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脳筋兄貴の懐刀

 生まれつき目が悪い俺はすぐに両親に捨てられ、王都の孤児院で育つことになった。


 リュート


 そう呼ばれた俺は5歳の頃、当時王都から孤児院へ視察にきていたガイエス王子対と知り合った。

 俺の目が悪い事がわかると、その王子はすぐに城へ戻り、何日かしたあとにいくつかの眼鏡をもってやってきた。


 その時初めて本当の世界を見た。


「リュート、俺はあんまり頭よくないからさ、お前が俺の代わりに頭良くなって俺を支えてくれ!俺の子分1号だ!」


 ガイエス王子という強烈な光を見た俺は、この方を王とすべく必死に本を読み、多くのことを学んだ。


 そして今、王位継承戦ではなく、反乱という形で王になろうとするガイエス王子を支えている。


 ---


 【反乱開始前日】

「リュート参謀、ガイエス王子は無事に南東部に隣接する武国との停戦交渉を成功させたようです。」

「伝令ありがとう!ではこれよりこちらも作戦を開始する。」

 第一手として、隣接する武国との停戦を結ぶことに成功した。

 これでガイエス様は武国との国境を離れ王都へ向かうことができるようになった。

 

 第二手として、明日にはフォーグラム家を乗っ取ったユリウス様が反乱を宣言するだろう。

 王都が目と鼻の先にあるフォーグラム家の反乱宣言は大きなインパクトを呼ぶ、そして逆賊を討つという名目でガイエス様は南東部から兵を集め、万を超える軍勢で王都を向かうことができる。


「リュート参謀、武国へ向かう商人や民からとんでもない情報を得ました。」

 作戦の段階を確認する俺の元は焦った兵士が飛び込んできた。


「どうした!」

「それが、明日、テンセイ王子が帝国の姫君のエーミィ王女との婚約を発表するそうです!あの、帝国と武国が血眼になって捜索しているエーミィ様とです!」

 まずい、やられた!

 エーミィ王女といえば帝国と武国が同盟を組んだ証ともされる非常に大切な姫君だ、数年前に行方不明となったと聞いていたが、まさかテンセイ派が確保していたとは


 これから情報封鎖に動いてももう手遅れだろう。

 反乱は読まれている、しかしこれだけ急な、強引な婚約、恐らく読んでいるのはテンセイ派のみ

 相手はユリウス様ともっとも仲のいいあの双子王子か!


 ユリウス様が国を作った際、もっとも要所について貰うつもりと言っていた双子王子が相手とは難儀な。


 反乱の難易度が格段にあがった、すでに戦争中の帝国はともかく、停戦したばかりの武国はこの婚約報を聞いたら恐らく知ったことかと攻めてくるだろう。

 武国との防衛にこれまで以上に兵は必須だ。ガイエス様が率いれる軍は私兵のみ、恐らく1500人ほどになってしまった。

 ユリウス様の5000とガイエス様の1500で王都を落とす必要がある。


 反乱を中断するにしてもユリウス様への連絡はどんなに急いでも間に合わない。

 そうなればまずは王都付近の城の確保が先決だ。


「馬をだせ、スケート、カクト、腕利きを20人ほど集めろ、ティモル城を落とすぞ!

 ガイエス様に伝令を頼む、ティモル城を用意しておくからすぐに兵を率いて合流してくれと!」


 俺は先鋭を連れてすぐに城を飛び出した。

 

 ---


「リュート様、ティモル城はどうやって落とすのですか?」

 2メートルを超す大きな上背に重厚なフルプレートを着込んだガイエス配下の二枚看板の1人、カクトが聞いてくる。

 

「ティモル城は前から落とす算段をつけていた城だ、懇意にしている商人をリストアップしている。当日に商人を装って内部に潜入し、上層部を一気にとる」

「なるほど、だからこそ我々が呼ばれているんですね。この20人なら確かに、浮ついた100人ぐらいならなんの問題もありません。」

 俺の作戦に賛同するのは、カクトと同じく大きな上背にフルプレートを着込んだガイエス配下の二枚看板の1人、スケートだ。


「スケート、カクト、君達二枚看板が頼りだ、頼むよ」

「あんたの頭脳にいつも助けられてる、武が必要な時は任せときな」



 ---


 【反乱開始から4日後】

 

 商人の真似をしてティモル城に潜入した俺達はスケートとカクトの武力を利用してティモル城の占領を行った。


 特にスケートとカクトの武は凄まじく、何十人の守備兵を2人で殺しまわっていた。

 この2人に1対1で勝てるのは恐らくガイエス様クラスだろう。幼い頃から同じ戦場で鍛えた2人が揃えば、雷神ロバート以上だろう。

 

 聞いたところ2日ほどの距離にテンセイ軍も来ていたようで、2日差でなんとかなった。

 恐らくこの城が先にテンセイ派に渡っていれば詰んでいただろう。


「ガイエス様の到着まであとどれくらいだ?」

 伝令にきた兵に主力部隊の到着を確認する。

 

「あと3日ほどかかります。しかし兵は2000ほど用意できたそうです。」

「さすがガイエス様、この状況下で2000動かしたか」

「この数ならなんとかなりそうですね。」

 伝令の発言にスケートとカクトは大いに喜ぶ。


「気を引き締めよう、恐らく相手はガイエス様がもっとも評価していた双子だ。」

 補給線に不備はないか、軍の編成に偏りはないか、城に細工はないか。

 全てを確認し、再度気を引き締める


 ---


 【反乱開始から6日後】

「相手はテンセイ軍、ティモル城の残党が合流し1300ほどで東ティモル山に布陣したようです。」

「これは、、、カクト、リュート、どういうことだ?」

「いや、スケート、俺にはわからん。東ティモル山にいるなら無視して王都をせめていい気がするけど、あのテンセイ様がこんな手をうつとは思えん、リュートわかるか?」

 スケートとカクトが確認してくるが、どういう手だこれは?

 このまま明日にでも王都へ進軍するとテンセイ軍が来る前に王都へと辿り着ける。

 王都さえとってしまえば基本的には勝敗は覆らないのだが、それは向こうも承知のはず

 もしや進軍速度に秘密があるのか?テンセイ軍のほうが足が速い?

 例えば、一日速く動けるとしよう、そうすると王都と挟み撃ちか?王都に軍が残ってるとは思えないが、100名ほどでも数時間は開城を遅らせることはできる。その間に後ろをつくことで兵数差の不利を覆すつもりか?


「テンセイ軍の情報をもっと細かく伝えられるように伝令を強化しろ!」

 悩むのを中断し、伝令の強化を指示する。

 相手の動きが読めないのなら1時間でもはやく相手の動きを掴む、それで対応できるはずだ。

 

「はっ!しかし、距離があって山中ともあって確認が大変なため、1日はかかります。」

 1日か、そんなもんだろう、向こうは視認性の悪い山の中だ。


 いや情報が1日ズレる?

 しかし出陣したらほどなく情報は伝わってくるぞ、この有利をどう活かすつもりなんだ?


 まぁいい、俺とガイエス様の2人で勝ってみせよう!!!


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