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【外伝】イケメン王子と冒険者ギルド

「あんたがテンセイか?同じ顔でここまで雰囲気が違うのは気色悪りぃな」

 目の前にいるのはSランク冒険者アール

 貴族の妻に手を出して処刑されそうなところをシンが拾ってきたらしい。


「君はバカだね、どうして貴族の妻になんか手を出したんだい?」

「いい女がいたからだよ」

「ふーん、シンの報告によると貴族は奥さんやメイドに無茶苦茶酷いことしてて、それを見かねたあなたが全員と寝て仕返しをしたってなってるけど?」

 アールはやれやれと言った表情をする。


「なんだよ知ってんのかよ。全員じゃねぇ、ちゃんと恋人いる奴は抱いてねーよ。あと貴族の奴は髪の毛全部ぶっ飛ばして全裸で街の中心に放り出してやったからだ」

 こいつ、シンと同じタイプの人間か、悪態はつくし言葉は悪いけどやってることは困ってる人を助けてるだけ

 面白い、不思議と笑い声がでる。

 

「ふふっ、面白いね、僕はそういうの好きだよ。わかった、助命してあげよう。でも条件がある。」

「あん?何すりゃあいい?暗殺か?悪りぃけど殺人は苦手だ」

「逆かな、僕らの陣営について、暗殺を防いで欲しい。最近僕を厄介と見る人が増えてきてね、ちょくちょく暗殺されかけるんだ。防ぐことは出来ても捕まえることが出来てない。あっ、もちろんちゃんと給料は払うよ、正式に専属で雇わせて欲しいってことだよ。」

「それは、俺にどんなメリットがありますかい?」

「そうだね、お手付きなしのメイドならもらっちゃっても構わないよ、出来れば他所の兄弟の陣営のをバレないようにね。」

「なるほど、諜報もしろと、でも王城のメイドは面白そうですね。」


 こんな感じで、10歳か11歳ぐらいのころにSランク冒険者のアールを仲間にした。

 当然貴族から反対はあったけど、シンに色んな書類を突きつけられて青くなってたね。


 ---


「ということでアール、僕とシン冒険者ギルドに登録できるようにしてくれないかな?もちろん身分は隠してさ」

 アールを仲間にしてから数日後、前から興味のあった冒険者について話を聞いてみる。


「あー、身分たてるのは大丈夫だと思いますが、お2人ともですかい?2人並ばれるとさすがにバレると思いますぜ」

「なるほどね、わかった、テンと俺で同じ人物に変装しよう。」

 我が弟、とんでもないことを言い出したが、なるほど、どこにも問題点が見当たらない素晴らしい策だ。


「テンが変装する時は俺がテンのフリをするよ、もちろん近い人はバレるだろうけど、王宮は騙せる。俺が少しいなくなっても心配する人は少ないしね。」

「さすが坊ちゃんら、面白いこと考えますね。」

「うん、それでいこう、でもシンの評判ばかり落とすのは悪いから、ちゃんとシンがいるふりもするんだよ」


 こうして、冒険者エイセイが誕生日した。

 設定はコウエンジ家の近縁者の子供、テンセイとシンセイと遠い親戚にあたるって設定だ。


 ---


 「あと少しで冒険者登録は完了ですが、その、仮面はというかマスクはつけたままなのでしょうか?その、素顔の方で登録となりますので、仮面を外していただけますか?」

 仮面舞踏会でつけるような仮面をつけて登録を行っている。かなり目立つが理由はしっかりと考えている。

 僕はそっと仮面をとる、ほんの少しだけ特徴を加えただけの顔をだす。

 フォーグラム領とはいえ、イケメン王子と呼ばれる僕の顔は結構有名だ、だからこそ、それを利用した。


「あっ、あなたは」

「違います。貴方が誰と勘違いしているかはわかりますが、私は彼の遠縁で顔が似過ぎています。そのため仮面をつけています。」

「たっ、確かにあの時のキラキラした感じが足りない気が。すみません、込み入った話をしてもらって。わかりました、登録させていただきます。」

 キラキラした感じがないと、さすが我が弟のメイク、ほとんど顔は変わらないのに違う人物に見えるらしい。


 

 ---


「ふふっ、楽しみだな、冒険」

 フォーグラム領にある冒険者ギルドで登録を済ませ、初めての依頼にワクワクが隠せない、本当に楽しみだ。


「全く、初級のダンジョン攻略にこんなに楽しみにする王子様がいらっしゃいますかねぇ」

 アールにはもちろん護衛でついてきてもらった。

 アールは別で簡単な討伐依頼も受けている。パーティって奴だ。


 そんな依頼のため、国境近くの領へときていた僕とアールはあるものを見つけた。


「あー、ぼっちゃん、落ち着いて聞いてください。恐らくこの先で馬車が盗賊に襲われています。どうしますか?」

「シンなら多分助けるね、ってことはエイセイも助けるだろう、行こう。」


 アールが風の魔法を使い体が軽くなる、というか軽く飛んでる?


「アール、まずは僕だけ行く、ピンチになったら救援にきてくれないか?」

「了解」


 目の前には10人ぐらいの盗賊に囲まれている馬車があった。護衛は3人、まだ息はあるが鎧はボロボロで今にも倒れそうだ。

 この盗賊にやられたわけじゃなくて、道中で疲れているのだろう。

 馬の疲労や騎士の消耗をみるに恐らく国境を超えてる際に前の国から追撃を受けたか?馬車の装飾をみるにどこかしらの貴族の人だろう。


「フレイムランス!」

 炎の槍は囲んでいる盗賊の3人ほどを吹き飛ばした。

 驚いている盗賊に瞬時に近寄りさらに2人斬りつける。

 ここで大切なのは馬車を人質に取られないこと、シンならすぐに包囲結界を張って楽に対処できるだろうに、僕は防御結界が苦手だから仕方ない。


 僕を確認した残り5人の盗賊はすぐに3人が僕に向い、2人が馬車へ向かって。


「はぁっ!」

 僕に向かってきた3人をすぐに倒すが、馬車に向かった2人はそのまま護衛の3人のうち2人を殺していた。


「おっと動くなー」

「ウインドカッター」

 残った護衛を人質にしようとする盗賊の腕を視認しにくい魔法で切り落とし、剣を突き立てトドメを刺した。


「てめぇ無茶苦茶しやがって、今度こそ動くなよ」

 最後に残った盗賊、恐らくリーダーだろう、その男は馬車の中にいた可憐な女性に対して刃を向けていた。

 その女性は不思議な黒くて長い髪の毛をもち、とても整った美しい顔、そして褐色の肌をもっていた。


「ぐっ、お嬢様をはなせ」

 お嬢様、明らかにこの国の貴族ではない女性はお嬢様と呼ばれており、首に剣をつけられ震えていた。


「馬鹿野郎、誰が離すかよ。おい、そろそろ出てこい!」

 盗賊は大きな声で仲間を呼ぶ。


「誰もきませんぜっと」

 茂みから出てきたアールはボコボコにした盗賊1人をもっていた。


「おっ、お頭、何とかしてください、みんなこいつにやられて」

 アールが連れてきた盗賊が仲間がどうなったかを震えながら語った。


「ですってよー、どうします?そちらに勝ち目はありませんぜ」

 アールが相手をわざと煽る、投降=死の状況で投降する馬鹿はどこにもいない、ここで相手を怒らせても人質が危ない目にあうだけなのに。

 

「は?やられた?8人全員か?ふざけんなよ!なんでテメェらみたいなバケモンがこんー」

「ウインドカッター」

 激昂した相手は一瞬だけ僕ではなくアールに気を向けた、その一瞬で魔法叩き込み、剣を持った右手を斬り落とした。


「あっ、てめー」

 ザシュッ


 一瞬で接近し、残る左手を斬り落とし、両足の腱を切る。


「アール、念の為こいつらの拠点潰して街の衛兵に突き出しといてくれ、俺はここのお2人を連れて街に行く。」

「あいよ、今朝使った宿でいいですね?」

 コクリと頷いたのを確認するとアールは盗賊2人を連れて消える。


 そして変な仮面を被った冒険者エイセイと、異国のお嬢様、その護衛の3人だけが残された。


「その、貴殿は、」

「まずはじっとしててください、簡単な回復呪文ですが、ないよりましなはずです。」

 1人生き残った女性の護衛に回復呪文をかける、傷は埋まり、一先ず血が止まるの確認してその女性は気を失った。


「あの、助けていただきありがとうございます。私、武国がバーンシュタイン伯爵の娘、アーデルハイド=バーンシュタインと申します。」

 盗賊の返り血がついたドレス姿のまま、丁寧なお辞儀をするアーデルハイド嬢、その所作は全てが美しく、返り血さえ彼女を引き立てていた。

 バーンシュタイン家、武国の伯爵家であり、褐色の肌をもつのは武国人の特徴であった。


「私の名前は冒険者のエイセイ、今はそれでお願いします。」

「今は、ですか?」

「ええ、いずれしっかりとした自己紹介をさせてください。」

 この時すでに、テンセイであることを明かそうと思っていた。もっと仲良くなってから明かそう、いずれ必ず明かそう。いきなり王子様と名乗っても信じてもらえないかもしれない。でも必ず明かそうと思っていた。


 だって、一目惚れだった。


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