表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/52

脳筋兄貴と反乱

申し訳ありません、予約投稿漏れていました。

連邦 ドッドーム諸島連邦と言われるこの国はフォーグラム王国の南西部にある海を少し渡ったところにある島国の総称である。

 元々20 年ほど前まではフォーグラム王国と激しい戦争を行っており、大陸への進出を目指す連邦とそれを防ぐ王国という構図であった。

 しかしそれは唐突に終わりをつげる。これまで王国と友好的な関係を結んでおり、共に帝国の脅威に立ち向かっていた武国が、王国を裏切り帝国側についたのである。これを好機とみた連邦はほぼ全軍ともいえる20万という大軍で王国を襲った。

 

 兵力の差はおよそ8倍と言われたが、後に王となる王太子率いる軍と雷神と呼ばれる伝説の冒険者ロバートによる戦略級魔法、そして季節外れの大嵐によって20万という大軍が負けるだけでなくほぼ壊滅してしまった。


 この敗北後、軍として統率が非常に難しくなってしまった連邦内部は、冒険者として乗り込んだロバートに散々に荒らされてしまい、国宝や多くの美女を獲られてしまった。

 これを好機ととらえた王太子によって、ロバートが得た国宝や美女を返還することを条件に和平を結んだのであった。

 

---


 ガイエス=ブルームハルト=アーヴィン、この王国の第一王子である俺は、この国の王となるため、幼い頃より戦闘訓練を行い、何度も軍の派遣や戦争に参戦していた。

 第一王子である俺が自ら武功をあげると皆大いに盛り上がった。

 戦神王子やら武神王子などと呼ばれた。もっとも、俺の弟の1人は脳筋兄などと呼ぶが。


 よくよく戦に参加していることもあって軍部に関係のある貴族の多くは俺を支援してくれている。

 このままいけば俺の王位継承は揺るがない。


 そう思っていたのだが、流れが変わりつつあるらしい。

 俺の腹心であり知能担当、将来は宰相にでもしようと思っているリュートがこう言っていた。


「第三王子の勢力は危険です。」

 こいつが危険だなんていうのは珍しい。少なくとも他の弟や妹に対してこんなことを言ったことはない。

 リュートが言うには学校で人気らしい。

 しかし調べてみるとどの家も次男や三男など、次期当主ではない人間に人気だった。

 考え込んでいるリュートが印象的だったが、とりあえずすぐに問題はないようだった。


 そんな時流が変わったのはあの2人が卒業してからだった。

 卒業するころには多くのものがテンセイを慕い、そしていくらかとはいえ、有名どころの貴族令嬢がシンセイのファンとなっていた。

 テンセイはともかくシンセイがモテるのは完全に予想外だった。

 そんなことより、卒業してすぐにテンセイとシンセイ有名になった。

 テンセイは軍の演習にて興味本位で行った大会で優勝、シンセイは俺が解決できなかったフォーグラム領のモンスター騒動を解決してみせた。

 

 テンセイは決勝の相手は騎士団長、とはいえ準決勝で俺と対戦してバテバテだったから運良く勝利、でも優勝は優勝だ。それ以外にも何かテンセイには不思議な力が働いてると思うほど運が良かった。

 神に愛されてる、そう思うほどテンセイに都合の良いことが起こっている。


 そしてシンセイは俺とリュートでも解決できなかったモンスターの騒動、生意気なことを言っていたから模擬戦で ボコボコにしたパウル侯爵が黒幕だったらしい。中々強い奴だったが、どうやら20人ぐらいの騎士でシンセイを囲んだが返り打ちなったらしい。


 この時を同じく、俺の妻となる連邦の第一王女エリザベートは、ある決断をしたようだった。


 ---


「ガイエス、お願いがあります。あなたにフォーグラム王国を落として新しい国を作って欲しい」

「は?えっと、全然意味がわからないよ」

 俺はいつも通り、人形のような顔に少し幼女体型な連邦の王女様エリザベートに会い、そしてフラれるものだと思っていたのだが、今日は少し反応が違った。


「少し急ぎましたね、何度も私のもとを訪れ、その度にフラれていく貴方をみるのも飽きました。ここで結論を出したいと思います。」

 エリザベートはいつもの興味なさそうな作った顔から、真剣で必死な、色のある顔をしていた。

 それは俺がどんなに頑張ってもみることのできなかった、本当の彼女の顔だった。


「結論というのは?私は何度フラれてもまたきますよ、例え立場を利用しようとも、それほどあなたの事が好きですから。」

「ええ、私もいい加減に覚悟を決めます!貴方と結婚します、その代わりにお願いがあります!あなたにはこの国と、そしてフォーグラム王国を滅ぼして大王になって欲しい。」

 冗談のような話を、本気で言われてしまう。

 しかし彼女の顔が、冗談でないことを伝えてくる。


「国を裏切って、連邦の王になり、フォーグラム王国を滅ぼせと?」

「いいえ違います。王子のまま王都を制圧し、連邦軍を領地に入れてください。そしてあなたはフォーグラム王国でも連邦でもない、新しい国の王となってください。この連邦にはもう正義はありません。」

 エリザベートは悲しみと、そして祖国の恥を思い顔を伏せていた。

 そして顔を伏せたまま次の言葉を続ける


「20年前にフォーグラム王国の危機に乗じて全軍をだし、天罰で戦力のほとんどを失ったこの国に未来はありません。でも土地には、若い世代には、これからの人に罪はありません。だからこそ、新しい道を進む必要があります。しかしそれでも、この国の老人はフォーグラム王国に怨があります。あなたがフォーグラム王国の王子である限り、私は、私の周りは何も認めてくれませんし、未来にはすすめないのです!!!」

 あのエリザベートが、泣きながら話していた。

 つまりフォーグラム王国と和平は結んでいるものの、上部の老人達はいつかフォーグラム王国を倒して怨みを晴らそうとしていると。

 だからエリザベートは、自分に好意を抱いている俺を利用して、王国と連邦、その2つの国をなくして、怨みをなくそうとしているんだ。


「エリザベート、君の覚悟はわかった、もう一度言おう、俺と結婚してくれ。君の愛があれば、俺は命を賭して王となろう。」


 ---


 そこからの動きは早かった。

 元々計画していた連邦と、一部のフォーグラム王国の貴族。そこにテンセイやシンセイ、他の王族に不満をもっていたメンバーが集まった。

 多くの貴族は親を騙して旅行に行かせたりして参加している。中でもフォーグラム公爵家のユリウスが参加してくれたのは朗報であった。当然親のマルキウスはこんな計画に参加しないだろうに、親を監禁してまで参加しているようだ。


 以前より計画していた帝国侵攻作戦で父と王都軍は近いうちに北東部へ向かう。

 このタイミングだ、ここで武国と一次停戦をして南東部の軍を動かす。

 そして唯一の懸念である北西部のエヴァンス軍、ここにはワイバーンの報告情報を流して北西部のリンドブルムまで行ってもらおう。

 エヴァンス家が動いたという情報を掴んだらすぐに軍を動かし王都を掌握する。

 シンセイとテンセイを人質にしてエヴァンス家の動きを封じ、父を捕える。


 完全に自由にとは言えないが、弟や妹、父達も酷いことはせずに暮らしてもらおう。

 俺がやりたいのはフォーグラム王国を潰すことであって王家の人間を殺したい訳じゃないからだ。


 ---


 そして、父が動き、エヴァンス家がワイバーンの討伐へ向かった、武国との停戦交渉も出来た。


 父上、弟、妹達よ、すまない。俺は俺のわがままのため、愛する人のために、王国を潰す。

 

 反乱の開始だ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ