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35歳バツイチオッサン、アーティファクト(美少女)と共に宇宙(ソラ)を放浪する   作者: エルリア


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188/260

188.つかの間の休暇を楽しんで

「あー楽しかった!」


あっちへうろうろこっちへうろうろ、行くところのマシーンというマシーンをことごとく攻略しなんなら不正を疑われても素知らぬ顔で遊び続けるナディア中佐・・・もといナディアさん。


予想通りしただけでは物足りないと上の階へと案内され無事にイブさん達と合流を果たした。


ここでは機械のような偶然は存在しないカードやルーレットという運と実力がぶつかり合う危険な場所・・・のはずだったんだが、あれよあれよと勝ち続けてしまいあっという間に軍資金が膨らんでいく。


流石の支配人も茫然自失、そりゃそうだろうアリスという強いお守りをつけたイブさんとローラさんが暴れまわっていたと思ったら、そこに新たな暴風が直撃したわけだ。


もちろんここからは俺も参戦、まぁ俺の場合はナディアさんに付き合って似たような感じで遊んでいただけだけども、結果として1000万ヴェイルを超える額を稼ぎ出していた。


因みにテネスは買い付けの方で不在が多くほぼほぼ彼女の実力で稼いだと言ってもいいだろう。


最後は顔面蒼白の支配人に見送られながらぞろぞろとカジノを後にしたのだった。


「そりゃそんだけ勝てば楽しいだろうよ」


「貴方だってそれなりに稼いだじゃない」


「それなりにはな」


マシンの価値も含めれば俺の三倍は稼いでいるんじゃなかろうか。


僅か数時間でそれだけ稼げばそれはもう大騒ぎになりそうなもんだが、少々テンションが高いだけでそこまででもないんだよなぁ。


アリスと出会う前の俺だったら間違いなく気が大きくなってはしゃぎまわっていたであろう額、なんなら他の軍人たちも同じような反応を示すんじゃないだろうか。


でもそれをしないとなると、単純にお金に興味がないかもしくは家がデカいかのどちらかだろう。


後でアリスにでも聞いておくか。


「でもすごいです、あんなに連勝続きで・・・いったいどうやったんですか?」


「別に、ただ出されたカードの種類と枚数を覚えていただけですよ?」


「・・・シャッフルは?」


「機械の音を聞いていればわかるのでは?」


「なぁ、実はヒューマノイドだったとかじゃないよな?」


「私が?そんなに気になるなら確認してみますか?」


挑発的な表情で俺を見つめるナディアさんだが、残念ながらそんなことに反応する俺ではない。


礼儀として彼女の目を見るけれどそのまま肩をすくめて興味がないという意を示す。


どうやらそれが面白くなかったのか、少し上気した頬を膨らませて抗議の意を返してきた。


「皆様お帰りなさいませ」


「おかえり、どうだった?」


「ちゃんと勝ってきましたよ!」


「流石ね、私達の方も終わったからあとは自由時間だけど・・・何するの?」


「もしこの後時間があるならお茶に付き合ってくれませんか?もちろんみんな一緒に」


表向きは別行動をしていたことになっているアリス達と合流、どうしたもんかと思っているとナディアさんから思わぬ提案が出てきた。


別に嫌とかそんなんじゃないけれども彼女の意図がさっぱり読めない。


「別に構わないが、ここだとかなり高くつくぞ?」


「増やした分があるので」


「だってさ、折角のお誘いなんだし破産させるぐらいに喰ってやろうぜ」


「マスター、意気込んでおられるところ大変恐縮ですが一体何を食べられるおつもりで?」


「んーケーキとか?」


「大きいこと言う割にやることが庶民ですよね、貴方」


うるせぇ、庶民で悪かったな。


こちとら35年間庶民のど真ん中を走り続けてきたんだ、いきなりブルジョアな生活をしろと言われても無理がありすぎる。


喰ってやるとは言ったものの3000万ヴェイル分も一体何を食べるんだっていう話になるし、物はともかく食べ物でそれを超えるのは中々に難しい。


それでも生の果物を使ったケーキならワンホール10万ヴェイルはくだらないし、高級香茶なんかも一緒ん飲めばもっと金額は跳ね上がる。


それを人数分となると100万ヴェイルぐらいあっという間にいくんじゃないだろうか。


稼いだ額からすれば微々たるものかもしれないが、お茶をするだけでこれだけ使うとか正直まともな感覚では無理だろう。


そんなこんなでアリスが検索したコロニーで一番高級な喫茶店へと移動、店に入ると一瞬にして香茶の爽やかな香り包まれる。


うーん、場違い。


ナディアさん達はともかく、俺みたいなオッサンが入る店じゃないなここは。


上品な内装に柔らかな雰囲気、宙賊たちが絶対に近づかないそんな雰囲気のお店だった。


「いらっしゃいませ、どうぞ奥へ」


店主らしき上品な女性が俺達を出迎え、そのまま店の奥へと案内してくれる。


もしかしたらアリスが遠隔で予約したのかもしれないけれど、名前を確認することもなく店の一番奥へと通された。


それなりに広い個室、天然の木を使った大きめの丸テーブルには上品な模様な施されており、その上に乗る食器もまたかなり高級な感じ。


しばらくすると注文もしていないのに香茶と美味しそうなケーキが運ばれて来た。


「うーん良い香り、これを嗅いで仕事出来たら最高でしょうね」


「わかります。幸せな気持ちになりますよね」


「別に船に乗ることが嫌いっていうわけじゃないけれど、こういう嗜好品に触れる機会が少ないんです。もっと気軽に楽しめたらいいのに」


「流石に船長が率先してっていうわけにもいかないんじゃないか?」


「そうでしょうか。上がそういう事に寛容であれば下は安心して仕事が出来ます。もちろん規律は大事ですがガチガチに固めすぎるのはいい組織とは言えません」


「うーむ、それを言われると何とも言えない」


「まぁまぁ折角のオフに仕事の話は無しにしましょう。よくよく考えればこうやってゆっくり話をすることはありませんでしたね」


普通に考えて宇宙軍の偉いさんとこうやって話をすることなどまずありえないことだ。


過去に色々あったとはいえ一般人からすればまず接点のない相手、そんなひ人とカジノで遊び、なんならこうやって話をしてお茶を飲んでいるとか清掃業をしていたことには考えられなかった状況だよなぁ。


「そういえばそうですね」


「折角こうやって再会したんですから皆さんの事をいろいろと教えてください」


「という事はナディア様の事も教えてくださると?」


「貴女はもう色々と知っているのでは?」


「さぁ、それはどうでしょう。知っていたとしてもそれは些細な事、本当の事はご本人から聞くからこそ価値があるんです。ね、マスター?」


「そこで俺に振るなよ」


確かに気にはなるけれどそれを強制する必要はないわけで。


そもそも彼女について調べろと言ったのは俺じゃないし、すべてはアリスが勝手にやったことだ。


別に俺は悪くない。


「聞きたくないんですか?」


「聞きたくないというか、逆にそっちから聞きたいことを聞いてもらった方が俺達も色々聞きやすいかもな。ギブアンドテイクじゃないけど、美味しい物を食べながら話せば自然と話も弾むだろ」


「それれもそうですね。それでは遠慮なく聞きますが・・・」


目の前のケーキにフォークを刺し、口に運ぶナディアさん。


なんとも美味しそうに食べるもんだ、そんなことを思いながら俺もケーキを小さく切って口に運ぼうとしたその時だ。


「カイロスは今どこに?」


鋭い目つきで俺を睨むナディアさんの視線を浴び、思わず手が止まってしまった。

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― 新着の感想 ―
「カイロスは今どこに?」 やっぱそれ聞いちゃうか〜まぁそうだよねぇw
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