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35歳バツイチオッサン、アーティファクト(美少女)と共に宇宙(ソラ)を放浪する   作者: エルリア


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252/256

252.遺跡の中を案内してもらって

「いやー、一時はどうなることかと思ったが君達のおかげで防御機構も動き出さなかったし大きな遅延もなかったよ。本当に助かった、ありがとう!」


機械の暴走?は無事に収まり、遺跡に平穏が戻ってきた。


イブさんは何が起こったのかよくわかっていないけれど、例の仮説を立てていた俺達はある種苦笑いを浮かべるしかない。


流石適合率75%、当時の住民ではないにせよ顔が近しいこともあり何とか機械を止めることに成功したわけだが、これでダメだった時はどうするつもりだったんだろうか。


「そんな、私は・・・」


「いやいや、これもイブさんとミニマさんのおかげだ」


「別に、これはお姉様が手伝ってくれたおかげやし」


「まぁまぁそういわないでくれ。是非お礼をしたいんだが、聞けば君達は遺跡に興味があるそうじゃないか。片づけをするのにもう少し時間がかかるから、よかったら奥を見ていくかい?」


「いいのか?」


「もちろんだとも。せっかくここまで来た恩人を手ぶらで帰らせるわけにはいかないだろう、その程度しかできなくて申し訳ないが許してくれ」


ここにきて思わぬ提案、本来は入れない現在の調査エリアまで見せてもらえるとは思っていなかった。


これも彼女達が頑張ったおかげ、こうなるためにアリスが暴走を起こしたという事は・・・ないよな?


「何か?」


「何でもない」


「誤解がないように先にお伝えしますが、私は何もしていませんよ?」


「もちろんわかってるさ。それじゃあせっかくのご厚意だし皆で遺跡の中を案内してもらおう。撮影は・・・」


「悪いが公表していないものもあるから控えてくれ」


「了解」


まだ世界非公開の遺跡惑星内部、そこは仕方ないだろう。


もっともアリスとテネスが同期バックアップをとっていた場合はその限りではないが、そこは俺にもわからないからなぁ。


とまぁそんな感じで停止した発掘装置の横を通り抜け、更なる遺跡内部へと足を進めた。


金属製の通路は長い年月が経った今も錆びる事なく当時の美しさを維持しているのだとか。


一説によれば自己修復を行なっているという話も出ているらしいけど、これだけの規模を行うには膨大なエネルギーを必要とするだけにそれは難しいのではないか、というのが今の結論らしい。


奥に行くと小部屋がいくつも並んでいた、隊長曰くこの辺りは住民の居住区らしく、生活用品や雑貨などが大量に発掘されているそうだ。


それらは簡易的な調査が行われた後コロニーへ運ばれ遺跡物として売買される。


その売上金はコロニー運営を通じて調査団に支払われ・・・という流れで運用されていると教えてもらった。


これだけの人間がいれば支払う人件費も相当のはず、自分達の収入に直結するんだからそりゃ一生懸命働くだろう。


いや、この調査が遺跡の謎を解明するかもしれない、そんな夢を追いかけているだけかもしれないが。


「とまぁ、今の調査ではこの辺りは居住区で惑星内の別の場所で何かを製造していたのではないかという推論がなされている」


「その根拠は?」


「遺跡物の中のゴミ捨て場らしき場所に工業用品と思しき廃棄物が混ざっているからだ。生活するだけであれだけのゴミはでないだろう。基本的に彼らも我々と同じ合成機のようなもので資源をリサイクルしていたのは間違いない。にも関わらず廃棄していたということはそれに適さない何かを作っていたと考えるべきだ」


「そしてその説を裏付ける発見がこの間あったわけですね」


「そう、隠し部屋にあったヒューマノイド。あれこそがこの惑星で作られていたと我々は睨んでいる」


ふむ、流石調査隊隊長中々悪くない考えだ。


もちろん俺達も明確な答えは手に入れていないけれども、あの報告書で彼女達が眠っていたことを考えると可能性は十分にある。


もっとも、それがどこかという所までは確認できていないそうだ。


「どこに隠し部屋があったとか見せてもらえるのか?」


「まだ外部には公表していないから一般には解放していないんだが・・・ほかでもない君達なら特別にいいだろう、こっちだ」


「無理を言って悪いな」


「まぁ中はもう空っぽだから見るだけなら問題ない」


果たして例のヒューマノイドはどんな場所で見つかったんだろうか、案内されたのは長い通路を抜けた先。


先程のような小部屋の横に崩れた壁が見える。


「ここがヒューマノイドの見つかった場所だ。先ほどの居住区と同じ作りの部屋だったのだが、明らかに部屋数が少なくて違和感を感じていたんだが、スキャンをすると空洞があることがわかってな。それで壁を抜いた所この部屋が見つかったというわけだ」


「ここにヒューマノイドが?」


「あぁ、電源は落とされていたものの完全体で見つかっている。その壁に寄りかかるように座っていたんだ」


「部屋・・・なんでしょうか」


「棚も何もありませんね」


「私もそれは疑問なんだが、急いで隠したという可能性もなくはない。元々ここは緊急避難用で、何かしらの方法で開放するのかもしれないが、残念ながらそれは分からなかった」


ヒューマノイドが見つかったという部屋はがらんとしており、例の小部屋のようにポッドが並んでいるという感じは一切ない。


どちらかと言うと物置、もしくは反省部屋?


なんにせよ何かをさせるためという部屋ではなさそうだ。


「ほかに同じような反応はあるのですか?」


「今の所この部屋のような空洞は確認できていない。一部スキャンできないような場所はあるが、元々遺跡内の壁はスキャンを受け付けないようになっているから致し方ないだろう。そういった場所をいくつも壊してきたが一切そういった痕跡は見つかっていない。そんな中、今回空洞が見つかったことで、今後は似たような方法で探索と続けるつもりでいる」


「なるほどな、その第一号っていうわけだ」


「この仮説が他の遺跡でも証明されれば発掘の基本が大きく変わる大発見という事になる。それもあって今回の休暇は非常に素晴らしい物になる、はずだったんだが、先ほどのような感じで困っていたんだ。おかげでいい休暇を過ごせそうだよ・・・っとすまない、連絡だ」


ピピピと腕時計型の端末から音が鳴り、隊長が少し離れた所で会話を始める。


何を話しているかはわからないけど、まぁアリスが聞き耳を立てている事だろう。


「すまない、帰省手続きに一部漏れがあったらしい。すぐに戻らなければならないんだが・・・」


「もう少しだけ見ていてもかまわないか?大丈夫、何も触るつもりはない」


「ふむ、撮影さえしなければ特に問題はない。ただし30分後には戻ってきてくれよ、皆早く一杯やりたくて仕方ないようだ」


「了解した」


仲間のフォローだけでなく事務仕事までしないといけないんだから、上に立つってのは大変だなぁ。


なんてことを考えながら隊長が離れたのを確認し、アリスに目配せをする。


「スキャンを実行、例の通路と同じような場所を探します」


「私は反対側をするからアンタはそっちをよろしく」


即座にアリスとテネスが通路のスキャンを開始する。


「あの、どうしたんですか?」


「せっかくここまで来たんだから俺達は俺達で調べさせてもらおうと思ってな。俺の予想だと、この小部屋はブラフ。わざと発見させて他の場所を隠すつもりなんだろう」


「あー、だからこんなガランとした部屋なんやね。これじゃまるでお仕置きした時に押し込められるような場所やもんなぁ」


中を覗き込んだミニマさんが眉間にしわを寄せて嫌そうに首を振る。


あくまでも俺の勝手な想像だがさっきの通路を見つけた感じと比べると明らかに不自然、それならばこっちにも似たような場所があってもおかしくはない。


「スキャン禁止エリアを発見、どうしますか?」


「キーワードは『ただいま』だ」


「了解しました。ただいま」


予想通りスキャン禁止エリアを通路の真ん中に発見、全員が集合しアリスが意を決したように発言した次の瞬間。


プシュ!という音と共に壁がスライドし、真っ黒い通路が姿を現したのだった。

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