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35歳バツイチオッサン、アーティファクト(美少女)と共に宇宙(ソラ)を放浪する   作者: エルリア


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228.次の目標を定めて

「という事で、次はそっちに行ってみたいんだが構わないか?」


「良いんじゃないですか?」


「ですね、別に急ぐ旅でもありませんし」


「私はお姉様と一緒ならどこでもいいです」


歓迎会の翌日、次はどこに行こうかという話になった時昨日の話を素直に打ち明けた。


まぁ母親の件は流石に女々しいので必要以上には言わなかったけれど、なんとなく察してくれたのだろう。


しかしまさかこんなにすんなり受け入れられるとは。


「即答だな」


「アンタがキャプテンなんだから当然じゃない。クルーはそれに従うまでよ」


「それがどうかと思ったから聞いたんだが?」


「つまりその結果がコレという事です。ローラ様が仰いましたように急ぐ旅でもありません、寄り道するだけの時間も稼ぐあてもたっぷりあります」


「ん?稼ぐあて?」


今回の目的はあくまでも調査、いつも何かしら稼ぎがあるのに今回はそれが無い分申し訳なくて先にお伺いを立てたわけだが、遺跡発掘現場に行ってどうやって稼ぐというのだろうか。


「遺跡発掘と言いましてもこれから向かいます場所はコロニーを有するほどの巨大遺跡、そこには一獲千金を狙った多くのギャンブラーが集まり、そんな彼らを満たすための人や物が集まっています。つまり、そこには物を運ぶという仕事もアリ、なんでしたらその荷を狙う宙賊もいるわけです」


「つまり今まで通りってことか」


「ご理解いただけて何よりです。むしろ今まで以上に稼げる可能性もありますよ」


「それはどっちの意味でだ?輸送の方か?それとも傭兵か?」


「そのどちら持っていう可能性もあるわね。あそこは一般宙域の中でもかなり危険な場所だから、もちろん同じようなことを考えている傭兵もたくさんいるけど、私達がいれば何の問題もないでしょ?」


テネスの言葉に改めてメンバーを確認する。


狙撃をするイブさん、操縦するローラさん、戦闘用ドローンを操るテネス、そしてハッキングするアリス。


そしてミニマさんはノクティルカで荷物の管理をして俺はその補佐。


戦闘面で言えばかなりの物だし、輸送能力としても囮としてもノクティルカのポテンシャルは計り知れない。


つまり問題ないという事だ。


てっきり稼ぎもなければ何も面白いこともない場所なのかと思っていたのだが、アリスの話を聞けば納得だ。


そりゃそうだよな、人が集まれば物が集まり、物が集まれば金が集まる。


そしてその金を狙って宙賊がやってくると。


なんだ、いつも通りじゃないか。


「それじゃあ次の目的地はそこで決定という事で。この後はどうすればいい?」


「そうですね・・・向こうで高く売れそうな物を探しますので二時間程お時間を頂戴出来ますでしょうか。その後各社から買い付けを行いノクティルカへ搬入します。ミニマ様はその準備を、イブ様はそのお手伝いをお願いします」


「任せて!」


「ローラさんは一緒に日用品の買い出しにきてもらってもいい?私一人でもいいんだけど、ヒューマノイド一人で歩いていると色々言われちゃうから」


「もちろんです」


「じゃあ俺は・・・」


「マスターは留守番をお願いします。買い付けが決まりましたら忙しくなりますので、その対応をお願いします」


「・・・ういっす」


皆が自分の仕事をしているというのに俺は一人で留守番らしい。


いや、正確に言えばアリスがいるので一人ではないけれど、彼女は彼女で忙しいので話しかけても返事は無いんだよなぁ。


まぁ二時間もすれば忙しくなるのでそれまで大人しくしておこう。


船を離れる四人を見送り、俺は黙々と次のコロニーについての資料を読み漁る。


「セリオス・ステーションか。大きさはそんなにないのに寄港する船の量が半端ないな。ある意味ここに来れば世界中の物が手に入る、なるほどそれ目当ての人も集まっているのか」


遺跡調査コロニーなんて言うから、もっとこう頭の固い連中が集まっている辛気臭い場所という勝手な考えがあったけれども、実際は非常に活気にあふれて人も物も山のように動いている場所のようだ。


もちろん本業は遺跡発掘なのでそれらしいものが出た時はそれはもうお祭り騒ぎになるらしいけど、最近はそれもなく少し静かなんだとか。


まぁ、そんなポンポン見つかるようなものでもないしそもそもそこで母親が見つかったわけでもない。


あくまでも遺跡とはどういう物かを確認したいだけ、それが終わればさっさと目的の辺境コロニーへと向かうつもりだ。


あー、でもそれなりに仕事があって儲かるのならそこでもう少し懐を温かくするという手もあるな。


二億あるときけばすごい!と言われるかもしれないけれど、アースフォージで動いている金を考えるとまだまだ少なめだし、惑星を買うとなればこの倍は欲しい所だ。


もちろん次のコロニーでそれだけ稼げるとは思っていないけれども、何事も地道にコツコツとってね。


「ん?」


と、その時だ。


ソルアレスの入り口に誰かが近づいているアラームが鳴った。


急ぎメインモニターを確認すると、そこにいたのはキャサリンさんとハムネット社長。


あの二人が何でわざわざここに?


慌てて入口へと向かいハッチを開放する。


「突然の来訪申し訳ない。近々君達が離れると聞いてね挨拶だけと思って来たんだ」


「忙しいのにわざわざ悪いな」


「今回の件で社長はしばらく身動きが取れなくなりそうでしたので。重ね重ねこのたびはご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした」


「もう謝らないでくれ、その件はもう手打ちになったし他の所で便宜を図ってもらった。それで、例のドローンはどんな調子だ?」


「おかげさまで別の販路が見つかったと従業員は大喜びだよ。我々の強みは多種多様な環境に順応できるという事、それはテラフォーミングだけでなく商売の上でもという事を君たちに教えられた気分だ」


「そこまで言ってくれるのなら、インセンティブをくれてもいいんだぞ?」


宙賊との戦闘で大活躍したテラフォーミング用大型ドローン。


まぁ大型と言えどテラフォーミング用の機材の中では小さい方なんだけど、それを使って物資の回収を行ったデモンストレーションがどうやらいい宣伝になったようだ。


彼らには1億ヴェイルという賠償金を払ってもらわないといけないからな、この先のテラフォーミングも含め企業としてしっかり残ってもらわないと困るからな。


「それなんだが・・・よかったら貸し出している奴はそのまま持って行ってもらえないか?」


「いいのか?」


「もちろんだとも。機体にはわが社のロゴがしっかり入っているからね、他所で宣伝してくれると助かる」


「なんだそんなことか。でもまぁ、ありがたい申し出だし喜んで使わせてもらおう」


「君たちのような人と取引が出来て本当によかったよ。ここを離れてもどうか元気で」


「あぁ、お互いに」


社長と固い握手を交わし話は終了。


レンタルだったので搬入とかが終わったら返すつもりだったのだが、まさか無償で提供してもらえるとはなぁ。


一応向こうとしての思惑はあるみたいだけど、こちらにはメリットしかないので何も言うまい。


ハッチを閉じてコックピットへと戻ると、アリスが不思議そうな顔でこちらを見てくる。


なんでそんな顔してるんだ?


「どうした?」


「お詫びと言いながらの宣伝ですか、あの社長も中々策士ですね」


「マイクで会話は拾ってただろ?ただで貰ったんだからとことん使ってやろうぜ」


「まぁマスターがそれでいいのなら何も言いません」


「それで、進捗は?」


「ノクティルカの容積半分の物資を買付けましたが、それ以上はあまり儲からないのでやめておきました。代わりに二つ先のコロニーでお酒を安く仕入れられるようです、そこで追加を補充します」


「了解、あとは準備をするだけだな」


わざわざ高い買い物をする必要はない、ここで埋まらないのなら別の場所で仕入れをすればいいだけの事。


かくして、アースフォージでの滞在は終え新しい目標に向かって宇宙(そら)へと旅立つのだった。

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