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35歳バツイチオッサン、アーティファクト(美少女)と共に宇宙(ソラ)を放浪する   作者: エルリア


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290/326

290.運営から仕事を貰って

「この度はこちらの不手際によりご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした」


コロニー運営の入る巨大ビルの一角、応接用の部屋に案内された俺達は太った男から詫びの言葉を聞いていた。


その左には地上げ屋の男と右には気弱そうな男、対してこちらは美女揃い。


勝ったな。


「詫びの言葉は聞き飽きた。俺が求めているはの今回の件についてそちらがどのぐらい誠意を見せてくれるかと言う一点のみ。こちらの要望は読んでもらえたと思うが、返答を貰えるか?」


「それなのですが、聊か要望が大きすぎるようで。こちらとしては出来る限りの対応をさせていただくつもりなのですが、満額回答と言うわけには・・・」


「大きすぎる?そんなことは無いと思います、そちらがこれまでに行って来た大勢の方々への処遇を考えればむしろ当然かと」


「それとこれとは話が違います。今回の争点はあくまでも事故についてのみ、にも拘らず相談役制度そのものを廃止しろと言うのは流石に・・・」


「ん?」


おや?


てっきりツアー代金全額無料とかその辺なのかと思ったのだが、これまた突拍子もない要望を突きつけたな。


まぁ、ここにきてその不利益に振り回されたのも事実だしどうにかしたいと思うのは分かるけど・・・とりあえず最後まで聞くか。


「続けてくれ」


「今回の要望に関しまして、項目1~4につきましてはそちらの要望通りとさせていただきます。ツアー代金の全額返金、本件を口外しないことを条件とした賠償金のお支払いならびにエレベーターの即時修理、そしてコロニー内の輸送業務の優先発注。賠償金につきましても一人500万ヴェイルの七人分に諸々を加えた5000万ヴェイルをお支払いさせていただきます」


「項目5を認めない理由は?」


「確かにこの度は多大なるご迷惑をおかけいたしましたが、流石にコロニーの運営権をお渡しすることには・・・。いえ、それだけの事をしたのは重々理解しているのですが、他部署との関係も色々とありましてですね、こればっかりは」


デブ・・・失礼、太った男が必死に弁解をしてなんとかそれだけは勘弁してくれと頭を下げてくる。


他部署との関係なんてのはぶっちゃけ俺達に関係のない話なのだが、これだけ金の絡む場所だけに利権だなんだと色々と面倒なことがあるんだろう。


そこに何の関係もない俺達が急に入り込んでくるのは無効としてもやりづらい、ってことなんだろうな。


「ふむ、正直満足はしていませんがそれ以外の所で譲歩してくださっているようですし、今後の取引もありますからそちらの回答で結構です。ただし項目3に関しては我々の輸送力に見合った発注をお願いいたします。少量の依頼でごまかそうなどと考えないでください、超大型輸送船を満載にするだけの物量がここでは消費されているはずですから」


「か、かしこまりました・・・」


「という事ですがよろしいですか、マスタートウマ」


アリスが俺の名前を呼ぶのは珍しい。


いつもならマスターだけで済ませるのだが、一応俺の名前も世間的・・・特に軍関係で知られているようなので、それを出すことで後ろに軍関係者がいるんだぞという事をアピールしたいんだろう。


まったく抜け目のないやつだ。


「そうだな、今後の取引に期待している。もしそれに見合わなかった場合は・・・わかるよな?」


「は、はぃぃぃぃ」


「よし。とりあえず仕事の話から行こうじゃないか、まずはこの宙域の宙賊情報とコロニー内で消費されている物資の総量一覧、ならびに各プラントの更新情報だな。うちにはメカニックもいるから保守関係の情報ももらおうか、これだけ多くの機械があるならそろそろ交換時期に来た奴もあるだろう。後は・・・」


とまぁ、そんな感じで引き続きコロニー運営との話し合いは進み、一定の成果が得られたところでお開きとなった。


帰りももちろん黒塗りのエアカーに乗って宿まで送ってもらう。


「送ってもらって悪かったな」


「なに、俺は仕事をしただけだ」


「それのついでにちょっと聞きたいことがあるんだが・・・」


去り際に例の地上げ屋といくつか話をしてやっと解散。


中に入るなりケイトさんが心配そうに駆け寄ってきたので、人を集めて今回の件について報告をすることとなった。


「これまた随分と大きな要望を出したんやなぁ。確かにリリットちゃんが大変な目に合ったわけやけど、相談役を廃止ってそんなことできるん?」


「もちろん無理でしょうね」


「無理やってわかってるんやったらなんでそんなこと言うたん?」


「さて、それはなぜでしょう。博識のマスターならお答えできると思いますが、如何ですか?」


いや、なんで俺に話を振るんだよ。


っていうか博識って今までそんなこと言ったことなかったのに、わざわざそう呼ぶあたり答えられなかったときに恥をかかせたいとかそういうつもりなんだろうか。


「つまりはあれだろ?過大な要求を見せる事でそれ以外の要求を小さく見せて、結果的に多くの報酬を得るってやつだろ?」


「さすがマスター、その通りです。流石に相談役システムそのものをどうこうするつもりはありませんし、それを変えた所で私達に何の利益もありません。ですがそれ以外の要求はすべて私達の懐に直接関係するものですので、なんとか全てと思ってのですが流石に最後のは外されてしまいました」


「隠蔽も含めて今回の事故がいくら大事でも、流石に部外者をコロニー運営の中には入れたくなかったんだろうなぁ。それこそ今までの悪事が全部バレるんじゃないかってビビったんだろ」


コロニーの運営に一枚噛ませろと言い出した時はこれまた大きく出たな、と思ったのだが残念ながらその要求も却下。


個人的にはあのプールコロニーなんかの運営をしてみたかったのだが、よくよく考えれば燃料費とか人件費とか色々と考えなければならないので俺には向いてなさそうだ。


まぁそのためにアリスやテネスがいるんだけど、彼女達には別の事をしてもらわないといけないしなにより俺達の目標は辺境惑星に行くことなので、こんなところで立ち止まっているわけにはいかない。


「ですがそれのおかげでツアー代金は全額無料になりましたし、賠償金も別途お支払いいただけることになりました。更にはお仕事も紹介してもらえるわけですから十分じゃありませんか?」


「ローラ様はお優しいですね」


「優しい・・・と言うのはちょっと違うと思いますけど、でもケイトさんにお貸しした分以上に帰ってきたわけですよね?」


「まぁな」


「それに優先的に輸送系の仕事を貰えるとなればここでの滞在費もすぐに回収できるんじゃないですか?それ目当ての宙賊もいるみたいですし、私はこれでいいと思います」


同席していたイブさんとローラさんも、さすがにこれぐらいにしておけという感じだったもんなぁ。


ぶっちゃけ俺もアリス寄りでもう少し搾り取ってやろうと思ったのだが、今後もケイトさんが保養所運営をしていくのであればあまり波風を立てるのもよろしくないだろう。


地上げ屋を通してあの人が俺達の関係者だってことは伝わっているわけだし、遠回しに面倒な事をしてこられるぐらいなら気持ちよく終わるほうが今後の為にはいいのかもしれないなぁ。


「ま、そういう事だからこれからはゴロゴロダラダラするわけにはいかなさそうだ。とはいえ仕事も多いし一カ月もすればそれなりの稼ぎにはなるだろう、仕事を頑張った後は温泉でゆっくり・・・アリだな」


「マスターがそう仰るのであればこれ以上は何も言いません。ですが、引き続き調査は続けさせていただきます」


「調査、ですか?」


「アリスの快気祝いを邪魔されたわけだし、例の保養所契約についても完全には解決していないからちょっと布石をな」


「だからあの人に話しかけていたんですね」


「そういう事だ」


レオン大尉には一応話はつけたけれども、あの方法で来年の契約を貰う為には俺達も法人化しておく必要がある。


その為にも色々と準備が必要ということで探りを入れさせてもらった。


まぁしばらくはここで仕事をするつもりなのでしっかり儲けさせてもらうとしよう。


「で、聞きたいんだけど。ウイルスを解析出来たってことはあのヒューマノイドについても何かわかったのよね?」


ウイルスに感染した理由を辿れば確かにそこに行きつくはず。


最後の最後にテネスが忘れていた爆弾を投下してきたのだが、果たしてアリスの返答やいかに。

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