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35歳バツイチオッサン、アーティファクト(美少女)と共に宇宙(ソラ)を放浪する   作者: エルリア


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249.遺跡の中を見て回って

とりあえずアリスとミニマさんを追って茶色く霞んだ遺跡の中を進むと、突然真っ白い仮設の建物が見えてきた。


ボックス式の設置型住居、それをいくつも繋げて事務所にしているようだ。


遺跡内部に突然現れた人工物、いや遺跡自体も人工物なんだけどこっちはある意味なじんでいるというか違和感がないんだが、こっちはバリバリ違和感があるなぁ。


周りには複雑な模様が描かれた茶色い床と塀、上を見上げれば茶色く霞んだ大気の向こうに星とコロニーが見える。


これが遺跡惑星、もっと綺麗な所もあるらしいけどこういう感じの方がそれっぽいよなぁ。


勝手に入るのもあれなので建物の外で待っていると、ヘルメットをかぶったミニマさんが先程の男性と一緒に出てきた。


えーっと、ゴドウィンさんだっけか。


「どこに行くんだ?」


「設計図が手に入ったからちょっと見に行ってくるだけや。まぁ役に立つかはわからんけど・・・何とかなるやろ」


「アリスは?」


「事務所内で調べものしてるみたいやで」


どうせろくでもないことをしているんだろうけど、下手な事を言って事を荒立てたくないので静かにしておくか。


「了解。悪いが俺達は中で待たせてもらってもいいか?それか、折角だし遺跡の中を見て回りたいんだが」


「それならここからまっすぐに言って左の通路に進むと言い。あそこは観光向けにも開放してる調査済みのエリアだ、特に壊れるようなものもないし好きに見るといい。もし何かあったら適当に持って行っていいぞ」


「そりゃありがたい」


「ほなちょっと頑張ってくるわ」


「私も一緒に行きます!」


「イブさんがいれば百人力だろう、しっかりな」


イブさんが一緒に行くと言った瞬間目を輝かせるミニマさん。


まぁ、やる気があるのはいいことだ。


その間に俺達は調査隊隊長のお墨付きももらったのでありがたく見させてもらうとしよう。


一応事務所にも顔を出すと、なにやらアリスが他の職員と楽しそうに話をしていた。


てっきり資料を漁っているのかと思ったらどうやらそういうわけではないらしい。


「ゴドウィンさんから通路左の調査済みエリアを見ていいって言われたからちょっと行ってくる。ローラさんはどうする?」


「私も一緒に行きます」


「ってことだからテネスと三人で見てくる、後はよろしく」


「かしこまりました」


おそらく事務所の職員を足止め?するつもりなんだろう。


それ以外の職員は向こうで修理につきっきり、ということは今がチャンスだ。


急ぎソルアレスに戻って例のヒューマノイドを連れて遺跡の中へ。


最初はボーっとした感じだったのだが、遺跡に入るなり見る見るうちに表情が変わっていく。


「見覚えはあるか?」


「ここ・・・見たことある」


「見た事?来たことじゃなくて?」


「わからない、でも知ってる。この先に曲がり角があって、その先に不思議な模様の壁がある」


いつもはこんなに話すことは無いのに、フラフラした足取りからシャキシャキとした感じに変わっていく。


セリオス・ステーションにいた時は自分でプログラムを変更したからか違和感のある動き方をしていたけれど、今は別人かというぐらいだ。


彼女に誘導されるがまま遺跡内を移動、左に曲がってしばらく行くと彼女の言うように不思議な模様の壁が見えてきた。


「本当に壁があります」


「この先は?」


「この先は・・・いくつか小部屋があってその中に私達の家がある」


「家?」


「そう、帰る場所。やっと、やっと家に帰れる」


隊長の話じゃ観光用にもなっている調査済みのエリアだという話だったが、どういう事だろうか。


よくわからないがとりあえず彼女の好きなようにさせておこう。


先を行く彼女の後ろを追いかけるように遺跡の奥へ、不思議な模様の壁沿いに通路を移動すると広い空間に到着。


その先にはいくつか小部屋につながっているようで、それぞれに説明文が張り出されている。


「観光用の資料によるとこの先はどれも行き止まりってことになってるみたいよ」


「だが休憩所があるんだろ?」


「昔はそうだったんじゃない?」


「スキャンはできないんですか?」


「んー、資料を見る限りそれも試したみたいだけど特に怪しい反応はなかったみたいね。あれ?違う、スキャンしてみたけど不思議な反応が返って来て正しく測定できなかった場所もあるみたい。破壊することも出来なくてそのまま放置されたって補足されてるわ」


「それはどこに?」


「正面向かって左、あの子のいる場所」


テネスが指をさした先にあのヒューマノイドが向かっている。


慌ててその後ろを追いかけると、何の変哲もない壁の前で止まってしまった。


「ここなのか?」


「そう、ここ」


「ただの壁だぞ?」


「合言葉を言わないと開かないの。この場所は大事な場所、バレたら大変なことになる」


誰にバレたら大変なことになるかはわからないけれど、とりあえず俺達が一緒にいる分には問題ないようだ。


とはいえ合言葉なんてわからないし、彼女もそこで立ち止まったまま何も言わない。


どうしたもんかと思っていると、後ろから足音が聞こえてきた。


「やば、誰か来たぞ!」


「どうしますか?」


「とりあえず俺が時間を稼いで・・・」


俺達だけならともかく彼女が一緒はまずい。


いや、もしかしたらごまかせるかもしれないけれど三人っていう話だったのでこの先を考えても下手な事をするのはよくないだろう。


「何か思い出せないの!?」


「家に帰りたいのに、こういう時何を言えばいいかわからない」


「わからないって、そんなの決まってるだろ、『ただいま』だ」


「ただいま?」


家に帰ってきて言う言葉は一つしかない。


ただいまと言えばお帰りと帰ってくるもの、まぁ家に誰もいないとわかっていてもついつい言ってしまう物だが、これは大昔昔からの定番だろう。


俺の言葉には反応しなかったのに彼女の言葉には反応するようで、シュイン!という音を立てて何の変哲もない壁に光の線が走る。


そして光の筋が少しだけ奥に沈み、スライドするように壁が開いた。


「今だ!」


とりあえず今は中に入ることが先決、なだれ込むように壁の向こうに移動すると背中側で扉が閉まるのがわかった。


真っ暗になったかと思ったら、すぐに奥の方に明かりがともる。


どうやら彼女の言う家とやらに入ることが出来たらしい。


「これ、世紀の大発見なんじゃないですか?」


「どうだろう、似たようなものは見つかってるんじゃなかったか?」


「オークションで売買されていたヒューマノイドも隠し部屋から見つかったって話だったわね。もしかしてこういう部屋が他にもあるのかも」


壁の向こうからアリスの声が聞こえてくるので、テネスに目配せをして状況を連絡しておいてもらう。


スキャンは通らなくても連絡ぐらいはできるだろう、と思っていたのだがどうもそういうわけではなさそうだ。


完全に電波も遮断され外と連絡がつかない状態というのは実は初めてかもしれない。


「どうしますか?」


「なんにせよ奥に進もう、見つけたものは持ち帰ってもいいって話だったし、何か面白い物があるかもしれない」


「こんな状況なのに随分と余裕ね」


「余裕っていうか楽しみな感覚が強いな。ここは彼女達の家みたいだし、入れたってことは出る事も出来るはずだ。仮に帰るとしてもとりあえず奥まで進んでからでも遅くはないだろ」


アリスの事だから何かあったかはある程度推測するだろう。


それよりも今はローラさんの言う世紀の大発見を見守るほうが大切だ。


遺跡の中で見つけた隠し部屋、果たしてこの先には何があるのだろうか。

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