表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰がタメにサク、百合と薔薇  作者: 石橋凛
士官学校編
71/78

第六十四話 サムライハート その壱

 士官学校には、大浴場が4箇所も用意されている。

 それも蒸気浴ではなく、ちゃんと湯船がある、いわゆるお風呂!

 現代日本と比べれば薪と水は高価ではあるものの、実は上下水道は主要都市では完備されているあたり、日本の中世よりも、技術的に優れている一面もあるのよね。

 神通力や、神様伝来の謎技術によって割と快適な住空間が提供されていて、お姫さま? として生まれてきたこともあり、あまり生活面で苦痛を感じたことはない。

 公衆浴場に入る機会がなかった、これまでは。


 『大きいと、つい目が行っちゃうんだよなあ』


 前世で、同級生の男子たちが、玻璃はり先輩の胸に視線をやりながら、そんなことをのたまったことが多々あったなあ。

 そんな同級生たちは、男山おとこやまパイセンによりどこかに連れて行かれてから、暫くの間は大人しくしていても、やがてすぐに玻璃先輩の胸の大きさに惑わされていたようだったけれど。


 「さく殿のお持ち物は、何度見てもご立派だね」


 「マラいもより、ゴツゴツとして硬そう。ボクもちょっと触ってみてもいいかな?」


 「減るもんじゃねえし、ちょっとオレにも握らせてみろよ。先っちょだけでいいからよ」


 浴場に入った途端に、第七訓練分隊所属の陽月ようげつさまの部下であるところの、志賀しが峯風みねかぜ二階堂にかいどう野風のかぜ牧野まきの沼風ぬまかぜの三人の男子に取り囲まれてしまうあたし。


 塩系男子の志賀、可愛い系男子の二階堂、オラオラ俺様系男子の牧野と、三者三様のイケメンにチヤホヤされても、全く嬉しくないんですけど!

 なんで、三人共、あたしの股間のゾウさんにナチュラルに手を伸ばしてくるのよ!

 マラ芋というのは、日本のサツマイモのように大きくて甘い芋で、蒸したり焼いたりして食べるだけでなく、サツマイモとは違い砂糖の原料としても利用されているんだけど。

 サツマイモみたいなゾウさんってなんなんなんだよ!

 意識を失っていた間に、かわいい小ゾウが、どうしてこんなに獰猛な形状になってしまったのか。

 獰猛なゾウさんを触ると武運に恵まれるという俗習があるとかで、別に男色なんかに興味がない男子の反応も、概ねこんな感じみたいだけれど、男女問わず気安く触ってほしくないんですけど。

 男の子たちって大きければ何でもいいのかしら?


 「朔殿が困ってるじゃないか。キミたちは遠慮しときなよ」


 「峯風、困らせてるのは、テメエじゃねえか」


 「沼風と峯風は、喧嘩するならあっちに行ってよね。浴場での喧嘩は、ご法度はっとだよ」


 あたしの目の前で争い始める三馬鹿たち。

 二階堂、喧嘩だけでなくお触りもご法度にしてくれないかな。

 こいつらがおかしな争いを始める原因を作ったのは、【豊穣の女神】さまに違いない。

 あ゛ー!

 女神さまたちに悪戯されるんじゃなくて、おそれられるくらい強くなればいいのかなあっ!


「三人共、そこまでになさい。朔殿が困っておられるでしょう?」


 あたしがキレる前に、土佐とさ真礼まあやさんが、あたしと三馬鹿の間に割って入ってくれた。

 土佐さんは、赤城あかぎ国に残ることにしたようで、冒険者になって前世のあたしを消息を追っている男山パイセンたちとは、別行動をとっているらしく。

 扶桑ふそう人向けの武術であるはずの、長浜ながはま流をあっさり免許皆伝まで修得して、現在は、あたしたちと同じ士官学校三号生で、第七訓練分隊所属にしている。

 士官学校の大浴場は混浴なんだけど、土佐さんは男子相手にも一歩も引かず、堂々としていてカッコいいなあ。


 「優等生に口ではかなわねえな。おい、あっちに行こうぜ」


 牧野は土佐さんのことが苦手みたいで、さっさと行ってしまう。


 「朔殿、またね」


 「騒がせちゃってゴメンね。二人共、待ってよ~」


 なんだかんだで三馬鹿は仲が宜しいようで、志賀と二階堂もあたしに会釈してから、牧野の後を追って行ってしまう。


 「体を冷やすといけないわ。湯船の方に行きましょうか」


 と土佐さんに声をかけられて、そのままついて行こうと身をひるがえすと紅葉もみじちゃんと志熊しぐまも駆け寄ってきた。


 「ごめんね、朔。どうしてもまだ男の子って苦手で」


 「あたくしも野蛮な殿方は苦手ですの。この点だけは紅葉さんと意見が一致しましたわね」


 「紅葉ちゃんは混浴に入ってこられるだけでも凄いよ。志熊もお風呂の中ぐらいは無理しなくてもいいから」


 混浴になっている理由の一つに、戦場では男女の区別なく寝食を共にすることになるから裸に慣れるためというのもあるんだけど、あたし自身まだまだ慣れてないので、紅葉ちゃんに対して強く出ることはできない。

 志熊がお風呂の中でも鉄仮面なのは、野蛮ではないのかしら? と思いつつも、揉めたら嫌なのでツッコまないことにする。


 湯船には、先客として陽月さまと橋口はしぐち波風なみかぜさんが背中合わせでつかかっていた。

 第七訓練分隊のメンバーの中で女性は、この二人と、土佐さんだけだったりする。


 「遅かったな。汗を流してから、こっちに入るといい」


 ほんのりと湯気で上気した陽月さまのお顔は、改めて見ると女性のもので。

 お互いに性別が変わってから接近するのは、これが初めてだなあと思うと、我ながら緊張してきたんですけど。

ちょっと短めです。


お下品になりすぎないように、なんども書き直してました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ