303.大人の場所へとやってきて
「うーむこの宙賊の数、圧巻だな」
「そりゃ宙賊コロニーだもの、当然よ」
右を見ても左を見てもいかにも宙賊と言う奴ばかり。
小汚いやつが多いと思いきや、案外綺麗にしているのか酸っぱいようなにおいが漂っていることもない。
服装だって普通のコロニーを歩いている一般人と変わらない、じゃあどこが宙賊っぽいんだと聞かれるとやはりその顔。
悪人顔というかなんというか、ともかくひと目で宙賊ってわかるんだよなぁ。
「因みに目の前を歩いている宙賊の懸賞金でおよそ1200万ヴェイルです」
「マジか、結構するな」
「数人の懸賞金が高いようですね、ここの宙賊を全員殺せば惑星が買えますよ?」
「それを聞いても残念ながらさぁ殺ろうっていう風にはならないんだよなぁ」
「残念です」
てっきりもっと安い・・・っていうか、下っ端が多いのかと思ったが案外高い懸賞金が懸けられているらしい。
何でもここでは懸賞金の高さも重要視されるらしく、高ければ高いほど待遇がよくなっていくんだとか。
なんだそのシステムと思いながらも、それだけ懸賞金が懸けられるという事はすごいことをしてきたっていうバロメーターになるそうだ。
因みに俺にかけられている懸賞金は800万、アリス曰く高過ぎず安過ぎずというラインらしい。
「で、私達だけを連れ出してどこ行くつもり?」
「ティリスさんのいない所でしかできないプレイでしたら大歓迎ですが・・・」
「馬鹿野郎、そんなんじゃねぇよ」
「ですがこの先は娼館街ですよね?」
「仕方ないだろ、そこにいるんだから」
「あぁ、そういう事」
「ですが娼舘にヒューマノイドを二人も侍らしていく客なんて変態以外の何者でもないですよ?」
誰が変態か、とアリスのケツを叩きつつ内心おれもそう思っている。
でもまぁ仕方ないだろ、そこにしか彼の母親はいないんだし、現地の状況を調べるには二人の力が必要なんだから。
それでド変態と思われても仕方がない、言いたい奴には言わせておけばいい。
「いらっしゃいませ」
「女を買いたい」
「もちろんです、お気に入りの子はいますか?」
「いや、初めてだ。おすすめがいたら紹介してほしいんだが・・・そうだな、出来れば年上で」
「お客様ここは若手しかおりません・・・と言いたい所ですが、どんなお客様の要望にも対応するのがこの店の売りですので向こうの席で少々お待ちください」
「・・・わかった」
店に入った瞬間に複数人の視線が突き刺さる。
だが、それに臆することなく声をかけてきた黒服に要望を伝え、案内されるがまま待機用のブースへと移動。
外観は結構ボロいんで覚悟して入ったんだが、案外中は清潔でこのソファーもいい感じの反発が残っている。
大抵はボロボロか使い込まれてスプリングが死んでいるんだが、これは意外だ。
アリスとテネスを見る軽蔑の目線をスルーしつつ、周りを確認。
宙賊コロニーの娼舘なんてもっと荒れてて防音とかも悪いのかと思ったが、そういう雰囲気は一切感じられなかった。
「慣れていますね」
「そうか?」
「あの視線にも全く動じないし注文もスムーズ、そりゃそう思うでしょ。言いなさいよ、一体何回通ってるの?」
「それはアリスに聞け、どうせ俺の履歴全部調べ上げてるだろ?」
「はて、何のことだか・・・」
「お待たせいたしました、こちらがリストになります」
話を遮るかのように水のボトルと一緒に先程の黒服が端末をもって戻ってきた。
それを受け取り、空中に表示されたリストを上にスワイプしてくと全部で四人のデータを確認。
どれも要望通りの年上、見た目は正直普通だがスリーサイズから可能なプレイなども含めて詳細に記載されている。
うーむ、エロイ。
いや、当たり前なんだが最近一人の時間がなくご無沙汰だっただけにこれは中々刺激的・・・ってそうじゃない。
「彼女で頼む」
「お目が高い、この子でしたらどんなプレイでも受け入れますから、きっとご満足いただけますよ」
「金は払う、一番広い部屋を貸してくれ」
「・・・金はあるんだろうな」
「これを見てまだ言うか?」
「も、申し訳ありませんでした!すぐにご準備いたします!」
そう言いながらカイロスさんのコインを男に見せると、目を大きく見開き目にもとまらぬ速さで頭を下げた。
うーむさすがカイロス、ここでも効果は絶大だ。
しばらく・・・ていうか一分もしないうちに黒服が戻ってきたので、そのままエレベーターで最上階へ。
さっきの発言は無かった事にしたいのか、しきりに申し訳ありませんと言い続けているのでとりあえず無視しておいた。
「一時間は誰も近づけるな、わかったな」
「は、はい!」
「俺がだれか気になるならグラントに聞けばいい、話は以上ださっさと失せろ」
「し、失礼します!」
部屋に入るのを確認もせず黒服は転がり落ちるかのように階段を下りて行った。
そこまで脅したつもりじゃなかったんだが・・・まぁいいか。
「なかなか様になってますよ」
「俺が言うのもなんだが、こういうのも悪くないな」
「でも似合ってないわね」
「余計なお世話だっての。中に入ったら・・・わかってるな?」
「もちろんです」
「ジャミングは任せたわよ、その代わり疑似信号は流してあげる。盗聴器はハッキング済み、映像はどうするの?」
「えぐいのを作っておきます。それこそ、マスターが一目置かれるぐらいの物を」
「頼むからやめてくれ」
こいつら俺の事になると容赦ないから、マジで。
一目置かれるどころか無茶苦茶引かれる奴を作りそうなので、その辺はきつく言い聞かせておかないと。
「ま、とりあえず入るか」
向こうも緊張して待っているだろうからさっさと話しをしてしまおう。
VIPルームの扉を開くと、二重扉になっているのか奥にももう一つ扉が見える。
なんとも豪華なつくり、玄関だけで暮らしていけるんじゃないだろうか。
「マスター?」
「すまん、何でもない」
「まさかここまで来てビビってるんじゃないでしょうね」
「生憎とそういう年でもないんでね」
こちとら35を超えた立派なオッサン、この程度でビビるのはとっくに通り過ぎた。
二つ目の扉を開けると、今使っているスイートの主寝室ぐらいの広い部屋、そのど真ん中にはキングサイズをさらに広げたような大きなベッドが鎮座している。
「ご指名ありがとうございます、この度はよくお越しくださいました」
そしてそんな俺達を待っていたのは深々と頭を下げる赤い下着姿の女性。
ブラウンのロングヘアーが背中に広がり、なんとも言えない色気を醸し出している。
うーむ、エロい・・・ってそうじゃない。
「アリス、テネス、あとは任せた」
「お任せを」
「了解、直ぐにやるから」
「頭を上げてくれ」
「失礼します」
扉を閉めると同時にアリスとテネスが左右に分かれて部屋をスキャン、と同時にカメラなどのハッキングを開始する。
そんな状況にもかかわらず女性は臆することなく堂々と頭を上げ、下から俺を見上げてくる。
うん、デカい。
真っ赤なブラか見える谷間がなんとも言えない気分にさせられるが、その目を見ているとそんな気分もどこかに吹き飛んでしまった。
芯の強い女性ってのはこの人の事を言うんだろう、このような状況にも臆することなく目に炎を燃え上がらせている。
そりゃ旦那を含めた一族を殺されながらも、ネロ少年をあの箱に入れて外に逃がすぐらいの女性だ、当然だろう。
「マスター、準備出来ました」
「こっちもオッケーよ」
「了解。とりあえず色々と話したいことがあるから・・・バスローブを着てもらえるか?」
流石にこのままじゃ目のやり場に困る。
突然の申し出に流石の女性も困惑しているようだが、別にそういう事をしに来たんじゃない。
ここからは俺達ヴェイロン一味に関わる重要な打ち合わせの時間、エロいのは・・・またお預けだな。




