【外伝】イケメン王子とお姫様
帝国の第二王女 それは僕でも知っていた、武国と帝国が和平を行い王族同士が婚約した。そしてとても美しい女の子が誕生し、帝国の王はその女の子をいたく気に入り、養子にし、第二王女となった。
つまりエーミィはその第二王女様なのだ。
僕に第二王女であることを告げたエーミィはとても暗い表情になっていてる。
帝国王のお気に入りの子が帝国から逃げ出した。それを匿うということは帝国全てを敵に回すということだ。
ん?帝国全てを敵にまわす?
別に今戦争中だし問題なくないか?
「エーミィ様!話していただきありがとうございます!それではフォーグラム王国第3王子である私がしっかり匿わせていただきます!」
それを聞くとエーミィ様は困惑した表情を浮かべる。
「あの、テンセイ様、お気持ちは嬉しいのですが、その、私を匿うというのは、帝国全土を敵に回すということですよ?」
「はい、私はフォーグラム王国の王子です。我が国と帝国はすでに戦争中、全力で敵に回しています。」
「え?あの」
「ですので、私がエーミィ様を匿おうが、それがいずれ露見しようが、何も変わりません。私の全てをかけて貴方をお守りします。」
顔が真っ赤になったエーミィは俯きながら無言で何度も頷いた。
それから俺たちは他愛のない話をして眠りについた、それから王領につくまで、何度も話をした。
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「ということだシン、なんかいい案ないか?このまま彼女と別れるわけにはいかないんだ」
王城下町についた僕はシンを呼び出して相談していた。
「一個だけ確認したいんだけどいいかな?」
いつもはめんどくさそうな顔をするシンは珍しく真剣な顔で聞いてくる
「いいよ、なんでも聞いて」
「テンは彼女こと好きだよね?どれくらい好き?全ても賭けても結ばれたい気持ちはある?」
「ある、なんなら王になるのを諦めてもいい。さすがにシン達までは捨てられないけど、夢ぐらいは捨てる」
悩むことなく、スッと出てきた言葉、彼女を助けたいという気持ちより、彼女といたいという気持ちがより強くなっていた。
「ならまず直近で決めなきゃいけないことが1つ、それと今後テンにやってもらなきゃいけないことが1つある。
直近で決めるのはどこに匿うか、人目につかず、心から信頼できる人物で、そして俺たちと関係があってもおかしくないところ」
確かに、さすがに王宮に匿うわけにはいかない、でも人目につきにくいところで信頼できる人間となると、、、
「ふふ、テン全然頭回ってないじゃん、しっかりしてよ。俺からの提案だけど、マドカさんのところにお世話にならない?」
「マドカさん!そっか、母さんの護衛をしてくれていた彼なら」
恥ずかしいけど、シンのいうとおりエーミィ様のことになると全然頭が回らないみたいだ。
マドカさんは母さんが輿入れする時についてきてくれたメイドさんだ。
僕らが10歳になるのをみて引退してこっちで暮らしている人だ。僕らにとってはもう1人のお母さんみたいな人だ、いや、お母さんいっぱいいるんだけど。
「そうと決まればすぐに行こう!」
「じゃああと何日か俺がテンの代わりやってるから、存分にサボってきてね。ああ、それともう2つ」
「2つも?」
「テンが全てを失わずにエーミィ様と一緒になるためには、王になってもらう必要があるよ。それとちゃんとエーミィさんに思いを伝えてきてね。」
そういうとシンはもの凄い笑顔でこちらを見送ってくれる。またデカい借りができてしまったなぁ。
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「マドカさん、お久しぶりです。」
王都に近い、フォーグラム領の端にある治安のいい街、マドカさんが1人で暮らしている屋敷をノックする。
すると少しふっくらとした、50代ほどのまさしくおばちゃんといったマドカさんがでてくる。
「あら、テンセイ坊ちゃん、お久しぶりです。今日はお嬢様とシンセイ坊ちゃんはいらっしゃらないのですか?」
「ええ、本日はちょっと、大きめの厄介ごとをお願いしたくて。」
その発言をきくと、にこやかな顔のまま話を聞いてくれる。
「あら、まだ私のようなおばちゃんを頼ってくださるのですね。ええ、お嬢様やテンセイ坊ちゃん、シンセイ坊ちゃんの厄介ごとからマドカにお任せください!」
「じゃあ2人とも入って」
そういって僕はエーミィと護衛の人を案内し、マドカさんに家に入れてもらった。
4人で机に座ると、マドカさんがお茶を出してくれる。
「あの、私はアッシュバーナー帝国が第二王女、エーミィ=アッシュバーナーと申します。祖国から逃げてきて、テンセイ様に匿っていただくこととなりました。もし宜しければここに置いていただけないでしゃうか?」
しっかりと礼を話を切り出す。
「そうですね、ここに匿うことは構いません。しかし2つだけ、確認させてください。」
「はい」
マドカさんはいつにも増して真剣な顔で質問をする。
「まず、あなたは何故ここまで逃げてきたのですか?答えにくいでしょうが、その身を預かるものとして、しっかりと確認したいです。そしてもう1つ、あなたはテンセイ坊ちゃんのなんですか?テンセイ坊ちゃんを大した理由もなく利用しているだけなのであれば、見過ごせません。」
「マドカさん、それはー」
「テンセイ坊ちゃんといえど、これは譲れません。」
それはとても真剣で怖い顔をしていた。
5歳のころ、シンと2人で魔法を練習していて2人して火傷した時以来の顔だった。
「お話させてください。」
エーミィは暗い顔をあげて、意を決して話をしてくれた。
「まず1つ目ですが、帝国から逃げたのは命を狙われたからです。これは内密な話になるのですが、武国と帝国の関係は最悪です。すぐにでも同盟が破棄されて一触即発となっています。そんな中、武国と帝国の血を引く私は命を狙われ、どちらに逃げることもできず、家臣一同がここまで流してくれたということです。」
護衛の人も顔を落とし、エーミィは泣きながら語ってくれた。
「もう1つ、私はテンセイ様のなんでもありません、テンセイ様には盗賊に襲われているところを助けていただき、そのままご厚意に甘えてここまで連れてきていただきました。私はテンセイ様を利用していると言えばそうです。」
「違う、エーミィは僕を利用しているんじゃなくて僕が助けたいだけなんだ!」
勢いで言ってしまうと、エーミィさんは顔を真っ赤にしていて、マドカさんはニヤニヤしている。
「それでテンセイ坊ちゃん、どうして助けたいんですか?」
「えっとそれは」
罠だった、完全に罠だった。
そういえばシンが言っていた、エーミィさんなら思いを伝えろって、そういうことか、こういうことか。
ちゃんと言っておけばよかった、そのせいでこんなことに。
「僕が、エーミィさんを好きだから、だから助けたい!もしよかったら、僕と婚約して欲しい」
恐る恐るエーミィさんの方を見てみると、泣きながらこちらを見ていた。
「私も、私もテンセイさんをお慕いしております。もし立場さえ許されるのであれば、どうか生涯をともにしたいと思っております。」
2人して固まっていると、マドカさんが笑顔で話す。
「あらあら、若いわね、テンセイ坊ちゃんの婚約者なら、誠心誠意、私が匿ってあげますよ。テンセイ坊ちゃん、シンセイ坊ちゃんにいって肌の色を変える術式魔石を用意してね、褐色は目立つのよ」
そういってエーミィはマドカさんが預かることになった。
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シンがエヴァンス領へ向かった間、僕はエイセイとしてマドカさんの屋敷を、エーミィの元を訪れていた。
「エーミィ、きたよ」
「テンセイ様!」
こうやって僕はエイセイを使ってちょくちょくエーミィに会いにきている。
シンの作った術式魔石でエーミィは完全に違う人物として生活しており、不自由なく暮らせているようだ。
協力してくれたら弟のためにも、エーミィと結婚するためにも、王にならなきゃなぁ




