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ナマケモノ殿下と決着

「まさか、御伽話の四重結界が使えるとはな」

 俺とテンを殺すつもりで魔法をうたせた脳筋兄は信じられないと言った表情をして、動き出せずにいた。

 同様に周りの兵も、声を発することも出来ず、ただ固まっていた。


 そんな脳筋兄を見てか、カクトを筆頭に脳筋兄の親衛隊だけが、一か八かで突っ込んでくる。

 俺は四重結界をとき、両手で発動した三重結界で親衛隊の相手をする。そしてテンが無尽一刀流を使いカクトを攻撃、スケートにしたように、軌跡の剣を集めて一気に斬り抜くことで、カクトの剣を砕き、そのままダメージを与えた。


 俺とテンの後方から詰め寄ってきていた味方の兵から大歓声があがった。

 

 スケートとカクト、脳筋兄の親衛隊や軍が誇る最強の二枚看板がテンの攻撃で2人とも行動不能になり、頼みの綱の大魔法も俺に防がれた。

 もはや脳筋兄の軍に戦闘を続行するほどの士気は残っていなかった。


「テンセイ、シンセイ、俺の負けだ、降伏する。」

 そう言った脳筋兄の顔は、どこかスッキリしたような表情を浮かべていた。

 

「脳筋兄、声が小さいよ」

「ガイエス兄上、お辛いでしょうが、声を張って軍に聞かせてください。一応、全員を捕縛するまでこちらが戦闘体制を解くことができないです。」

 少しだけ脳筋兄は笑い、大きな声で負けたことを全軍に伝えた。


 これで、数日間に及んだちょっと大きめの兄弟喧嘩ぎ終わった。


 あれ?なにか忘れてる気が


 ---


「ごめんシン、リュートさん、凄く抵抗してたから無傷とは行かなかった」

 レイと合流してみると、そこには片腕を失って足を凍らされたことで動けなくなったリュートの姿があった。


「ガイエス様、申し訳ありません、生き恥を晒してしまいました。」

「いい、気にしないでくれ。時期王の座も、誇りも、兄としての威厳も、全てを失ったんだ。友ぐらいはまだ俺の手元に残っていて欲しい。」

 リュートは念の為両手を縛られた状態の脳筋兄に向かって謝罪を行う。

 レイが簡単に捉えられないほどの抵抗、恐らく捨て身で時間稼ぎを願い出たのだろう、正直テンを助けられたのはギリギリだったし、危なかった。


「リュートさん、スケートさんやカクトさんも無傷ではないですが、死ぬまでは行っていません。どうか復讐等は考えずにこれからを過ごして欲しいです。」

「テンセイ様、もとより私はガイエス様の配下、ガイエス様の指示がなければそのようなことは致しません。」

 そんなリュートに向かってテンが念押しをする。まぁこの人はこういう人だろうから問題はないだろう。


 しかし、これから ね。反乱を起こした脳筋兄とその側近であるリュート、スケート、カクト。

 どういった沙汰がくだされるのやら

 庇うのは簡単だが、この人達がそれを望まないだろうし、他所においても手元においても余るなぁ


 リュートは応急処置をうけそのまま簡易の檻とした馬車に連れられる。


 気づけば周りに人はおらず、レイを除くと椅子に座っているテンと俺、両手を縛られた状態で椅子に座っている脳筋兄だけになっていた。俺はレイに目線を送る、レイは何も言わずに頷きテンと俺と脳筋兄を包むように音を遮断する簡易結界を張ってくれる。


「さて、テン、脳筋兄、とりあえず今は3人だ、これからについて少し話そう。脳筋兄はこれからどうするの?」

 脳筋兄は音が周りに漏れないことを認識したのち、話をしてくれた。


「そうだな、俺はおまえら2人に負けた、こんな手段を用いても負けたんだ。死罪、よくて廃的かな」

「まぁ、そこはなんとかなるよ、どっちかというと、脳筋兄がどうしたいか、かな。さすがにまだ王になるとかいうなら無理だけど、ちゃんとテンの王政に協力してくれるんならこんなに頼りになる人はいないしね」


「そうだな、王になることは諦めてる、おまえらに協力することが許されるならそれも面白いだろう。ただわがままを言わせてもらえば、またあいつらと、リュートやスケート、カクトと一緒にいたいな。」

「うーん、脳筋兄が新しい国を作ろうとした原因の連邦のお姫様はもういいの?」

 お姫様の単語を出した瞬間、脳筋兄の顔が動き、どんどん落ち込んでいく。


「そうだな、もういいってことはない、ずっと好きだったからな。ただこうなってはもう無理だろう、どうしようもない、またあの女に誑かされないとは限らないしな。」

 誑かされるような人じゃないが、まぁ似たようなもんってことだろう。こんなことがあったが、脳筋兄には幸せになって欲しい、それにあの女が必要とは思えない。


「よし、わかったよガイエス兄上」

 俺と脳筋兄の話を黙って聞いていたテンは、何かを決心したように話を続ける。


「ガイエス兄上には一旦城で報告してもらったあと、南東部の前線にいってもらおう、リュートさんやスケートさん、カクトさんも一緒にね。従軍刑ってやつ。武国と帝国を僕が怒らせちゃったからね、前線の維持を頑張って欲しいな。帝国側はまぁ、小兄上が行くでしょ。あと、連邦のお姫様は諦めてね、連邦は潰そう、ロバート様達がいれば余裕でしょ。降伏してくれるなら戦争はいらない、民には罪はないからね。それでこの話はおしまい!どう、シン?」

「いいんじゃない?別に適当で、ただの親子喧嘩、兄弟喧嘩だよ。ただ兄貴は今回の戦いで怪我した人や亡くなった人にはちゃんと報いてね」

 俺とテンの話を聞いた兄貴はむさいおっさんの顔には似合わない涙を流し、あまり綺麗とはいえない顔をさらに汚していた。


「脳筋兄、その顔に泣き顔はキツイよ、あまりにも汚い」

「シン、今日は暴力でやり返されないから酷いね」

「はっはっは、そんなことはないぞテンセイ、シンセイはいつもこんなんだ。」

 泣きながら大笑いした脳筋兄は腕で顔を拭いたあと、こっちをみて続けた。


「俺が本当に生き残るかどうかはわからん、だがもし処刑されなかったら、おまえら2人の王位を全力で応援しよう。どのような形になるかわからんが、俺たちだけはおまえらを裏切らないと約束する。」

「シンじゃないけど、ガイエス兄上は暑苦しいなぁ」

 テンには珍しく嫌な顔をしている


「脳筋兄、テン言われたらお終いだね!!!」

 とりあえず色々あったけど、3人で笑い合うことは出来たかな。


 

---

 

 脳筋兄の軍の捕縛は無事に終わり、テンの軍が率いて城に帰っていった。


 そんな中、俺は馬車をひいて3人娘とゆっくり城に帰っていた。


「城に帰ったらすぐにフォーグラム領に戻ろうか、忘れてたけどユリウスもいるんだった」

 馬車で3人娘に提案するとみんな一様に厳しい顔つきになった。


「シン、私、戦い終わったばっかりなのに、また働かせる、鬼畜」

「レイ、ごめんって、ユリウスのこと忘れてたんだって!」

 

「へぇー、シンさんはこんなにかわいい女の子をあっちこっちに連れ回して遊ぶのが好きなんだー。」

「アキナもごめん、いっぱい魔法撃ってくれたのに、また移動させちゃって」

 

「シン様?私のお兄様のこと忘れてたんですか?あんなんでも一応兄ですよ?」

「クリスもごめん、ほんとにごめんなさい、大丈夫だと思うけど、もしこっちに俺がいることがバレたら暴走するかもしれないんだって」

 

「そんなに嫌なら3人はついてこなくても大丈夫だよ?脳筋兄が降伏したからそっちも降伏しなって言うだけだし」

「「「それはいや(です)」」」


 はぁ、まったく、ユリウスのとこいくのめんどくさいなぁ

 

 

次話、一旦の最終話予定です。

もし続きの声や予定している新作に飽きたら続けます

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