表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/52

ナマケモノ殿下と大結界

王城大結界 王城とそれを囲む4つの塔を全て包む大結界

 王家に連なるものが許可した人間しか入れなくするこの結界は現在は失われた技術として存在しており、宮廷結界術師がメンテナンスするだけとなっていた。

 しかしここ数年、結界術を極めはじめたシンセイによりメンテナンスされており、あれほどの結界を1人で完全にメンテナンスするシンセイは宮廷結界術師の羨望を受けていた。当然本人は気づいていない。


 ---


 アールからの報告を聞いてガイエス兄上が反乱の主導者と予想した次の日、アールからガイエス兄上は南東部の武国への前線へ向かっていることがわかった。


 つまり南西部から連邦が、南東部からはガイエス兄上が兵を率いてくるのだろう。

 正面からそれだけの兵をうける戦力はここにはない、王城が落とされてしまえば連邦と南西部の戦力が王城を乗っ取りると、いくら父上の軍が戻ってきたとしても簡単に取り返すことは出来なくなるだろう。

 

 つまり王城が落とされてしまえば反乱成功ということだ、逆に俺たちは父上の軍が帰ってくるまで耐えれば勝ちだ。

 南部の反乱といっても全ては掌握できないし、時間をかければ武国や帝国に攻められて国がなくなる可能性がある。


「レイ、うちの手だれを後宮にむかわせる準備をしてくれ、後宮内部に親族を人質にしてくる人間がいるはずだ、俺達に近い人を脱出させる経路を決めておいてくれ。それと護衛も兼ねてクリスと一緒に後宮でお茶会をしてくれ、目立つにようにね、そこである噂を流してもらう。」

「わかった、おしゃべりならクリスの得意分野ね」

 レイとクリスは頷いて準備をはじめる。


「ねぇねぇシンさん、私は?」

「アキナさんは目立たないように大急ぎでユウ爺をここまで連れてきてくれ 、そのあとレイとクリスに合流だ」

「目立たないように大急ぎ?わかった任せて。」


「テン、本当に申し訳ないけど自体が自体だ、エーミィにも働いてもらう可能性がある。明日連れてきてくれないか?」

「だいたい何するかわかったよ、情けない話だね、匿うって約束したのに力を借りないとなんて。それにしても大丈夫?さすが王城に入れるのはバレるんじゃないの?」

「バレないよ、だって今から俺のユウ爺で王城の結界をイジるからね。」

 こうしてテンは将来を約束した帝国と武国のお姫様であるエーミィの元へ向かった。


 よし、これから一仕事、未知に踏み込まなきゃな。


 ---


 俺は王宮の地下にあるある部屋へきていた。

 精巧な隠密の結界で隠されている地下3階、ここには王城全体を包む大結界を発動している特大の術式魔石があった。

 王族に連なる者、またはその権利を委任された者の許可がないと通ることができない結界。この結界のおかげで王城は基本的に暗殺者や侵入者に怯えなくていい城となっていた。

 もちろん例外はあり、王族に連なる者の許可を受けた暗殺者や侵入者には対応できない。しかしその場合犯人は限られておりすぐに見つかってしまうため、そんな事件は起きたことがなかった。


 目の前の術式魔石には、結界王と呼ばれた6代前の王が生涯をかけて作り出した、芸術とも言えるほどの美しい術式が複雑に、何千、何万行と刻まれていた。並の結界術師では1日かけても1行も理解出来ないだろう。


 俺は小さい頃よりユウ爺が修復するのを一緒に見てきており、遊び半分でどんどん理解していった。

 授業を、学校を、訓練を、パーティをサボり、俺はこの大結界の術式を解読するのに夢中になっていた。


 今では大半を理解しており、なんなら改造をやっているほどだ。


 今回この術式魔石の前にきたのも、普段から少し改造して遊んでいるこの術式魔石を本格的に改造するためだ。


 今までやった改造はちょっとしたもので、俺をいじめた姉上が結界を通るたびにちょっとだけ不快感を感じるようにしたり

 俺をいじめた兄上を王城の中でだけちょっとだけ男根を不能にしたり

 俺をいじめた貴族が別の人間に入城許可をもらっても1回目は弾かれるようにしたり

 そんな可愛い改造だった。


 だが今回行うのはもっと別の、ガイエス兄貴派閥を徹底的に管理するための改造だ。


 そして俺は術式の改造に没頭していった。


 

「やっとるかー、シン」

 しばらく没頭していた俺にユウ爺がお茶を持ってきてくれた。


「ユウ爺、ありがとう。アキナに話は聞いた?申し訳ないけど改造に没頭してるから今日の分の結界の修復はユウ爺に任せていいかな?」

「おう、こっちはわしに任せておけ、それより大丈夫なんか?」

 ユウ爺は頼りになる背中を見せながら修復を開始した。


「んー、あんまりよくないね、とにかく味方が少ないよ。他の兄弟は誰も信用できないし、唯一信用できるガイエス兄貴が反乱ときてる」

「ガッハッハ、面白くなってきたのう、なにお前ら兄弟の命は助かるだろ。エヴァンス家への牽制と外交の道具としてな」

「なんにも面白くないよ、それよりこっちみて、ここをこうしたら」

 俺が術式をいじると結界が反応する、そしてその結界の反応をネックレスにかけている別の術式魔石が受け取る。


 そして俺は大声で、外の衛兵に聞こえるように話した。

 

「ね?これで結界の情報は俺に筒抜けだよ、兄貴が気づいてここを封鎖してももう手遅れさ。そもそも、これだけ改造してたらもうユウ爺ぐらいしかなおせないでしょ。」

 さっき結界を結界を改造してわかったことだが、この衛兵はガイエス兄貴の手のものだった。

 恐らくもう結界が何かしらの改造を受けたことは気づかれただろうと確信し、あえてどんな改造をしたか、虚実を交えてユウ爺に説明をした。もちろん衛兵に聞こえるように。


 ---


 大結界の改造が終わった、結果的にいうと大成功だった。

 ガイエス兄貴の手先は把握できたし誰を人質にとるのか、どうやって連絡をとっているのかを把握できた。


 手紙はこっそりアールが回収していくらを間引いて情報を制限し、伝えたい情報だけおくる。

 人質に取られる可能性のある要人と実行する可能性のある人間は全員リストアップしいつでも捕縛できるようにした。


 ガイエス兄貴の許可を得て王城に入っている暗部は当然アールと俺とテンで叩き潰した。

 改造の成果で暗部は捕捉されたが、メイドや使用人に混ざっているものは見つかっていない。こう印象付けるためだ。


 しかし便利だ、中でも王城の地下にある巨大な術式魔石の子機としてネックレスの小型術式魔石を使用できるようになった。

 これで王城の中ならリアルタイムで人の出入りを確認することができるため、王城内での他陣営の動きは筒抜けである。


 俺たちが暮らす第4塔にはさらに強力な結界を張っておいた。俺たちの派閥への敵意を感じると対象に負荷をかけることができる。

 恐らく満足に動けないほどの負荷をかけられるのだろう、定期的にやってくる暗殺者に使ってみたら悶えていた。


 これで王城側の守りは大丈夫かな、役にたたない兄弟は置いといて、テン愛しのエーミィさんを迎える準備でもしておこう。


 あとはこっちのタイミングで攻めてもらうだけだな


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ