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ナマケモノ殿下と氷笑姫

 黒のワイバーンの攻撃は一度レイの攻撃を受けてからさらに激しさを増した。


 黒のワイバーンは自重をいかして空から踏みつけ攻撃を行う。

 シンセイは三重結界で攻撃をふさぎ、レイチェルは降りてくるタイミングに合わせてて氷の棘を作り少しづつダメージを与える。

 尻尾や爪による攻撃は剣や三重結界で流して身体を崩したところにレイチェルが攻撃を行う。

 それを何度も繰り返してした。

 黒のワイバーンによる攻撃はシンセイの三重結界はほぼ完全に攻撃を防げるが、三重結界は乱発出来ないため連続攻撃などは極力剣で流している。もちろん無傷とは言えないが、それでも大事に繋がる傷はなく、まだ何時間でも戦い続けられる自信があった。

 少しづつ、本当に少しづつだが黒のワイバーンはレイチェルの攻撃を嫌がり、動きが鈍くなっていた。


 多くの攻撃を止め、あるいはかわし、少しづつ体力は削られていた。しかしこのままであればいずれ単独討伐をなしたクイル様が、あるいは他のワイバーンを討滅した他の兵が援軍にきてくれる。シンセイとレイチェルは2人とも言葉にださないものの、ともに勝利を確信していた。


 そしてこの展開を嫌がった黒のワイバーンによって、均衡が崩される。


 ---


 いける!


 正面から受けても三重結界であれば防げる、爪による攻撃は剣で十分受け流せる、火球はもはや隙でしかない。

 自分で攻撃する隙はなくともレイは相手に合わせて攻撃してくれるし、設置している氷も鱗の薄い腹部に当たるためただじゃすまない。

 レイとの連携ミスは一つもなく、目を合わせるだけで次の動きが理解できた。


 油断せずに、三重結界の準備を怠らず、相手の動作を見抜いて適切な対応をする。

 これまで見せた攻撃であれば1つも間違えずに対応できる、そう確信していた。


 そう考えていると、黒のワイバーンは再び羽を起こし、火球の準備を行なった。

 俺は三重結界の準備を行い、レイは攻撃魔法の準備を行っていた。


 そして黒のワイバーンは口から火球をだしながら、そのまま降下しながらの突撃攻撃にでた。

 当然自身の火球に突っ込む形になるため、いかに黒のワイバーンといえど鱗が焼け、酷い傷を負うだろう。


 そんなことを考える余裕はなく、俺は1つの考えに支配されていた。


 この攻撃は三重結界じゃ防げない


 レイは攻撃魔法の準備を行っていたため回避が間に合いそうにない、この攻撃をそらせなきゃ負ける。

 そう考えた俺の体は自然と動いていた、この国どころか人類最強の呼び声のあるロバート様の最大呪文トールハンマーを防いだ結界

 賢者と呼ばれた英雄が使っていた最強の防御呪文

 使用者の記録が残されておらず、伝説とまで言われた四重結界を。


「四重結界」


 俺の手から形成される結界は美しい術式を描き、何重にも重ねられた四重を防御結界を描こうとして、失敗した。

 不完全な四重結界は三重結界としてしか形成されず、それはこの黒のワイバーンの突撃を受け止められない事を理解させてくれた。


 油断した


 慢心した

 

 そもそも四重結界はちゃんと準備をしてからじゃないとうまくいかない

 

 何故準備していなかった

 

 なぜ三重結界で大丈夫だと思った

 

 黒のワイバーンと対峙しているのに勝てると思ってしまった


 レイを守れない


 帰れない


 いろんな思いが頭を支配しそうになった

 それでも、三重結界でもレイを守る、生き残る、勝つ


「レイ!!!」

 咄嗟に右手にもった剣の腹部分で、後ろで魔法を準備していたレイを押し出し、俺の右後方へ追いやった。


 そして目前に迫る黒のワイバーンの突撃を、左手の三重結界と右手の剣で、全身全霊で左後方に逸らそうとする。


 火球を纏った黒のワイバーンの口が斜めに構えた三重結界に触れるとガリガリと音をたて削れていく。今までのように受け止める事も弾く事も出来ずに、コンマ何秒の世界でほんの少しづつ結界を動かし、なんとしてもレイに当てないように、なんとしても逸らすように。


「シン!」


 うおおおおおおおおおお


 柄にもなく叫びながら結界の後ろから右手にもった剣を突き立て、体を回転させるようにして直撃を避けようとする。

 15の誕生日にもらった特注の剣はガリガリと削れていき、結界が破れたあとの左腕の感覚はすでになく、それでも諦めず。


 攻撃を逸らし、直撃を避けることに成功した。


 着地を考えず、全てを込めて地に向かって突撃してきた黒のワイバーンは、攻撃を逸らされてしまい地面に突っ込み、目に見えて絶大なダメージを受けている。


 俺の左腕はつながってこそいるが感覚はすでになく、右手にもった剣も半分になり、少し左の脇腹がえぐれている気がする。


 正直怪我の程度を確認する余裕もなく、次をどうするか考えていた。


 左手は使い物にならない、右手だけだと三重結界が精一杯、脇腹が痛くてすぐに動けそうにない。

 どうする、次同じ攻撃がきたらどうする。

 

 次は成功する?


 四重結界が?


 綺麗に成功したことはないのに


 この腕で


 失敗したら次こそ死ぬ

 

 もう一回同じことはできない


「シン、少し落ち着いて、大丈夫、次は成功する」

 レイがズタズタになった俺の左腕を掴む、左腕は手のひらを残し凍っていた。

 そして俺の脇腹も凍っていて、痛みを感じなくなっていた。

 よし、まだ動ける、次は必ず四重結界を成功させる

 感謝の気持ちよりも先に気持ちがはやっていた。


「シン」

 唇に柔らかい感触を感じた。

 目を見開くと、真っ赤な顔のレイがいた。


 キスをされた。


 これまでそういう恋人らしいことをしてこなかった俺の頭の中は、すぐにレイに支配された。


 かわいい

 柔らかい

 気持ちいい

 嬉しい

 困惑

 なんで


 なんで、今は黒のワイバーンと戦っていてそんなことをしている余裕はなくて


 余裕がなかった


 そうだ、余裕がなかったんだ


「レイ!ありがとう!いやキスじゃなくて、キスもだけど、余裕がなくて」

「落ち着いた?大丈夫?次は止められる?余裕があるほうがシンっぽいよ」

 もうすでに無表情に戻ったレイはこちらを心配していた。思えばレイの顔をみることが出来ないほど余裕がなくなっていた。


 ゆっくりと深呼吸をして黒のワイバーンをみると、ボロボロの翼でもう一度飛び、同じ体制を取っていた。


「シン、次は私も付き合う、大丈夫だから」

 レイが俺の後ろから肩を掴み、ゆっくりと魔力を流してくれた。他の人に魔力を流してもそんなに影響はなく、むしろ細かい呪文や難度の高い呪文を使う時は邪魔になる。

 でもそんなのは関係ない


 黒のワイバーンはもう一度、火球を纏って突撃してきた。


 身体を巡るレイの魔力が落ち着かせてくれる、ゆっくりと右手をかざすとレイが氷を使って左腕をあげてくれる。

 ゆっくりと魔力を練り、目を開き、俺の全てを賭ける。


「「四重結界」」


 普段の抑揚のない声でなく、ハッキリとした、叫び声にもにた声でレイも合わせてくれた。


 手から形成された魔力は綺麗に術式を描き、三重結界が形成される。そこからさらに術式が書き込まれていき、トールハンマーを防いだ時の不完全な四重結界ではなく、綺麗で、それでいて吸い込まれるような四重結界が形成された。


「綺麗」

 レイが透き通るような声で、四重結界を綺麗と評してくれた。その横顔をみて、レイの方が綺麗だと思ってしまった。


 ゴシァあああ


 レイが四重結界に見惚れている、その横顔に見惚れていると、鈍い音がした。不思議と全く衝撃はない。

 

 その瞬間、レイがこちらを見て、少し顔を赤らめながら見つめあってしまった。

 次は俺からキスをした


 真っ赤な顔になったレイはすぐに目を離した。


「シン、ワイバーンを確認しないと」

 はっとした俺は恐る恐る結界の先を確認した。


 四重結界に激突した黒のワイバーンは、本来は俺たちが受けるはずだった衝撃を完全に反転され、体は燃え、胸から先が完全に潰れていた。

 ピクリとも動かず、完全に沈黙していた。


 俺とレイの勝利を意味していた。


「よう、お2人さん、お熱いね」

 どこから見ていたのかわからないが、クイル様はこちらを見て、ニヤニヤしながら話しかけてきた。

 ボロボロで血塗れの顔も鎧、片手は明らかに変な方向を向いて骨折しており、片手には黒のワイバーンの首があった。


「愛のパワーって奴だな、てかおまえらあんだけ一緒にいて初めてだったんか?こんなに顔が真っ赤なレイチェルは初めて見たぞ」

 ボロボロのクイル様にアイスランスが飛んでいった。死ななきゃいいけど。


 周りをよくみると他のワイバーンも討伐し終わっており、怪我したもの、死者はいなそうだ。


「シン、周りの心配もいいけど、多分1番の重症者はシンと兄貴だよ」


 そっか、俺そういえば腕とか腹とか、、、

 あれ、気が遠くなってきた。


「シン!」

 一日に何回もレイの大声が聞けるなんて、珍しいな


 それにしても柔らかくて、可愛かった

 

 そこで記憶は途切れた。


この小説はハーレムものです


ブックマークやいいねいただきありがとうございます。


拙い文で申し訳ありませんが、これからもよろしくお願いします。

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