62話 いざ出陣!
ナナとエルネストの会食が行われた。
ダンスができるほど広い部屋。
たくさんの美術品が飾られているものの、ちょっとキラキラしすぎというかゴチャっとしているというか……
主の品性が現れているかのよう。
床に敷かれている絨毯なんていい見本。
これでもかというくらい金の刺繍が入っていて、目が痛いくらい。
もてなしをする部屋に置くべきじゃない、っていうのは、学のない俺でもわかる。
それでもこんな部屋にしてしまうところに、エルネストの性格が出ているような気がした。
「いやー、今日は実にめでたい日ですな。まさか、ナナ嬢を我が屋敷に招くことができるとは。実に素晴らしい!」
「えっと、その……ありがとうございます」
テーブルを挟んで食事をするナナとエルネスト。
そんな二人を離れたところで見守る、執事姿の俺とメイド姿のシオン。
同じく離れたところにエルネストに仕える執事とメイドの姿もあった。
あちらは俺達と違い、二人の給仕をしている。
俺達はナナのために後方で控えている、というだけ。
慣れた者が一緒にいた方がいいだろう、というエルネストの配慮。
でも、それは表向き。
このような配慮ができる俺は素晴らしい、というエルネストの見栄だろう。
うーん……
知れば知るほど酷い人というのがわかる。
「……ご主人様」
隣に並ぶシオンが俺にだけ聞こえる声で言う。
「……絶対にナナさんを守りましょう」
「……だね」
あんな男にナナを好きにさせるわけにはいかない。
逆にやる気が出てきた。
「今日はナナ嬢のためにとっておきの食材を仕入れたのですが、いかがですかな? 私が言うのもなんですが、我が家のシェフは一流でしてな。王都の上流階級の者しか入店を許されないレストランで働いていたのですが、ぜひ私のところで、という熱烈なアプローチを受けましてね。そのような縁で、今は彼に厨房を任せているのですよ」
シェフを褒めているはずが、いつの間にか自分を褒める話に。
うーん。
これがこの人のデフォルトなんだろうか?
普通の話、なんだろうか?
ますます、うわー、という感覚が強くなってきた。
話を聞くナナも大変そうだ。
笑顔が引きつりそうになっている。
それでもがんばってにこにこ笑顔を浮かべて、楽しそうに話を聞いている。
すごい。
そこから感じられるのは、負けない、という想いの強さ。
この問題に決着をつける。
俺達に迷惑をかけられないと、そう考えている様子。
その心の強さはいいんだけど……
でも、俺達を頼ってもいい。
迷惑なんてことはないから、全力で甘えてほしい。
出会ったばかりだけど。
でも、ナナのことは妹のように思っている。
きっとシオンも同じ。
だから、俺達は……全力で挑む。
――――――――――
一応、会食は順調に進んで。
エルネストが長々と自慢話をして。
ナナが、必死に笑顔を浮かべつつ相槌を打って。
時に大げさに驚いたり感嘆してみせて、エルネストのご機嫌を取る。
持ち上げられているとも気付かないで、エルネストは上機嫌だ。
それと同時に、ナナに向ける視線がどんどん……うん。
とても悪いものになっていく。
自分に好意があるに違いない。
故に、なにをしても問題ない。
……そんなふざけたことを考えている様子だった。
新作を始めました。
今度の主人公は、前世で国を守って死んだ最強の黒騎士。
ただし、転生後の姿は天使のような幼女王女です。
赤子の頃から魔力を鍛え、一歳で魔法書を読み、三歳で剣を握ろうとして、侍女と騎士団を大混乱させます。
「中身おっさん騎士な幼女王女が、真面目に国を守ろうとして周囲から女神扱いされる話」が好きそうな方は、下のランキングタグから読んでいただけると嬉しいです。




