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35歳バツイチオッサン、アーティファクト(美少女)と共に宇宙(ソラ)を放浪する   作者: エルリア


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223.本来のゴミを片付けて

大量の大型デブリをノクティルカに満載にしてリサイクルコロニーへ持ち込んだわけだが、買取金額は正直あまり良くなかった。


それとは別にコロニーから依頼料が出ているのでそれを合わせれば並ぐらい、じゃあなんでこんな依頼を受けたんだっていう話になるんだけど、どうやらカラクリがあるらしい。


「なるほど、ハムレット社長からの依頼だったのか」


「ドローンの宣伝になるから是非やってほしいとのことでしたので引き受けました。デブリ問題は長年の課題ですし、テラフォーミング専用としてだけではなかなか売上が伸びませんので、耐久性の高い汎用ドローンとして売り出したいようです。因みにマスターが動かしている姿はもれなく広告として採用されましたのでご報告いたします」


「出演料は?」


「ドローンのレンタル代で相殺です」


「相変わらずの事後承諾はまぁいいとして俺なんかで売れるのか?」


もっとイケメンとか使ったほうが見栄え的にもいいと思うんだが、っていうかいつの間に撮影したんだろうか。


こっちはヘッドセットをかぶっているので気付けないわけだが、せめて一言欲しいよなぁ。


「っていうか事後承諾でいいんだ」


「今更だろ?」


「それはまぁそうなんだけど、アンタも随分慣れてきたわね」


「こんなことでいちいち腹を立ててたらキリがない。こちとら性癖までオープンにされてるんだ、今更ドローンを動かしている姿ぐらい・・・待て、一度確認はできるんだよな?」


「申し訳ありませんが先方提出済みです。加工された物が後日送られて来ますのでそれまでお待ちください」


「マジか」


「マジです」


送る約束が事後承諾なのはいいとして事前に見せるぐらいはして欲しいんだがなぁ。


全く困ったもんだ。


「なら、追加条件として中古のドローンを一機回してもらえるように伝えてくれ」


「畏まりました」


「とりあえずこのままコロニーに戻るとして、本命の作戦はどうするんだ?」


「前回と同様ノクティルカを囮にしておびき寄せます。ただし、今回は数が多いのである程度数を減らしたらノクティルカには後退してもらい、代わりに複数のバトルシップを遠隔ハッキングして戦力にしようかと」


「相変わらずのやることがえぐい」


相手もいきなり船を乗っ取られて味方を攻撃し、さらには突貫させられるとは微塵も思っていないだろう。


普通なら考えつかないような作戦だが、宙賊の事を宇宙ゴミ以下としか思っていない彼女たちからすれば使える武器をなぜ使わないのか、そういう感じなんだろうなぁ。


「前回と違って母艦に注力しなくていいので余力があります。もちろん戦場で見つけた上等な機体は持ち帰るつもりです、マスターにもお手伝いいただきますのでご期待ください」


「それはまぁいいんだが、それだけでいいのか?」


「と言いますと?」


「あれだけ動かせるなら今度は戦闘用ドローンを使ってみるとか、そういうのも・・・」


「ダメです」


間髪を入れずアリスの返事が返って来た。


その声はいつも以上に冷たく表情はいつも以上に固い。


普段は厳しいながらもどこか柔らかい雰囲気があるものだが、今回はそういうのを一切感じなかった


「即答か」


「マスターの役目はあくまでも搬入作業のみ、戦闘用ドローンは使い勝手がまた違いますので」


「手伝いたい気持ちもわかるけど、世の中には適材適所っていう言葉もあるんだから諦めなさい」


「へいへい」


「それに今回はローラ様がノクティルカの操縦に行ってしまいますのでいつものような派手な動きが出来ません、そこに加えてマスターの補助までとなると我々も手が回らないのです。因みに戦闘用ドローンといっても値段はピンキリ、同じような操作性能を求めるとして一機300万ヴェイル程の機体でしたらマスターでも扱えるかもしれませんが、一撃もらうだけで壊れますよ?」


「私のボディはソルアレスと同じように強化されているけど、普通のドローンはそうじゃないからそこは誤解しないでよね」


「ワンミス300万か・・・じゃあパスだな」


もっと安いドローンもあるんだろうけど、テネブリスのように使うとなるとかなりの金額になってしまうらしい。


それでも所詮はドローン、装甲がしっかりしているわけでもなくシールドが積んであるわけでもなければ、俺なんかの操縦じゃ直ぐに落とされるのは目に見えている。


いつもふんぞり返っているだけなので何か手伝えないかと思ったんだが、残念ながらそんな甘いものではないようだ。


「それに・・・」


「ん?」


「マスターが人殺しをしようものなら悩みに悩んで三日ぐらい使えなくなりそうなので却下です」


「あ、そうか、そうだよな」


「ゲーム感覚で楽しむ人もいるけどアンタはそうじゃないでしょ?無駄に繊細で真面目なんだから」


無駄というのは余計だが、そうか人殺しか。


なんだろう、宙賊は殺していいという感覚でいたので最近はなんとも思っていなかったが、指示を出すのと自分の手を汚すのは訳が違う。


さっきまではなんとも思っていなかったが、冷静になって考えてみるとそうなんだよなぁ。


後で気づいてショックを受けるぐらいなら、今気づいてよかったと思うべきだろう。


そこを見越してのあの即答、さすがアリスというべきだろうか。


「ありがとう」


「礼には及びません、マスターを補佐するのが私の仕事です」


「ちょっと私も忘れないでよね」


「テネスもありがとな」


「わかればいいのよ。ともかくそういうことは私たちに任せといて、アンタはそこでふんぞり返ってなさい。本来キャプテンってのはそういうものよ?」


「それができれば苦労しないんだがなぁ」


何かしていないと気が済まないタイプなので自分だけ何もしないっていうのは居心地が悪い。


かと言って何かできるのかと聞かれたらそういうわけでもなく、だからこそ戦闘用ドローンで何かできればと思ったんだが、現実はそう甘くないようだ。


下手に手を出して300万ヴェイルを吹き飛ばすだけでなく、メンタルまでやられてしまったら何の意味もない。


凡人は凡人らしく何もしない、それが一番なんだろうなぁ。


幸い戦闘後に出来る事が増えたので、そこで満足しておこう。


「ともかく、作戦はさっきの通り。通信を傍受した感じだと明後日に三分の一が狩りという名の遠征に出かけて留守みたいだからその隙に本体を潰すわよ」


「もちろん救援を聞いて引き返してくると思いますが一時的にでも数が減れば戦いやすくなります。この機を逃すとしばらく滞在することになりますので、慌ただしくなりますがお許しください」


「それが最善だと判断したのなら文句はない。もちろんイブさんたちに聞いてからの話ではあるが・・・」


「そちらにはもう伝達済みです」


「俺が最後なのか」


「ちゃんとキャプテンとして決定権を持たせてあげてるんじゃない」


「それは決定権って言わないんだよ。拒否したところで状況は悪くなるだけなんだ、やるしかないだろ」


なんだろう持ち上げられているのか蔑ろにされているのかよくわからなくなって来たが、ともかく突入時期は確定した。


後はそれに向かって粛々と準備をするだけだ。


いよいよ本命宙賊退治、さくっと稼がせてもらいましょうか。

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