ナマケモノ殿下と義兄上
「クイル様、ちょっといいですか?」
大結界を改造した次の日、俺は第4塔にて兵に訓練をしているレイの兄にて雷神ロバートの息子、次期エヴァンス領当主となる義兄クイル=エヴァンス様を訪ねた。
きたる王位継承戦にてテンセイの力になるべく来てくれたのであった。
テンセイ様の親衛隊になるのは俺だと意気込んでいた元同級生やら先輩面した馬鹿どもが死体のように積み上がっているいつもの光景である。
「おう、どうした、暇だからいいぞ」
一応選りすぐりの兵や騎士なのだが、クイル様にとっては暇つぶしにもならないようだ。
「じゃあちょっと私の部屋まで」
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クイル様を連れて部屋まで歩く途中で話し始める。
「実はですね、黒のワイバーンがまた確認されたようで」
「なにっ!?また黒のワイバーンが?ったく、おまえの対策は全然効いてないじゃないか」
「ということでクイル様はエヴァンス家の兵を連れて一旦遠征していただきたくて、またクイル様が黒のワイバーンを倒したとなればテンの陣営の宣伝にもなりますので、まぁ詳しい話は部屋でお願いします。」
そういって俺は
クイル様を自室にいれ、防音の結界を使う。
「さてクイル様、すみません全部嘘です。」
「はぁ?どういうことだ?」
椅子に座って落ち着いたところで今回の話を切り出す。
クイル様は何がなんだかといった表情をしている。
「つまりですね、黒のワイバーンが出たっていうのは嘘です。あっ、でもエヴァンス領に戻って欲しいってのは本当です。エヴァンス領にもどってこっそり戦の準備をしといてください。」
「ほぅ、つまりさっきの会話はパフォーマンスか、誰向けだ?巻き込むってことは教えてくれるんだろ?」
顎に手を当てニヤリも笑みを浮かべるクイル様、ここ最近でダンディ差が増している。
クイル様はロバート様達に似て武力が先に出ているが、政治や貴族闘争に疎いわけではない。
こういった明らかに裏のある話にもしっかりとついてこれる。
「実はガイエス兄貴とユリウス様を中心に南部の貴族がある程度の連合を組んで内乱を起こす可能性があります。そして南西からは連邦国がくる恐れもあります。」
「なるほどなるほど、つまりガイエスのアホがゾッコンの連邦の姫君に唆されて王国を欲しがってると、そして南西部から連邦やらなんやらがくるから、俺がいって睨みを効かせろってことだな?」
自信満々の顔で話をまとめクイル様には申し訳ないがいくつか訂正がある。
「すみません、だいたいは合ってるのですが、大切なところを訂正させてください。今回は内乱を起こしてもらいます。だからクイル様には黒のワイバーンの討伐にいったということにして欲しいです。内乱がいつ起こるかわからないから、クイル様、エヴァンス家という戦力を他所に向かわせて向こうから攻めてもらうって話です。」
クイル様が急に笑い出す
「はっはっは、なるほどな、いつまでも内乱の準備されるのも大変だし、気づいてないフリも大変、どうせならこっちのタイミング起こしてもらおうってことだな。そのために俺は黒のワイバーン退治に行ったフリをして全力で反乱軍を叩けと」
「そうです!さすがクイル様!正直北東部は帝国に面してるし南東部もガイエス兄貴がいるから多分反乱側、ぶっちゃけエヴァンス領が最大の主力ですよ。」
2人でバカ笑いをする。
どんなに笑っても音は外に漏れないので安心だ。
「それよりもおまえらは大丈夫なのか?」
「王都の大結界を改造しましたからね、ここは大丈夫です。問題はガイエス兄貴とユリウス様ですね、一応南東部と隣接する武国を動かすネタはあるので、まぁ王都に1番近いフォーグラム家のユリウス様と、私兵だけでも脅威になるガイエス兄貴ですね。」
この話を聞いてクイル様は少し考えこんでいた。
そして少ししたあと顔をあげた
「わかった、ならまぁ時間を稼いでろ、開戦したらとっておきの援軍を送ってやる。」
「期待してますよ義兄上」
「任せておけ、じゃあこれだけ教えろ、レイとはもうやったのか?」
唐突にこの人は何を言っているんだ、自分の妹のそう言う話をなんで
「いえ、その、一緒のベッドで寝たりはしてるのですが、手は出していないです。」
「あん?俺の妹に魅力がないってことか?」
急にすごく怖い顔をするクイル様に少しビビる
「いえ、その、もれなく他の2人もついてきて4人で寝るので、中々そういう雰囲気になれなくて」
「はぁ〜、奥手だなぁ、ぶっちゃけいつ死ぬかわかんねぇんだ、4人とも男らしく抱いておけ、うちの親父は4人じゃ少ない方だ、気にすんな。3人ともお前の初めてが欲しいだろ」
ニヤリと笑うクイル様に顔が真っ赤になってしまうが、たる違和感に気付く
防音の結界が解除されているな、急に下の話になったのはそういうことか、確かにこれなら防音しててもおかしくない。
「まぁ次会う時はちゃんも男になったシンセイでいろよ」
かっこいいことをいってクイル様は出て行った。
次の日、クイル様は黒のワイバーンの討伐のため北西部へ向かった。
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何日かたち、クイル様が北西部に向かったのもかなり噂になってきた、そろそろだな。
「シン、そろそろ内乱はじまるって聞いた」
レイがクリスとアキナを連れて寝室を訪ねに来た。
「うん、明日あたりから警戒した方がいいと思う。」
「じゃあシン様、今日はみんな一緒にいていいですか?」
「うん、いいよ」
そういうと3人とも上着を脱ぐ、いつもよりちょっとだけ、気合が入った下着な気がする。
クイル様に言われたことがフラッシュバックして緊張してしまう。
「えっと、シンさんあれだよ、レイさんと2人がいいならそれで大丈夫だよ」
アキナものってきてしまったようだ、何を言ってるんだ、みんないた方がいいに決まってる。
「いや、3人とも、3人ともでいいかな、男らしくいけって言われたし、なんだこれ」
もうダメだ、何も考えられなくなってきた。
ベッドの上にはカチコチになった俺とレイが座らされていた。
「シン様、レイ様、大丈夫ですよ私に任せてください。色々ちゃんとメイドにきいて勉強してきました。」
「私も向こうの知識でよかったら、その」
えっと、、、
「あの、お手柔らかにお願いします。」
もう何も考えられない、とりあえず2人にお願いするしかない。
「シン、ちょっと2人が怖い気がする」
「連れてきたのはレイだぞ」
「私に内緒で惚れさせたのはシン」
俺とレイが恐怖に怯えながら話をしているうちに準備が終わったらしい。
その日少しだけ大人になった。
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そして次の日、反乱が起きたと連絡があった。首謀者はフォーグラム家を乗っ取ったユリウス様。
ガイエス兄貴のことはまだわかっていないようだ。
テンセイとシンセイは南西部を相手にしろとガイエス兄貴なら連絡がきた、南東部はガイエス兄貴が対応するらしい。
なるほど、こういってガイエス兄貴が城に入って俺たちを挟み撃ちするって計画か。
まぁ、もちろん無視するけどね
女になんか誑かされた情けない兄貴だ、弟として、ちゃんと始末はつけてあげるよ。
昨日の俺の方が情けなかった気もするけど。




