに君達なら負けないだろうな」


「次で大勝ちさせてもらえるのなら、次の試合であえて相手に賭けてオッズを上げてやってもいい。どうする?せっかく勝つなら思いっきり稼いでやろうぜ」


向こうが八百長を言い出してきたのに、気づけばこっちが賭けの誘導をしている。


人間一度勝つと気が大きくなるもの、俺達が大儲けをするためなら少々の損は覚悟の上だ。


幸いそのための軍資金はさっき稼いだからな、半分ぐらい使ってオッサンを勝たせつつ直接対決で自分達にオールインすればかなりの掛け金をゲットできるはず。


まぁオッサンは大損確定だがそれこそが今回の狙いでもある。


アリス曰くここで金を稼いでオッサンから直接買い付けると色々と裏を探られたりするけれども、借金のカタに売られた物件を買ったとなれば、一度公の場を通過しているので怪しまれにくいんだとか。


これこそが前に話していた正当な方法、八百長だって持ちかけられただけでそれを裏切って自分達が勝てば結果として八百長じゃないし、次の試合で自分ではなく相手に多額のベットをしたとしてもあくまでも可能性に賭けただけの話。


怪しまれる要素はあってもそれを証明することはできないので、結果として足はつかない。


まぁ、準決勝で俺達が勝ったことでかなり文句を言われるだろうけど、八百長の証拠なんてあるわけないんだからスルーすればいいだけの話だ。


普通に娼舘を買うのではなく、投資という別ルートを理由に買う事でヴェイロン一味として怪しまれないようにあの親子を再会させる。


その為には多少の犠牲も必要と言うわけだな。


「その件はまた連絡するが・・・次の試合は期待していいんだな?」


「当たり前だろ、優勝候補を秒殺するんだぞ?」


「違いない、それではまた連絡する」


そう言ってオッサンは通信を切った。


ノーシグナルの表示を確認してから俺も小さく息を吐く。


「と、言う感じで持って行ったが・・・どうだ?」


「すぐに融資先に連絡を入れていますね、結果は上々でしょう。後は次の試合で大勝ちさせてから準決勝で大負けさせればいいだけです」


「そして俺達は競売用の資金をガッツリ稼ぐと、抜かりねぇなぁ」


「もっと褒めていいんですよ?」


「はいはい、すごいすごい」


「まったく気持ちが入っていませんがまぁいいでしょう。ではイブ様、次も快勝を期待しています」


「お任せください!」


さぁ、準備は整った。


後はその時を待つばかり、娼舘購入作戦もいよいよ大詰めだ。

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