第十七話『対決! メノオラのニャンポにゃん!』修正01
第十七話『対決! メノオラのニャンポにゃん!』
目の前に現われたのは、にゃあまん様そっくりのネコ人型モードの姿。身体を形造っている真ん丸オモチが水球に置き換えられていることを除けば、背格好も、身体に刻みつけられた筋彫りのいずれも、こっちとおんにゃじ。まさに、にゃあまん様の水玉版にゃ。
「ふふっ。かたどっちゃったよぉん!」
水玉のにゃあまん様が、『口ぱく』つきの霊覚交信を始めたのにゃ。あたかも、これ以降の会話は全部このスタイルで、と宣言したかの如くに。でもって、心に届いたのは女の子っぽい声。どことにゃく悪戯っ子を感じさせる口調にゃん。
「それじゃあぁ、お次はぁ」
思いがけにゃいことに、そそくさと湖底の地面に両膝と両手を突く。
(礼儀の正しいお方みたいにゃ。にゃらウチもにゃ)
おんにゃじ格好をしてみた。そしたらにゃ。自己紹介らしき言葉が心に届いたのにゃ。
「初めましてぇ。アッチはね。メノオラのニャンポロリンっていうの。ちょっと長めの名前だから、ニャンポって呼んでくれればいいよん」
(にゃんと! 水玉のにゃあまん様がメノオラとは……)
続く言葉にも驚かされる始末にゃ。
「今更説明しなくたって、もう判っているとは思うけどね。湖のように拡がっている、ここ全体がアッチなの。でもこれだと、会話も出来やしない。ってことで、この身体になったってわけ。よろしくぅっ」
ぺこり。
声に続いて、顔をちょっと横に向けてのご挨拶にゃ。 言葉遣いこそ軽いノリにゃものの、にゃんか品の良さそうにゃ態度。にゃもんで、『ウチも負けてはいられにゃいのにゃよぉ』とばかり対抗心を燃やして、相手が顔を上げたのを合図にこちらも挨拶返しを。
「これはこれは、丁寧にゃるご挨拶。痛み入るのにゃん。
ウチの名前は『にゃあまん』。愛と正義の戦神にゃ。こちらこそ、よろしくお願いしますのにゃ」
「うん!」
人間がいうところの『座礼』を、お互いしたわけにゃ。ネコにゃので、しゃがんでいる姿とそうは変わらず、特に違和感はにゃい。
顔を上げれば、目と目が合う。続いて、どちからともにゃく微笑み合う。
(和やかにゃ雰囲気にゃん)
寛ぎの気分とにゃった矢先、ニャンポにゃんがためらいがちに話しかけてきたのにゃ。
「あのぉ。初対面だっていうのに、こんなことをいっていいのかどうか……」
「構わにゃいのにゃ。いってみにゃさい」
こうも下手に出られたら、誰にゃって鷹揚にゃ気分にもにゃるというもの。にゃもんでウチの口調も自然と柔らかにゃものに。聞いた相手の顔も、ぱぁっ、と、お花が咲いたみたいに明るくにゃる。でもって続けた話の内容も……とはいかにゃかった。
「狭界が危ないみたいなのよん。だからね。是非とも、あなたの霊力が目一杯欲しいの。
四の五のいわず、ここは気前良く、『にゃら、どうぞ』といってくれないかなぁ」
ネコ型にゃのに、器用にも手と手を絡ませての哀願態度。もちろん、ためらわずに答えたのにゃん。
「冗談は顔にゃけにしにゃさい」
「うん? それってどういう意味かなぁ?」
「正義の味方のセリフじゃにゃいもん。大体にゃ、『絶体絶命』ってわけでもにゃいのに、にゃにが悲しくて、ふたりも正義の味方が現われにゃければにゃらにゃいのにゃん」
不満と気ににゃっていたことを、ウチは一つの言葉にまとめてみたのにゃ。
「どうして……どうしてアッチが正義の味方なの?」
「そんにゃことも判らにゃいにゃんて……。ふぅ。やれやれにゃ。
簡単にゃよ。にゃあまん様は正義の味方にゃ。でもって、あんたは水玉のにゃあまん様。にゃから、あんたは正義の味方にゃん」
自分でも、『やや自慢げにゃ』と思われる感じで喋り終えたのにゃ。そしたらにゃんと、相手は薄焼きせんべいよりも薄い目をするという意外にゃ反応をしたのにゃ。
「ひょっとして……、おたくちゃんは『アホ』?」
「にゃ、にゃんで判るのにゃん?」
ウチはびっくり仰天。でもにゃ。直ぐに、ぴぃぃん、ときたのにゃん。
「そうか。にゃあまん様にゃものにゃ。当たり前にゃん」
……大ハズレみたいにゃ。閃きを口にしてみても、目の前の表情はにゃにも変わらじ。
「あのね……。もう一度いうけどさ。アッチはメノオラのニャンポ。でもってこの身体はかたどっただけ。いっていること判る?」
「ということは……」
「アッチはにゃあまん様じゃないよぉ!」
「にゃ、にゃんと! 純真無垢にゃウチをだましたのにゃん!」
「だますもクソも、最初っから、にゃあまんの『にゃ』の字もいっていないよぉ!」
「にゃにおぉっ!」
「なんなのよぉ!」
頭にきたウチは右手……霊体ネコ特有の五本指のオマタ……から、鉤爪四本を飛び出させると、にゅうぅっ、と延ばして霊刃の刀に。それを迎え討つかのように、ニャンポにゃんも鉤爪を霊刃の刀へと変化。双方が相手へと向かって突きつけたのにゃん。
「覚悟にゃあ!」
「覚悟だよぉん!」
身体全体もしくは右腕の動きに合わせて二つの霊刃、ウチの緑刃とニャンポにゃんの白刃が踊っている。ちょうど良い間合いに入った頃にゃ。
がぎっ!
どちらからともにゃく振り下ろされた刀と刀。同等の力を持っているとみえ、二つの霊刃が、がっちりと組み合ったのにゃん。……と次の瞬間。
ぱぁぁん!
霊圧が高まりすぎたのにゃろう。同時に弾け、塵と化したのにゃ。その勢いで我に返ったウチらは、
「ウチとしたことが、取り乱してしまって大変申しわけにゃい」
「ううん。こっちだってぇ」
とお互いに言葉をかけ合い、円満に和解したのにゃ。
そんにゃこんにゃで話し合いは一時中断。『両者の興奮が収まった時点で再開』と合意したのにゃ。たにゃ……続きではにゃく、最初っからやり直すこととにゃったのにゃん。
束の間の休憩を経て……、めでたく再開にゃ。
「狭界が危ないみたいなのよん。だからね。是非とも、あなたの霊力が目一杯欲しいの。
四の五のいわず、ここは気前良く、『にゃら、どうぞ』といってくれないかなぁ」
ネコ型にゃのに、器用にも手と手を絡ませての哀願態度。もちろん、ためらわずに答えたのにゃん。
「イヤにゃん」
「ええと……、迷っちゃうなぁ。
『にゃら、どうぞ』っていうのが面倒だからの、『イヤにゃん』かなぁ、それとも、
『あげにゃいにゃよぉ』っていう拒否の意味での、『イヤにゃん』なのぉ?。
ねぇ、どっちなのぉ? 教えてぇ」
「後者にゃ」
「ええっ。そんなぁ、心にもないことをいっちゃダメぇっ」
「心にあるからいうのにゃん」
「それじゃあ、本当に?」
「うんにゃ」
「じゃあじゃあ、この話し合いは決裂と?」
「そういうことにゃん」
「では勝負と?」
「そっちがその気にゃら」
「だったら……、勝負だぁ!」
「いいにゃよ。受けて立つのにゃん!」
こうして『やり直し』は無事に終了。闘いの幕は切って落とされたのにゃん。
闘いは苦難に満ちた、困難を極めるものにゃった。
「あぁぁれえぇぇっ!」
ぐるぐるぐる。ぐるぐるぐる。
「ふぅぅむ。やっぱり、これも歪みのせいにゃろうか」
左手を右肩の脇に挟み、あごを親指とネコ差し指のオマタで挟んでいる、といった格好のウチを中心にして、上から見ればまるで円を描くように、大の字とにゃった身体をくるくると横回転させにゃがら、回り続けるニャンポにゃん。顔はこちらへと向けられているから、見られっ放しのようにゃ気がする。盛んに悲鳴を上げているから、うるさくてしょうがにゃい。とまぁそんにゃこんにゃで、考えるのもままにゃらにゃい。もっとも……、『ネコが考えてどうするのにゃ?』と問われても、返す言葉は見つからにゃい。
回り始めの頃は、ニャンポにゃんの姿を目で追っ駆けようとしたのにゃ。ところが、これが災いの元にゃ。足元位置を変えずの小ちゃい回り方にゃのに、水流が強くて半回転もしにゃい間に、ぐらぐら、と足元がふらつく。でもって支える間もにゃく、ばたっ! とうつ伏せに倒れてしまう。
「にゃんか自分が哀れにゃん」
仕方がにゃいので、首にゃけを回して目で追うことに。でもにゃ。これもいけにゃい。目が回り出して、またもや、ばたん! 情けにゃいったら、ありゃしにゃい。
「くうぅっ。にゃんでこんにゃ思いをしにゃければにゃらにゃいのにゃん」
ぶつかり合う空域と水域の霊波。力ある霊体ふたりの出現。これら二つに湧湖の水が敏感に反応してしまった結果、かもしれにゃい。水流が冗談じゃにゃいくらい勢いを増してしまったのにゃ。『こんなものへっちゃらだよぉ』とたかを括っていたニャンポにゃんさえもが回る回る。どんどん回る。おまけに、流れは何方向にも出来ているのにゃ。それぞれの勢いが強いことから、『立っているのが、にゃんとか』の状況にゃ。ニャンポにゃんも最初は、『さぁて。アッチの動きについて来れるかな?』と見栄を張るようにゃ物言いで、『もう大変だよ。瞬間移動にみたいに、ぱっ、ぱっ、ぱっ、と目にもとまらぬ速さで移動してさ。殴るだけの、蹴るだの、し放題。そっちは、アッチの『かく乱戦法』に惑わされ、腕を振り回すことも出来ずに、ぼっこぼっこにされちゃうんだぁ。本当、お気の毒だねぇ』といった、『脅し』ともとれる言葉を吐いて息巻いていたのにゃけれども……、いやはや現実はそう甘くはにゃい。水流に操られてでもいるように、今も横回転を続けっ放しにゃ。悲鳴も、『助けてぇ!』『目が回るぅっ!』にゃどの叫びも聞こえる。にゃんか『類は友を呼ぶ』の匂いが、ぷんぷんしてくるのにゃ。
倒れるのがイヤで目で追うのを諦めたウチは、半ば硬直した姿でニャンポにゃんの、ぐるぐる、を、ぼぉっ、と眺めつつ、『どうしてこうにゃったか?』に思いを巡らせていたのにゃん。
ウチはアドバイザーのパンにゃん……姿は見えにゃいのにゃけれども、ウチとおんにゃじに、にゃあまん様の中に居るらしいのにゃ……に相談してみることにしたのにゃ。
ニャンポにゃんとは、誰とでも話したり聞いたり出来る『開いた霊覚交信』での会話。でもにゃ。パンにゃんとは、ふたりにゃけでしか話せにゃい、聞こえにゃい、『閉じた霊覚交信』での会話にゃん。
パンにゃんは、教える前までは、下から目線の言葉遣いにゃった。でもにゃ。教え始めてからは、上から目線。横柄にゃ感じがする反面、『これは頼りににゃるにゃあ』とも思わせてくれるので、特に不満はにゃい。
『にゃあ、これからどうしようっていうのにゃん?』
『このままじゃ、埒があかないのぐし。
……ってことで、取り敢えずは、ゲンコツを繰り出してとめたらいいのぐし』
『にゃら、早速』
ずぶっ!
目の前に来たところを、『にゃん!』の一喝を伴う正拳突きにゃ。腹に当たった瞬間、ぐるぐる、くるくる、は、やっと終わりを迎えたのにゃん。
「今の闘いじゃあ、花を持たせてあげたけどね。お次はそうはいかないよぉっ!」
『とめてくれて有難うね』との感謝の言葉を口にしたその舌の根も乾かにゅまま、とにもかくにも、はち切れんばかりの勢いで二回戦目の宣告をされてしまったのにゃ。
(やれやれ。お忙しいことにゃん)




