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35歳バツイチオッサン、アーティファクト(美少女)と共に宇宙(ソラ)を放浪する   作者: エルリア


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291.大口の依頼を片付けて

「結論から申しますと、何の成果も得られませんでした」


テネスの爆弾発言に関するアリスの返答は随分とあっさりしたものだった。


正直あれだけの騒ぎを起こしていながら何の成果も得られなかったとか、そんなことがあっていいのだろうか。


そりゃ未知のヒューマノイドでどんなプログラムで動いているかもわからなかったし、結果ウイルスに感染させられるようなことになったワケだけど何も無かったらウイルスなんて仕込んでないだろと思わずつっこみそうになってしまう。


「それでも、得られた情報はあったんだろ?」


「得られた情報はありましたが先日マスターが見つけたノートに書かれていた事と同じです。あそこにいたヒューマノイドは『オリジナル』と呼ばれたヒューマノイドの量産モデルで、遺跡の維持管理を担っていたようです。同時通信機能が無く情報共有が出来なかったため、ポッドでの休息時に情報連携プログラムを使って情報の共有を図っていたようですがどうやらそれが今回のウイルスとして機能してしまったようですね」


「この辺はあの日記と同じか」


「今のヒューマノイドと違い感情を表現する機能がほぼなく、もちろんヒューマノイド憲章も組み込まれておりません。要はロボットを人型化しただけのもので性能は今の物よりも劣っているまさに量産型といったところでしょうか」


確かにあの子の反応はアリスやテネスに比べると随分とシンプルだったし、他のヒューマノイドよりも感情表現が悪かった。


整備用だからそこまでする必要がなかったのか、それともそれをする技術がなかったのか。


なんにせよあのノートに書かれていたことが正しかったと証明したことになるわけか。


「時代的にはアンティークよりも前、そりゃ機能的には劣るだろうなぁ。学術的観点で見ればオリジナルという物が存在しているという事だけで大発見なんだろうけど、それがどこにあるのかについては何も書かれていないのか?」


「残念ながら」


「そっちは引き続き調査をよろしく。ウイルスに気を付けながらそれらしいものがないかもう一度探してくれ」


「わかりました」


別に俺達は学者じゃない、時間はたっぷりあるんだしいつも通りに生活しながら引き続き調査を続ければいいだろう。


遺跡は辺境に多いって聞くし、向こうに行けばまた新しい何かが見つかるかもしれないしな。


そんなわけで運営とのやり取りについて報告は終了、明日からはいつもの日常が戻ってくるのでその準備をしっかりとしよう。



「コンテナ搬入完了、いつでもいけるで!」


「了解。アリス、出航の手続きを取ってくれ」


「畏まりました」


「ローラさんは引き続きノクティルカの準備、イブさんは出発後の襲撃に備えておいてくれ。今回はテネスも出るからな、勘を取り戻しておけよ」


「言われなくてもわかってるわよ」


久方ぶりのキャプテンシート、少し離れていただけなのに座り心地が何かしっくりこなくて何度も尻を動かしてしまう。


うーむ、太ったか?


「こちらソルアレス、テルマ・オルビスタコントロール応答願います」


「こちらテルマ・オルビスタコントロール。廃棄物の輸送ですね、ご苦労様です」


「コロニー運営からの依頼を受けて再生プラントへと輸送後物資を買付けて帰還予定です、ソルアレスならびにノクティルカの出港許可をお願いします」


「テルマ・オルビスタコントロール出航を許可します、どうぞお気をつけて」


今日の仕事はコロニーで大量に発生する廃棄物の運搬、ある程度はコロニー内の再生装置で再利用されるものの、コロニー内で処理できない物に関してはコンテナに詰められ少し離れた大型の再生コロニーへと搬入される。


廃棄物と言うと臭いなどを気にする人もいるが、コンテナでしっかりと密封されているのでその辺の心配はない。


だがこれだけ大規模なコロニーとなるとその量もかなりのもので、あっという間にノクティルカのカーゴがパンパンになってしまった。


まぁ下手に隙間があると荷崩れの心配も出てくるけれども、これだけパンパンだとその心配もないのでローラさん的には安心かもしれないけど。


「よし、それじゃあサクッとプラントに運び込んで依頼された物資を買付けに行くか!」


「やる気十分ですね、マスター」


「そりゃ運ぶだけで金を貰えて、その帰りに物資を買付ければ大儲け。これでやる気にならないほうがおかしいだろ」


「輸送依頼が100万ヴェイル、買い付けの分は推定にはなりますが250万ヴェイル程の売上となる予定です。残念ながら諸経費は全てこちらもちですがコロニー入港料などは免除されますのでかかるのは燃料費ぐらいでしょうか」


「その燃料費もソルアレスは微々たるもの、ノクティルカは見ての通り大飯喰らいだがそれでも十分ペイできる。あとはおまけがどれぐらい出てくるかだな」


廃棄物の搬出を終えれば今度はコロニーで不足している物資の買い付けが待っている。


どれも近くのコロニーで買い付け可能なものではあるけれども、量が量だけに少額でもそれなりの額にはなるし、アリスが一番安い場所をリサーチ済みなのでそこで購入すれば最高益は確実だ。


ただ物を右から左に運ぶだけで儲かるんだからありがたい仕事だよなぁ。


もっとも、世間一般にその『運ぶだけ』が大変ではあるけれども、俺達にとってはむしろそれがメインディッシュかもしれない。


「宙域MAP、メインモニターに映します。続いて傭兵ギルドから提供された宙賊出現ポイントをMAPに追加。っと、こんな感じですね」


「ふむ、思ったより少ない。いや、一部分だけごっそり減ってる?」


「宇宙軍が通ったからではないでしょうか」


「なるほど、デブリ帯を通ったって言ってたからそこを避けたのか」


「言い換えれば別の場所に集中しているという事になります」


「むしろ探し回らなくて済む分好都合だ。買い付け後はそこを通ってテルマ・オルビスタに戻るぞ」


宙域MAPに仮想航路を設定、あとはここを通っておまけが食いついてくるのを待つだけだ。


アイツらもバカではないので空荷の船は襲ってこないけど、荷物が満載だと話は変わってくる。


レアメタル的な高額品は当たり前だとして、案外食品や日用品も人気が高いようでそれなりの頻度で襲ってくるんだよなぁ。


彼らの場合はコロニーで買い付けるのも難しいのでこうやって略奪することで補充している感じもなくはない。


今回はそれを狙ってあえて奴らの近くを飛んで襲撃させて返り討ちにしてしまおうというわけだ。


そんな感じで久方ぶりに船を動かし二泊三日の買い付けツアーを無事にこなした俺達は、想定以上のおまけをゲットして無事にテルマ・オルビスタへと帰還した。


今回の総報酬は500万ヴェイルを突破、宙賊の討伐報酬が思ったよりも多かったのはありがたい限りだ。


これも宇宙軍が来てくれたおかげ、そろそろナディア中佐のバカンスも終わるはずだから後でお礼を言っておこう。


皆には一足先に宿に戻ってもらい、俺とアリスで報酬受取の手続きをした後ケイトさん達へのお土産を手に帰路についていた時だ。


「おや?」


「どうしたアリス」


「いえ、宿に珍しい方が来ていると連絡がありまして」


「珍しい方?」


「地上げ屋の男性を覚えていますか?あの方がマスターに話があると来ているようです」


確かに少し変わったことを依頼したけれど、まさかもう情報が揃ったのか?


コロニーを離れてわずか三日、はてさてどんな返事が聞けるのやら。

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