61話 緊急対策会議
「食事の準備が整うまで、こちらでお待ちください」
執事に客間に案内された。
広い部屋だ。
細かな細工が施された調度品もある。
こう言うと失礼かもだけど……
エルネストの屋敷にしては品がいい。
彼は女性問題を抱えているものの、その他はわりと普通の貴族なのかもしれない。
まあ、どれだけ優れた貴族だとしても、ナナを狙っている時点でマイナス100万点でアウトしかないのだけど。
「なにかありましたら、そちらの鈴を鳴らしてください。では、失礼いたします」
執事は綺麗な礼をして部屋を出ていった。
俺達三人だけになって……
「はぅううううう……」
ナナはとても大きなため息をこぼして、床に座り込んでしまう。
「ナナさん!」
シオンが慌てて駆け寄り、ナナを支えた。
「大丈夫ですか?」
「は、はい……すみません。なんだか、急に力が抜けてしまって……」
「無理もありません。あのような男と対峙して……」
珍しくシオンの声が厳しい感じだ。
やっぱり、同性だからエルネストに対する評価が厳しくなるのかな?
男の俺でさえ、あれはないな、って思うくらいだし。
「情けないですね……」
「いいえ、そのようなことはありませんよ」
落ち込むナナに、シオンは優しく言う。
「あのような男を相手にするのはとても辛く、苦しいことと思います。しかし、ナナさんは逃げずに立ち向かった……尊敬します」
「……シオンさん……」
「大丈夫です、私達がついています。一緒にがんばりましょう」
「……はいっ!」
すごい。
シオンのおかげで、ナナは元気を取り戻した。
俺だったらこうはいかないだろう。
よし。
俺も負けていられないな!
ナナの手助けができるようにがんばろう。
「ひとまず、敵の懐に潜り込むことができたけど……」
あえてナナがエルネストの元を尋ねる。
そして、エルネストの悪事……あるいは痛いところを突いて。
それをきっかけに交渉して手を引かせる。
まあ、素直に応じるとは思えないから……
場合によっては強硬手段に出るかもしれない。
「ただ……どうするにしても、ナナが鍵になってくるんだよね」
穏便な方法にしろ過激な方法にしろ。
ナナが突破口になるのは間違いない。
逆に、ナナ以外に突破口を開くことはできない。
「ここまで来ておいてなんだけど……大丈夫そう?」
「はい、がんばります」
ナナの手は小さく震えていた。
でも、すぐに答えて。
まっすぐに俺を見て……うん。
怖いという気持ちはある。
でも、それ以上に立ち向かおうとする勇気がある。
なら、ナナは大丈夫だろう。
「じゃあ、改めて詰めの作戦会議といこう」
「はい、ご主人様」
「がんばります!」
こうして俺達は、会食の時間ギリギリまで打ち合わせを重ねた。
新作を始めました。
今度の主人公は、前世で国を守って死んだ最強の黒騎士。
ただし、転生後の姿は天使のような幼女王女です。
赤子の頃から魔力を鍛え、一歳で魔法書を読み、三歳で剣を握ろうとして、侍女と騎士団を大混乱させます。
「中身おっさん騎士な幼女王女が、真面目に国を守ろうとして周囲から女神扱いされる話」が好きそうな方は、下のランキングタグから読んでいただけると嬉しいです。




